刀 -4-

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師匠シリーズ
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2 Jyo 5848 A+ 5.9 98.2% 488.3 2909 53 60 2025/06/12

関連タイピング

問題文

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(れいさいこうしんじょのたったひとりのしょいんたるしょちょうは、)

零細興信所のたった一人の所員たる所長は、

(ちこくしてきたあるばいとのかってなつごうをあっさりりょうしょうした。)

遅刻してきたアルバイトの勝手な都合をあっさり了承した。

(「ひまだろ?」)

「暇だろ?」

(ししょうはうむをいわせぬえがおをこちらにむけた。しかたがなかった。)

師匠は有無を言わせぬ笑顔をこちらに向けた。仕方がなかった。

(ぼくだってきょうみがある。)

僕だって興味がある。

(そのあとおがわさんはくらもちしにでんわとして、)

その後小川さんは倉持氏に電話として、

(これからごしめいのしょいんがじょしゅをひとりつれていくむねをつたえた。)

これからご指名の所員が助手を一人連れて行く旨を伝えた。

(そしてじゅうたくちずをかくにんしたりせんぽうにわたすけいやくしょなどについて)

そして住宅地図を確認したり先方に渡す契約書などについて

(ししょうとかんたんなうちあわせをしたあとで、おちつかなげなようすをみょうにいいよどんだ。)

師匠と簡単な打ち合わせをした後で、落ち着かなげな様子を妙に言いよどんだ。

(どうしたんだろうとおもっていると、「あー」とすこししせんをうえにむけてから)

どうしたんだろうと思っていると、「あー」と少し視線を上に向けてから

(「まあ、なんだ」といった。)

「まあ、なんだ」と言った。

(「さっきはちょっといいすぎたな。わるかった。いつもいらいをまわして、すまない」)

「さっきはちょっと言い過ぎたな。悪かった。いつも依頼を回して、すまない」

(おがわさんはししょうにかるくあたまをさげた。)

小川さんは師匠に軽く頭を下げた。

(ふっ、とししょうのかおがやわらぐ。)

ふっ、と師匠の顔が和らぐ。

(「いや、すっぽかしたのはべんかいできない。きをつけます」)

「いや、すっぽかしたのは弁解できない。気をつけます」

(「そうだな」といってから、おがわさんはねくたいのさきをねじった。)

「そうだな」と言ってから、小川さんはネクタイの先をねじった。

(「まあ、そういうことをするなとはいわないけど、)

「まあ、そういうことをするなとは言わないけど、

(ひるまっからってのはちょっとひかえるんだな」)

昼間っからってのはちょっと控えるんだな」

(ん?というかおをした。ぼくとししょうで。)

ん?と言う顔をした。僕と師匠で。

(おがわさんはじぶんのくびすじをたたいてみせた。)

小川さんは自分の首筋を叩いて見せた。

など

(おもわずふたりともそのくびのあたりをみつめる。ほそいくびだ。)

思わず二人ともその首のあたりを見つめる。細い首だ。

(はっときづいたひょうじょうをして、ししょうはじぶんのくびすじをさわりそのゆびさきにしせんをおとす。)

ハッと気づいた表情をして、師匠は自分の首筋を触りその指先に視線を落とす。

(うすっすらとあかいいろがついている。くびすじにもかすれてひろがったまるいかすかなあかいあと。)

薄っすらと赤い色がついている。首筋にもかすれて広がった丸い微かな赤い跡。

(あ、いんかんの。)

あ、印鑑の。

(そうおもったしゅんかん、)

そう思った瞬間、

(「このぼけぇ」というどせいとともにししょうのあしがみぞおちにとんできた。)

「このボケェ」という怒声とともに師匠の足が鳩尾に飛んできた。

(いたってぇ。)

痛ってぇ。

(と、みぎうでをさすりながらじむしょのかいだんをおりていると)

と、右腕をさすりながら事務所の階段を下りていると

(ししょうがなにかをおもいだしたのか「ちょっとそとでまってろ」と)

師匠が何かを思い出したのか「ちょっと外で待ってろ」と

(ひとりでひきかえしていった。)

一人で引き返して行った。

(じむしょのしたのきっさてんのまえでかおみしりのうえいとれすとたちばなしをしていると)

事務所の下の喫茶店の前で顔見知りのウエイトレスと立ち話をしていると

(うれしそうなかおをしてししょうがおりてくる。)

嬉しそうな顔をして師匠が下りて来る。

(「なんかくってこうぜ」)

「なんか食ってこうぜ」

(そういって、せんえんさつをなんまいかひらひらさせた。)

そう言って、千円札を何枚かヒラヒラさせた。

(どうやらちょうさひをまえばらいしてもらったらしい。)

どうやら調査費を前払いしてもらったらしい。

(しかしいえにいってかたなをみるだけのしごとでちょうさひなんてつかうことあるんだろうか。)

しかし家に行って刀を見るだけの仕事で調査費なんて使うことあるんだろうか。

(ぎもんにおもったが、まあくれたからにはつかっていいのだろう。)

疑問に思ったが、まあくれたからには使っていいのだろう。

(「でもいまからいくってでんわしたばかりですよ」といさめると、)

「でも今から行くって電話したばかりですよ」と諌めると、

(ししょうはうらめしそうなかおをして)

師匠は恨めしそうな顔をして

(「じゃあさっさとかたづけてこよう」とぼくをせかしはじめた。)

「じゃあさっさと片付けてこよう」と僕をせかし始めた。

(こぴーしたちずをみながらじてんしゃにふたりのりしてもくてきちにむかう。)

コピーした地図を見ながら自転車に二人乗りして目的地に向かう。

(むしあつさになんどもあせをぬぐいながらぺだるをこぐことにじゅっぷんあまり。)

蒸し暑さに何度も汗を拭いながらペダルをこぐこと二十分あまり。

(ふるいいえのならぶじゅうたくがいのいちかくにくらもちしのいえをはっけんした。)

古い家の並ぶ住宅街の一角に倉持氏の家を発見した。

(「へぇ」といいながらししょうがこうりんのじくからあしをおろす。)

「へぇ」と言いながら師匠が後輪の軸から足を下ろす。

(そうぞうしていたよりりっぱなにほんかおくだ。すきやもんからのぞくにわがかなりひろい。)

想像していたより立派な日本家屋だ。数寄屋門から覗く庭がかなり広い。

(もんのかたわらについていたいんたーほんでらいいをつげると、)

門の傍らについていたインターホンで来意を告げると、

(くらもちしほんにんのこえで「どうぞおはいりください」とへんとうがあった。)

倉持氏本人の声で「どうぞお入りください」と返答があった。

(にわというよりていえんとでもいうべきけしきをみながらいしだたみのうえをあるいて)

庭というより庭園とでも言うべき景色を見ながら石畳の上を歩いて

(げんかんにたどりつくと、がらがらととがあいてわふくすがたのろうじんがでむかえてくれた。)

玄関にたどり着くと、ガラガラと戸が開いて和服姿の老人が出迎えてくれた。

(「くらもちです」)

「倉持です」

(そうしんからひきしまったひょうじょうのかおがのびている。)

痩身から引き締まった表情の顔が伸びている。

(ななじゅうねんぱいだときいていたがかくしゃくとしたすがたはもうすこしわかくみえた。)

七十年配だと聞いていたが矍鑠とした姿はもう少し若く見えた。

(「どうぞ、おあがりください」)

「どうぞ、お上がりください」

(ねぶみするようにししょうをみつめながらみぎてをながす。)

値踏みするように師匠を見つめながら右手を流す。

(ぼくはきんちょうしたがししょうはへいぜんとくつをぬいでくらもちしのあとをついていった。)

僕は緊張したが師匠は平然と靴を脱いで倉持氏の後をついて行った。

(すずしげなおとをさせるいたばりのろうかをすすみ、)

涼しげな音をさせる板張りの廊下を進み、

(ぼくらはにわにめんしたひろいわしつにとおされた。)

僕らは庭に面した広い和室に通された。

(「いまおちゃを」とくらもちしがきえ、ほどなくしてもどってきたときには)

「いまお茶を」と倉持氏が消え、ほどなくして戻ってきたときには

(おぼんのうえにこうきゅうそうなわがしもいっしょにのせられていた。)

お盆の上に高級そうな和菓子も一緒に乗せられていた。

(しゅじんときゃくがそれぞれにいずまいをただし、もういちどなのりあった。)

主人と客がそれぞれに居住まいを正し、もう一度名乗りあった。

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