ウミユリ海底譚

(まってわかってよなんでもないからぼくのうたをわらわないで)

待って　わかってよ　何でもないから僕の歌を笑わないで

(くうちゅうさんぽのｓｏｓぼくはぼくはぼくは)

空中散歩のSOS　僕は僕は僕は

(いまはいにまみれてくうみのそこいきをのみほすゆめをみた)

今　灰に塗れてく　海の底　息を飲み干す夢を見た

(ただゆらぎのなかそらをながめるぼくのてをさえぎった)

ただ　揺らぎの中　空を眺める　僕の手を遮った

(ゆめのあとがきみのおえつがはきだせないうたかたのにわのすみを)

夢の跡が　君の嗚咽が　吐き出せない泡沫の庭の隅を

(ひかりのおよぐそらにさざめくもじのおく)

光の泳ぐ空にさざめく　文字の奥

(なみのはざまできみがとおのいただけ)

波の狭間で　君が遠のいただけ

(なんて)

「なんて」

(もっとすがってよしってしまうからぼくのうたをわらわないで)

もっと縋ってよ　知ってしまうから僕の歌を笑わないで

(かいちゅうれっしゃにとおのいたなみだなんてなんて)

海中列車に遠のいた　涙なんて　なんて

(とりさってしまってよいってしまうならきみはここにもどらないで)

取り去ってしまってよ　行ってしまうなら　君はここに戻らないで

(くうちゅうさんぽとよんびょうしぼくはぼくはぼくは)

空中散歩と四拍子　僕は僕は僕は

(ただあいにのまれてくそらのそこはいのなかでゆめをかいた)

ただ藍に呑まれてく　空の底　灰の中で夢を描いた

(いまこころのおくきえるひかりがきみのせをかきけした)

今心の奥　消える光が君の背を掻き消した

(ふれるあとがゆめのつづきがはじまらないぼくはまだわすれないのに)

触れる跡が　夢の続きが　始まらない僕はまだ忘れないのに

(ひかりのとどくなみにゆらめくよるのおく)

光の届く　波に揺らめく　夜の奥

(ぼくのこころにきみがてをふっただけ)

僕の心に　君が手を振っただけ

(なんて)

「なんて」

(そっとふさいえよもういらないからそんなうそをうたわないで)

そっと塞いでよもういらないから　そんな嘘を歌わないで

(しんじてたってわらうようなはっぴーえんどなんて)

信じてたって笑うような　ハッピーエンドなんて

(さからってしまってよこんなせかいならきみはここでとまらないで)

逆らってしまってよこんな世界なら　君はここで止まらないで

(ないてわらってよいっとうせいあいはあいはあいは)

泣いて笑ってよ一等星　愛は愛は愛は

(きえないきみをかいたぼくにもっと)

消えない君を描いた　僕にもっと

(しらないひとのすったあいを)

知らない人の吸った　愛を

(ぼくをころしちゃったきたいのことばとか)

僕を殺しちゃった　期待の言葉とか

(きこえないようにわらってんの)

聞こえないように笑ってんの

(もっとすがってよもういらないからさねえ)

もっと縋ってよ　もういらないからさ　ねぇ

(そっとふさいでよぼくらのあいまいなあいで)

そっと塞いでよ　僕らの曖昧な愛で

(なんて)

「なんて」

(まってわかってよなんでもないからぼくのゆめをわらわないで)

待って　わかってよ　何でもないから僕の夢を笑わないで

(かいちゅうれっしゃにとおのいたなみだなんてなんて)

海中列車に遠のいた　涙なんてなんて

(きえさってしまってよいってしまうならぼくはここでとまらないで)

消え去ってしまってよ　行ってしまうなら　僕はここで止まらないで

(ないてわらってよｓｏｓぼくはきみはぼくは)

泣いて笑ってよSOS 僕は　君は　僕は

(さいしゅうれっしゃとなきやんだあのそらにおぼれていく)

最終列車と泣き止んだ　あの空に溺れていく