何も変わらない

(なにもかわりはしねえさ)

何も変わりはしねえさ

(じだいがあたらしくなっても)

時代が新しくなっても

(なにもかわりはしねえさ)

何も変わりはしねえさ

(ときがすぎてゆくだけ)

時が過ぎてゆくだけ

(なにもかわらないのですなにも)

何も変わらないのです　何も

(えどからめいじとくがわからしんせいふ)

江戸から明治　徳川から新政府

(せいじのしくみはかわっても)

政治の仕組みは変わっても

(よのなかのねっこのぶぶんは)

世の中の根っこの部分は

(なにもかわらない)

何も変わらない

(めいじになったところで)

明治になったところで

(せいかつはくるしいしゃっきんはかさむ くにはたすけちゃくれねえ)

生活は苦しい　借金はかさむ 国は助けちゃくれねえ

(なにがあたらしいじだいだよ さんざんちょうしのいいことばっかいいやがって)

何が新しい時代だよ 散々調子のいいことばっか言いやがって

(けっきょく うえのやつらがかわっただけじゃねえか)

結局 上の奴らが変わっただけじゃねえか

(だからついにおれはたちあがったんだよ)

だから遂に俺は立ち上がったんだよ

(たしろえいすけ)

田代栄助

(よわきをたすけつよきをくじく)

弱きを助け　強きをくじく

(うまれながらのとせいにん)

生まれながらの渡世人

(さいしょははんたいだった ちちぶこんみんとうなんだそらあ)

最初は反対だった 秩父困民党？　なんだそらあ

(おれたちになにができるってんだよ)

俺たちに何が出来るってんだよ

(せいふあいてにけんかをしかけたところで どのみちちからでおさまるのはめにみえてらあ)

政府相手に喧嘩をしかけたところで どのみち力で収まるのは目に見えてらあ

(でもよみんながあつまってくるんだよ)

でもよ　みんなが集まってくるんだよ

(おれをすがってさ)

俺をすがってさ

(ほっとくわけにはいかねえじゃねえか)

ほっとくわけにはいかねえじゃねえか！

(よおしいくぞとうきょうへ)

よおし　行くぞ　東京へ

(いざひがしへ)

いざ東へ！

(みんなおれについてこい)

みんな俺についてこい！

(ごーごーいーすとごーごーいーすと)

ゴーゴーイースト　ゴーゴーイースト

(ごーごーいーすとごーごーいーすと)

ゴーゴーイースト　ゴーゴーイースト

(てをとりあってすすもうじゃないか)

手を取り合って進もうじゃないか

(あすのとびらをひらこうじゃないか)

明日の扉を開こうじゃないか

(ところがどっこい そうどうはあっというまにちんあつされて)

ところがどっこい 騒動はあっという間に鎮圧されて

(わずかいつかでみかたはばらばら)

わずか五日で味方はバラバラ

(おれはさいばんにかけられて あれよあれよというまに)

俺は裁判にかけられて あれよあれよという間に...

(なにもかわりはしねえさ)

何も変わりはしねえさ

(じだいがあたらしくなっても)

時代が新しくなっても

(なにもかわりはしねえさ)

何も変わりはしねえさ

(ときがすぎてゆくだけ)

時が過ぎてゆくだけ

(なにも)

何も

(かわらねえ)

変わらねえ

(ひとは)

人は

(かわらねえ)

変わらねえ

(だれも)

誰も

(かわらねえ)

変わらねえ

(おれもかわらねえ)

俺も変わらねえ

(それでもこのよにうまれたからにゃ)

それでもこの世に生まれたからにゃ

(いきぬいていくしかねえんだよ)

生き抜いていくしかねえんだよ

(そんなもんだよじんせいはって)

そんなもんだよ人生はって

(わらってなくしかねえんだよ)

笑って泣くしかねえんだよ

(なきたいひは)

泣きたい日は

(おもいだすのさ)

思い出すのさ

(ひとりじゃないと)

一人じゃないと

(たしろえいすけ)

田代栄助

(おれがいる)

俺がいる