怖い話《とある動画》

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問題文

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(あれをみたのは、たしかこうこうせいのころ。)

あれを見たのは、確か高校生の頃。

(とうじのぼくはこわいどうががすきで、てれびのしんれいとくしゅうはかかさずみていたし、)

当時の僕は怖い動画が好きで、テレビの心霊特集は欠かさず見ていたし、

(ちょうどねっとにもそういうえいぞうがふえはじめたじきだったとおもう。)

ちょうどネットにもそういう映像が増え始めた時期だったと思う。

(youtubeでもけんさくするとしんれいけいのどうががたくさんでてきて、)

YouTubeでも検索すると心霊系の動画が沢山出てきて、

(よなかにこっそりいやほんをつけてみるのがしゅみだった。)

夜中にこっそりイヤホンをつけてみるのが趣味だった。

(そのちゃんねるをみつけたのはほんとうにぐうぜんで、)

そのチャンネルを見つけたのは本当に偶然で、

(たまたまおすすめにあがってきたどうがをみたのがはじまり。)

たまたまおすすめに上がってきた動画を見たのが始まり。

(とうろくしゃは50にんくらいで、さいせいすうもにけたがほとんど。)

登録者は50人くらいで、再生数も二桁がほとんど。

(こめんともぜんぜんついてなかった。)

コメントも全然ついてなかった。

(どうがのないようもまいかいにたようなかんじで、)

動画の内容も毎回似たような感じで、

(はんでぃかめらでさつえいしながらどこかのしんれいすぽっとをしょうかいするだけ。)

ハンディカメラで撮影しながらどこかの心霊スポットを紹介するだけ。

(さつえいしゃはすがたをみせず、ただはなしながら、うすぐらいはいきょのなかをあるきまわる。)

撮影者は姿を見せず、ただ話ながら、薄暗い廃墟の中を歩き回る。

(とくにへんしゅうもなく、かいちゅうでんとうのあかりでさつえいされたがしつもあらい。)

特に編集も無く、懐中電灯の灯りで撮影された画質も荒い。

(だけどそれがりあるなかんじがして、なまなましかった。)

だけどそれがリアルな感じがして、生々しかった。

(そのちゃんねるでしょうかいしていたしんれいすぽっとは、)

そのチャンネルで紹介していた心霊スポットは、

(ねっとでけんさくしてもじょうほうがでないむめいのばしょばかり。)

ネットで検索しても情報が出ない無名の場所ばかり。

(みょうにこまかいうわさばなしやじけんのじょうほうをしゃべっていて、)

妙に細かい噂話や事件の情報を喋っていて、

(それがぎゃくに「ほんもの」っぽくかんじ、そのちゃんねるのどうがをみるようになった。)

それが逆に「本物」っぽく感じ、そのチャンネルの動画を見るようになった。

(あるひのこと。)

ある日のこと。

(しゅくだいをしながら、いつものようながしみしていたどうがのなかで、)

宿題をしながら、いつものよう流し見していた動画の中で、

など

(さつえいしゃが「まるまるけんまるまるしの」とはなしはじめたしゅんかん、おもわずてをとめた。)

撮影者が「○○県○○市の」と話し始めた瞬間、思わず手を止めた。

(ぼくのすんでいるしのなまえだった。)

僕の住んでいる市の名前だった。

(ん?きんじょにさつえいにきてたのか?)

ん?近所に撮影に来てたのか?

(でもいえのちかくにしんれいすぽっとになりそうなばしょなんてなかったはずだけど。)

でも家の近くに心霊スポットになりそうな場所なんてなかったはずだけど。

(そうおもってがめんをみたとき、おもわずこおりついた。)

そう思って画面を見た時、思わず凍り付いた。

(うつっていたたてものにみおぼえがある。)

写っていた建物に見覚えがある。

(それは、ぼくたちかぞくがくらしているあぱーとだった。)

それは、僕達家族が暮らしているアパートだった。

(にかいだて、ひとむねによんせたいがにゅうきょできるふぁみりーむけあぱーと。)

二階建て、一棟に四世帯が入居できるファミリー向けアパート。

(ただ、がいへきはくろくやけこげ、まどがらすはわれ、しゅういにはごみがさんらんしている。)

ただ、外壁は黒く焼け焦げ、窓ガラスは割れ、周囲にはゴミが散乱している。

(しってるがいかんなのに、あまりにじょうきょうがちがういようなこうけいだった。)

知ってる外観なのに、あまりに状況が違う異様な光景だった。

(「よなかにいっかいのろうふうふのへやからしゅっかし、じゅうにんぜんいんがしぼうしたというー」)

「夜中に一階の老夫婦の部屋から出火し、住人全員が死亡したというー」

(どうがのなかでそうかたるこえが、きかいてきにそのあぱーとのじけんをせつめいする。)

動画の中でそう語る声が、機械的にそのアパートの事件を説明する。

(でも、いっかいにすんでいるのはちゅうねんのふうふとわかいこづれのふうふだし、)

でも、一階に住んでいるのは中年の夫婦と若い子連れの夫婦だし、

(もちろんかじなんておこってない。)

もちろん火事なんて起こってない。

(だからさいしょは、どこかべつのよくにたあぱーとなんだろう、)

だから最初は、どこか別のよく似たアパートなんだろう、

(ねっとにほんとうのじゅうしょをのせるわけにもいかないから、)

ネットに本当の住所を載せるわけにもいかないから、

(てきとうなものをいっているのだろう、そうおもった。)

適当なものを言っているのだろう、そう思った。

(さつえいしゃはいっかいのへやからないぶをみてまわっていく。)

撮影者は一階の部屋から内部を見て回っていく。

(みおぼえのあるへやのつくり、みおぼえのあるふぞくかぐ。)

見覚えのある部屋の作り、見覚えのある付属家具。

(いやなよかんがして、まうすをにぎったてにへんなあせをかいていた。)

嫌な予感がして、マウスを握った手に変な汗をかいていた。

(さつえいしゃはいっかいのふたへやをみてまわり、)

撮影者は一階の二部屋を見て周り、

(ついににかいの、かいだんしょうめんのへやのとびらにてをかけた。)

ついに二階の、階段正面の部屋の扉に手を掛けた。

(ぼくたちかぞくのすむへやとおなじばしょ。)

僕達家族の住む部屋と同じ場所。

(どうがのなかでとびらがあき、げんかんのゆかに、こげてわれてたとうきのかびんがーー。)

動画の中で扉が開き、玄関の床に、焦げて割れてた陶器の花瓶がーー。

(それをみたしゅんかん、ぼくははんしゃてきにyoutubeのぺーじをとじた。)

それを見た瞬間、僕は反射的にYouTubeのページを閉じた。

(それは、ぼくのげんかんにいつもかざってあるかびんそっくりだった。)

それは、僕の玄関にいつも飾ってある花瓶そっくりだった。

(ははがむかし、ちじんにもらったといっていたもので、)

母が昔、知人に貰ったと言っていたもので、

(いつもくつばこのうえにかざってあるものと、おなじにみえた。)

いつも靴箱の上に飾ってあるものと、同じに見えた。

(それいこう、そのちゃんねるはみていない。)

それ以降、そのチャンネルは見ていない。

(youtubeじたいしばらくあけなくなった。)

YouTube自体しばらく開けなくなった。

(おすすめであのちゃんねるのどうががでてくるのが、なによりもこわかった。)

おすすめであのチャンネルの動画が出てくるのが、何よりも怖かった。

(いま、ぼくはしゅうしょくしてじもとをはなれている。)

今、僕は就職して地元を離れている。

(けど、りょうしんのすまいはいまだにあのあぱーとだ。)

けど、両親の住まいは未だにあのアパートだ。

(あのえいぞうはたまたまにたようなたてもので、にたようなかびんがおちていただけだ、)

あの映像はたまたま似たような建物で、似たような花瓶が落ちていただけだ、

(ぐうぜんがかさなっただけだと、じぶんにいいきかせている。)

偶然が重なっただけだと、自分に言い聞かせている。

(でも、もしーーもしあのどうがが「これからおきること」をうつしていたとしたら。)

でも、もしーーもしあの動画が「これから起きる事」を映していたとしたら。

(それとなくりょうしんにひっこしをすすめたこともあるが、しんぞくのしょゆうするあぱーとを)

それとなく両親に引越しを勧めた事もあるが、親族の所有するアパートを

(かくやすでかりているのもあって、そのいしはなさそうだ。)

格安で借りているのもあって、その意思はなさそうだ。

(ははから、「したのかいのだんなさん、さいきんちほうがでてきたみたい」)

母から、「下の階の旦那さん、最近痴呆がでてきたみたい」

(ってきんじょうほうこくをうけたのもきおくにあたらしい。)

って近状報告を受けたのも記憶に新しい。

(あのどうがをけすちょくぜん、はっきりときこえた)

あの動画を消す直前、はっきりと聞こえた

(「にげられないよ」)

「逃げられないよ」

(そのこえが、いまもみみからはなれない。)

その声が、今も耳から離れない。

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