そういうのでいい

(ありていのみひとつをべっどになげすてて)

有り体の身ひとつをベッドに投げ捨てて

(しんだようにいくひびをうたうなどして)

死んだように生く日々を歌うなどして

(おまえにゃそれがいちばんおにあいだとくさして)

「お前にゃあそれが一番お似合いだ」と腐して

(しゃようをにらんでる)

斜陽を睨んでる

(ああ)

ああ…

(すてそこねたゆううつともえるごみのやまを)

捨て損ねた憂鬱と、もえるゴミの山を

(まとめてくろーぜっとにおしいれては)

まとめてクローゼットに押し入れては

(きょうもなんともないひでしたといったかおで)

「今日もなんともない日でした」といった顔で

(あなたとはなしして)

あなたと話して

(そのあとで)

その後で

(ひとりでかなしくなるのはきょうまで)

ひとりで悲しくなるのは今日まで

(しらんぷりをつづけた)

知らんぷりを続けた

(つけがまわってきちゃったんかもな)

ツケが回ってきちゃったんかもなあ

(けっきょくのところさ)

結局のところ、さ

(やだなぼくは)

やだなあ…！僕は…

(なにものにもならなくてもいい)

何者にもならなくてもいい

(ひとのきもちがわかりゃそれでいい)

人の気持ちがわかりゃあそれでいい

(おんがくなんかやらなくていい)

音楽なんかやらなくっていい

(それでいいから)

それでいいから

(けんこうなからだがあればいい)

健康な体があればいい

(だれをきらいにならなくてもいい)

誰を嫌いにならなくてもいい

(しにたいなんてうたわなくていい)

「死にたい」なんて歌わなくていい

(それがいいのだ)

それがいいのだ…！

(なんてうたいはすれどこのひびがつづくので)

…なんて歌いはすれどこの日々が続くので

(あきもせずにぼくのこころをさらして)

飽きもせずに僕の心を晒して

(かみさまどうすりゃこのいのちはただしくなれるのと)

「神様、どうすりゃこの命は正しくなれるの」と

(のーとにかきだしてわめいてる)

ノートに書きだして喚いてる

(あああかねにそまってくゆうぞらきれいで)

ああ、茜に染まっていく夕空　綺麗で

(そういやぼくはこれがずっとうたいたいんだ)

「そういやあ僕はこれがずっと歌いたいんだ」

(っておもっていたのが)

って思っていたのが

(いまさらこみあげんの)

今さら込み上げんの？

(やだなぼくは)

やだなあ！僕は！

(なんのふあんもなくねれりゃいい)

何の不安も無く寝れりゃあいい

(やすっぽいきぼうでまえむきゃいい)

安っぽい希望で前向きゃいい

(せんたくものがよくかわけばいい)

洗濯物がよく乾けばいい

(それでいいから)

それでいいから

(あしただれかとわらえればいい)

明日誰かと笑えればいい

(あなたのかおがくもらなけりゃいい)

あなたの顔が曇らなけりゃいい

(ふつうのにんげんになれたらいい)

普通の人間になれたらいい

(ぼくはそれがそれだけが)

僕はそれが、それだけが…！

(ほしい)

欲しい

(のに)

のに…