洒落怖《中華料理屋の息子》
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問題文
(わたしがしょうがっこうのときのはなしだ。)
私が小学校の時の話だ。
(とうじわたしはとうきょうのこうがいにあるしえいだんちにすんでいた。)
当時私は東京の郊外にある市営団地に住んでいた。
(やちんもやすいのだがふるいだんちであまりちあんがいいとはいえないところだった。)
家賃も安いのだが古い団地であまり治安がいいとは言えない所だった。
(だんちのいちかいにはあまりきれいとはいえないちゅうかりょうりやがあり、)
団地の一階にはあまり綺麗とは言えない中華料理屋があり、
(そのおみせのむすこがもんだいじだった。)
そのお店の息子が問題児だった。
(しょうがくせいくらいのねんれいだったが、がっこうにいっているふんいきはなく)
小学生くらいの年齢だったが、学校に行っている雰囲気はなく
(いつもぼろぼろのふくをきてあおっぱなをたらし)
いつもボロボロの服を着てあおっぱなを垂らし
(きんじょにすむこをいじめたり、ねこをぼうきれでたたいていたりしていた。)
近所に住む子をいじめたり、猫を棒切れで叩いていたりしていた。
(あるときのこと、なかよしよんにんぐみでわたしたちがあそんでいると)
ある時の事、仲良し四人組で私達が遊んでいると
(いきなりわたしのすかーとをめくってきた。)
いきなり私のスカートをめくってきた。
(「なにすんのよ!」というと)
「何すんのよ!」と言うと
(「ちっ」といいせなかをおもいっきりけられ)
「ちっ」といい背中を思いっきり蹴られ
(わたしがむねをつよくうってなみだめでくるしんでいると、わたしをみてぶきみににやついていた。)
私が胸を強く打って涙目で苦しんでいると、私を見て不気味に二やついていた。
(わたしたちもかかわりあいたくなく、かれのすがたをみかけると)
私達も関わりあいたくなく、彼の姿を見かけると
(ちがうばしょであそんだりしていたのだが、どこからつけてきていたのか、)
違う場所で遊んだりしていたのだが、どこからつけて来ていたのか、
(ひょこっとあらわれてはちょくちょくわたしたちにちょっかいをだしにきていた。)
ひょこっと現れてはちょくちょく私達にちょっかいを出しに来ていた。
(そんなひびがつづいたころ、いつものようにわたしたちがこうえんであそんでいると)
そんな日々が続いた頃、いつものように私達が公園で遊んでいると
(くじらやまとよばれるでっかいすべりだいのようなゆうぐのうえに)
くじら山と呼ばれるでっかい滑り台のような遊具の上に
(よんほんのじゅーすがおいてあった。)
四本のジュースが置いてあった。
(よんほんのじゅーすにのしたにはかみがはさんであり、)
四本のジュースにの下には紙が挟んであり、
(きたないじで「ごじゆうに」とかいてあった。)
汚い字で「ごじゆうに」と書いてあった。
(するとともだちのうちのひとりのaちゃんが)
すると友達のうちの一人のAちゃんが
(「わたししってる!これは、ただであげるっていういみなんだよ!」としゃべりはじめた。)
「私知ってる!これは、ただであげるっていう意味なんだよ!」と喋り始めた。
(わたしは「ええぇとめたほうがいいよ!そとにおちてたものだよ!」といったが)
私は「ええぇ止めた方がいいよ!外に落ちてたものだよ!」と言ったが
(aちゃんは「だいじょうぶだよ!わたしこれ!!」)
Aちゃんは「大丈夫だよ!私これ!!」
(といっぽんのじゅーすをてにとり、bちゃんcちゃんもつられるようにして)
と一本のジュースを手に取り、BちゃんCちゃんもつられるようにして
(「じゃあわたしこれ!」「わたしはこれ!」)
「じゃあ私これ!」「私はこれ!」
(とふたりともじゅーすをてにとりはじめた。)
と二人ともジュースを手に取り始めた。
(「わたしちゃんはいらないんでしょ?)
「私ちゃんはいらないんでしょ?
(aちゃんがすこしいじわるなかおでわたしにそういうと)
Aちゃんが少し意地悪な顔で私にそう言うと
(きゃっぷをはずしていきおいよくじゅーすをのみはじめた。)
キャップを外して勢いよくジュースを飲み始めた。
(aちゃんがごくごくさんかいくらいのどをうごかしたときだった。)
Aちゃんがごくごく三回くらい喉を動かした時だった。
(「ぶべーーーーーーー」)
「ブベーーーーーーー」
(いきおいよくaちゃんがじゅーすをふきだし、げっほげっほとせきこんだ。)
勢いよくAちゃんがジュースを吹き出し、ゲッホゲッホと咳き込んだ。
(「そんないきおいよくのむからだよーはははは」)
「そんな勢いよく飲むからだよーはははは」
(わたしたちさんにんはわらっていた。)
私達三人は笑っていた。
(しかしaちゃんはまだげほげほいっている)
しかしAちゃんはまだゲホゲホいっている
(「だいじょうぶ?」わたしがこえをかけたとき)
「大丈夫?」私が声を掛けた時
(「んぐーーーーー」)
「ングーーーーー」
(といったaちゃんはくちからちゃいろのえきたいのようなものをはきだし、)
と言ったAちゃんは口から茶色の液体の様なものを吐き出し、
(そのばにたおれこんだ。)
その場に倒れ込んだ。
(わたしたちはぱにっくになってさけんだ)
私達はパニックになって叫んだ
(「aちゃん!aちゃん!」「だいじょうぶ?aちゃん?」)
「Aちゃん!Aちゃん!」「大丈夫?Aちゃん?」
(aちゃんはくちのはしにあわをためながらじぶんのむなぐらをつかみ)
Aちゃんは口のはしに泡をためながら自分の胸ぐらを掴み
(「あついあつい!おかあさん!」とのたうちまわっていた。)
「熱い熱い!お母さん!」とのたうちまわっていた。
(そんなようすをみてなきさけんでいたわたしたちのいへんにきづいたのか)
そんな様子を見て泣き叫んでいた私達の異変に気付いたのか
(きんじょにすむおばさんがはしってきて)
近所に住むおばさんが走ってきて
(「あんたたち!!なにしたの!!?」とわたしたちにきいた。)
「あんた達!!何したの!!?」と私達に聞いた。
(「aちゃんがおちてるじゅーすのんじゃって」)
「Aちゃんが落ちてるジュース飲んじゃって」
(とぱにっくになりながらおばさんにせつめいすると、すぐにおばさんは)
とパニックになりながらおばさんに説明すると、すぐにおばさんは
(「きゅうきゅうしゃにれんらくするから」といっていえにでんわをしにいき)
「救急車に連絡するから」と言って家に電話をしに行き
(わたしたちはaちゃんのまわりでおろおろするしかなかった。)
私達はAちゃんの周りでオロオロするしかなかった。
(そのとき、わたしはふとしせんをかんじた。)
その時、私はふと視線を感じた。
(あたりをみまわすとこうえんのうえきのあいだから)
辺りを見回すと公園の植木の間から
(あのちゅうかやのむすこがしゃがんでわたしたちのことをみていた。)
あの中華屋の息子がしゃがんで私達の事を見ていた。
(ちゅうかやのむすこはうれしそうなかおでわたしたちをみつめていた。)
中華屋の息子は嬉しそうな顔で私達を見つめていた。
(そのえがおをみてわたしはしんそこぞくっとした。)
その笑顔を見て私は心底ぞくっとした。
(ほかのふたりはきづいていなかったが、かれがわたしのしせんにきづくと)
他の二人は気付いていなかったが、彼が私の視線に気づくと
(ふっとはしっていなくなってしまった。)
フッと走っていなくなってしまった。
(そのあとはきゅうきゅうしゃがきてじじょうをきかれたり、)
その後は救急車が来て事情を聞かれたり、
(おかあさんはせんせいにいろいろなはなしをきかれたりとてもたいへんだった。)
お母さんは先生に色々な話を聞かれたりとても大変だった。
(さいわいaちゃんはおおごとにはいたらず、いっしゅうかんごにはがっこうにこれるようになったが)
幸いAちゃんは大事には至らず、一週間後には学校に来れるようになったが
(あとにじゅーすにはさっちゅうざいがこんにゅうしてあったことがはんめいしてだいもんだいになった。)
後にジュースには殺虫剤が混入してあった事が判明して大問題になった。
(しかし、けっきょくはんにんがつかまることはなかった。)
しかし、結局犯人が捕まる事はなかった。
(わたしのなかではんにんのかくしんはあったがあのちゅうかりょうりやのしょうねんのはなしはだれにもはなさなかった)
私の中で犯人の核心はあったがあの中華料理屋の少年の話は誰にも話さなかった
(というかこわくてはなせなかった。)
というか怖くて話せなかった。
(はなしたらわたしにもなにかされるんじゃないかというきょうふがあったのだ。)
話したら私にも何かされるんじゃないかという恐怖があったのだ。
(それからほどなくしてちゅうかやはなくなりかわりにこんびにがはいり)
それから程なくして中華屋はなくなり代わりにコンビニが入り
(あのしょうねんがどこへいったかけんとうもつかないが)
あの少年がどこへ行ったか検討もつかないが
(10ねんいじょうたついまでもわたしはちゅうかりょうりやにはいれないでいる。)
10年以上経つ今でも私は中華料理屋には入れないでいる。