ひび/Tele

(やさしさにかたちがあるなら)

優しさに形があるなら、

(それはあなたをかいしたなにかだ)

それはあなたを介した何かだ。

(だれもこたえをしらないといのさ)

誰も答えを知らない問いのさ、

(かいせつぼんでたながうまってた)

解説本で棚が埋まってた。

(はねだいきのでんしゃがうごきだす)

羽田行きの電車が動きだす。

(かんさんとしたしゃないひがみたす)

閑散とした車内、日が満たす。

(がらすがくすみそとはみえないな)

ガラスがくすみ外は見えないな。

(そんなことをだれもきにしていなかった)

そんな事を誰も気にしていなかった。

(かれたみらいにおゆをそそごう)

枯れた未来にお湯を注ごう。

(しわにゆるしをひびにはあいを)

皺に許しを、ひびには愛を。

(ただれたゆびでなぞるくらしをだきしめたとき)

爛れた指でなぞる暮らしを抱きしめた時、

(はりさけたえご)

張り裂けたエゴ。

(ｙじをすぎふりかえると)

Y字を過ぎ振り返ると、

(よだれたらしわびしいあのうそ)

涎垂らし侘しい、あの嘘。

(ただしさにかじをとらせたら)

正しさに舵を取らせたら、

(それはあなたをさいてきえました)

それはあなたを割いて消えました。

(だれもこたえのしらないといをさ)

誰も答えの知らない問いをさ、

(かんがえることにまたにげている)

考える事にまた逃げている。

(はねだいきのでんしゃがとまります)

羽田行きの電車が止まります。

(だんがんのようにひとがあふれだす)

弾丸の様に人が溢れ出す。

(がらすがきしみなにもみえないな)

ガラスが軋み何も見えないな。

(そんなことをだれもきにしていなかった)

そんな事を誰も気にしていなかった。

(かれたみらいにおゆをそそごう)

枯れた未来にお湯を注ごう。

(しわにゆるしをひびにはあいを)

皺に許しを、ひびには愛を。

(そのばしのぎかまわないから)

その場凌ぎ構わないから、

(うそすらあなたのままで)

嘘すらあなたのままで。

(どうしてことばにならないりゆうで)

どうして、言葉にならない理由で、

(ひとをあいしちゃうんだろう)

人を愛しちゃうんだろう。

(どうしてゆるされたいときほどむちゅうで)

どうして、許されたい時ほど夢中で、

(きずふやしちゃうんだろ)

傷増やしちゃうんだろ。

(かれたみらいにおゆをそそごう)

枯れた未来にお湯を注ごう。

(いまにじあいをかこにりかいを)

現在に慈愛を、過去に理解を。

(はなれたばしょでくりかえすこきゅうをぼくはおもってねむった)

離れた場所で、繰り返す呼吸を僕は思って眠った。

(さいごのことばはできればはかばで)

最後のことばはできれば墓場で、

(あなたのくらしのはしばしにいさせて)

あなたの暮らしの端々に居させて。

(だれかがとなえたまともにきずつかないで)

だれかが唱えたまともに傷つかないで、

(あなたのいたみのとなりでうたうぜ)

あなたの痛みの隣で歌うぜ。

(さいごのことばはできればはかばで)

最後のことばはできれば墓場で、

(かなたにきえるまちなどわすれて)

彼方に消える街など忘れて。

(あなたはあなたのひびをだきしめて)

あなたは、あなたの、日々を抱きしめて、

(わたしのひびすらあいしたあなたへ)

わたしの罅すら愛したあなたへ。

(すべてのいのりを)

すべての祈りを。

(あなたにいのりを)

あなたに祈りを。