夕染

(ゆれるかいちゅうでんとうときみがしずかにとけだす)

揺れる懐中電灯と君が静かに溶けだす

(きづいたらさかさになったゆめのなか)

気付いたら逆さになった夢の中

(くれるきょうはもうねむれないな)

暮れる 今日はもう眠れないな

(またよるをのがすゆうにそまるまち)

また夜を逃す 夕に染まる街

(こわれたかさをだいてうつむいた)

壊れた傘を抱いて俯いた

(きみによくにたうしろすがただった)

君によく似た後ろ姿だった

(さあきみがもしあすをよごすのなら)

さあ 君がもし明日を汚すのなら

(やけるようなひびもかわってしまう)

焼けるような日々も変わってしまう

(いみもなくそんざいをたしかめては)

意味も無く存在を確かめては

(ゆうやみにこえがひびいた)

夕闇に声が響いた

(うつるけしきもいつかちってしまったら)

映る景色もいつか散ってしまったら

(ぼくのそんざいかんなんてばらばらになってしまう)

僕の存在感なんてばらばらになってしまう

(まわるしょうそうとなつのうわさいまもわすれない)

回る焦燥と夏の噂 今も忘れない

(おもいだしてむなしくなっちゃうな)

思い出してむなしくなっちゃうな

(あいまいにわらってきょうをごまかした)

曖昧に笑って今日を誤魔化した

(なのにどうしてこえはちいさくなっていく)

なのにどうして声は小さくなっていく

(ぼくがもしあすをのぞむのなら)

僕がもし明日を望むのなら

(あせるようなねつをうばってしまう)

褪せるような熱を奪ってしまう

(わがままにふりまわすことだけでは)

我儘に振り回すことだけでは

(こまらせるだけだ)

困らせるだけだ

(わかってるどんなにことばをまとっても)

わかってる どんなに言葉をまとっても

(けっきょくうすっぺらいぼくのままだ)

結局薄っぺらい僕のままだ

(むせるようななつがきらいだった)

咽るような夏が嫌いだった

(はやくよるになれとねがっていた)

早く夜になれと願っていた

(あじけないほど、ひびはむじゃきにおわる)

味気ない程、日々は無邪気に終わる

(さあぼくらもしあすにせをむけたまま)

さあ 僕等もし明日に背を向けたまま

(ねむれたらしあわせだったかな)

眠れたら幸せだったかな

(よるをまつゆうやみのそこにおちて)

夜を待つ夕闇の底に落ちて

(さよならもいえずただてをひいていた)

さよならも言えずただ手を引いていた

(いじらしいひびだった)

いじらしい日々だった