怖い話《最後に撮った写真》

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プレイ回数122難易度(5.0) 4940打 長文

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問題文

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(たぶん、つぎはおれなんだとおもう。みなけりゃよかった。)

多分、次は俺なんだと思う。見なけりゃよかった。

(はじまりはにかげつまえ、さんがくさーくるにしょぞくしていたおれとa,b,cのよにんで)

始まりは二カ月前、山岳サークルに所属していた俺とa,b,cの四人で

(りんけんにあるゆうめいなやまへとのぼりにいったときだ。)

隣県にある有名な山へと登りに行った時だ。

(べつにそのやまにいわくがあるだとか、なにかほこらをこわしたとか)

別にその山に曰くがあるだとか、なにか祠を壊したとか

(じぞうをけりとばしただとかそんなことはしていない。)

地蔵を蹴り飛ばしただとかそんなことはしていない。

(ちょうどしゅうかつでいそがしくなるころだったからこんかいでさーくるかつどうもおわりだなとか)

ちょうど就活で忙しくなるころだったから今回でサークル活動も終わりだなとか

(はなしていたらさいごはさんちょうでよにんでしゃしんとろうということになった。)

話していたら最後は山頂で四人で写真撮ろうということになった。

(もってきたさんきゃくにおれのすまほをとりつけたいまーをせっとし、)

持ってきた三脚に俺のスマホを取付タイマーをセットし、

(a,b,おれ,cのじゅんばんでならんでさつえいした。)

a,b,俺,cの順番で並んで撮影した。

(iphoneでたいまーせっていしてしゃしんとったことあるひとならわかるとおもうけど、)

iPhoneでタイマー設定して写真撮ったことある人なら分かると思うけど、

(しゃったーがおりるとれんしゃになるよな?ばーすとってやつ。)

シャッターが降りると連写になるよな?バーストってやつ。

(で、なんまいかれんしゃしたなかでいちばんよいうつりだったやつをえらぶとおもう。)

で、何枚か連写した中で一番良い写りだったやつを選ぶと思う。

(とりおわってそのときはあさからのぼりっぱなしでしんどかったから)

撮り終わってその時は朝から登りっぱなしでしんどかったから

(かえったあとあらためてかくにんしようとおもってた。)

帰った後改めて確認しようと思ってた。

(とりあえずそのひはそのままやまをおりておのおのいえにかえったんだ。)

とりあえずその日はそのまま山を降りて各々家に帰ったんだ。

(いえについてめしくってふろにはいってべっどにねころんでたとき、)

家に着いて飯食って風呂に入ってベッドに寝転んでた時、

(そういえばとおもってやまでとったしゃしんをかくにんした。)

そういえばと思って山で撮った写真を確認した。

(れんしゃされたしゃしんは10まいあってすらいどするとぱらぱらまんがみたいに)

連写された写真は10枚あってスライドするとパラパラ漫画みたいに

(こきざみにしゃしんがうごくのだが、さいしょからさいごまですらいどさせたとき、)

小刻みに写真が動くのだが、最初から最後までスライドさせた時、

(あきらかにいわかんのあるしゃしんがあった。)

明らかに違和感のある写真があった。

など

(1まいめから9まいめはぴーすをしながら)

1枚目から9枚目はピースをしながら

(にこやかなひょうじょうでかめらにめせんをむけるよんにん。)

にこやかな表情でカメラに目線を向ける四人。

(もんだいは10まいめ、a,b,おれ,cのうちbいがいのさんにんがbにかおをむけていた。)

問題は10枚目、a,b,俺,cのうちb以外の三人がbに顔を向けていた。

(てはぴーすをしていたがかおだけがbをみていた、むひょうじょうで。)

手はピースをしていたが顔だけがbを見ていた、無表情で。

(9まいめと10まいめをいききさせると2まいだけのgifがぞうのように)

9枚目と10枚目を行き来させると2枚だけのgif画像のように

(まえをむいたりよこをむいたりしていてどこかぶきみだった。)

前を向いたり横を向いたりしていてどこか不気味だった。

(え、おれbのほうなんてむいたっけ?)

え、俺bの方なんて向いたっけ?

(そのときはきおくにないだけでたまたまbのほうをむいてたんだろうなんておもってた。)

その時は記憶にないだけでたまたまbの方を向いてたんだろうなんて思ってた。

(そのままねてつぎのひだいがくにいったときにほかのさんにんにもこのしゃしんをみせてみたが、)

そのまま寝て次の日大学に行ったときに他の三人にもこの写真を見せてみたが、

(aもcもbのほうをむいたきおくはないという。)

AもCもBの方を向いた記憶はないという。

(bにかんしてはおれのことだいすきかよなんてじょうだんをいってたが)

Bに関しては俺の事大好きかよなんて冗談を言ってたが

(そのひはおのおのじぶんのこうぎへとむかった。)

その日は各々自分の講義へと向かった。

(そのあとはとくになにもおきることなく、いっしゅうかんがたったころaからちゃくしんがはいった。)

その後は特に何も起きることなく、一週間が経った頃Aから着信が入った。

(bがくるまにはねられてなくなった。)

Bが車にはねられて亡くなった。

(よこからきたくるまにはねられ、こうさてんになげだされたbは)

横から来た車にはねられ、交差点に投げ出されたBは

(そのままとらっくのしたじきになってしまったらしい。)

そのままトラックの下敷きになってしまったらしい。

(あまりにとつぜんのことでそうぎちゅうのきおくはほぼなかった。)

あまりに突然のことで葬儀中の記憶はほぼなかった。

(aとcともことばをかわすことなくそのままじぶんのへやにはいってひたすらないた。)

AとCとも言葉を交わすことなくそのまま自分の部屋に入ってひたすら泣いた。

(いろいろなことをかんがえていたが、ふとあのしゃしんのことをおもいだす。)

いろいろなことを考えていたが、ふとあの写真のことを思い出す。

(いやなよかんはしたがあるばむからもういちどあのしゃしんをかくにんしてみた。)

嫌な予感はしたがアルバムからもう一度あの写真を確認してみた。

(さんちょうでとったあのしゃしん、1まいめから9まいめはふつうだった。)

山頂で撮ったあの写真、1枚目から9枚目は普通だった。

(10まいめ、いやなよかんはあたった、bがきえていた。)

10枚目、嫌な予感は当たった、Bが消えていた。

(それだけじゃない、cいがいのふたりがcにかおをむけていた。)

それだけじゃない、C以外の二人がCに顔を向けていた。

(おれはおもわずなさけないこえをあげてけいたいをほうりなげ、ふとんをかぶってふるえていた。)

俺は思わず情けない声を上げて携帯を放り投げ、布団を被って震えていた。

(かんがえたくはないがこのままいけばつぎはcのばんだ。)

考えたくはないがこのままいけば次はCの番だ。

(そのままにしゅうかん、おれはだいがくをやすんだ。)

そのまま二週間、俺は大学を休んだ。

(aとcからちゃくしんやlineがとどいていたがとてもじゃないが)

AとCから着信やlineが届いていたがとてもじゃないが

(れんらくをかえすきぶんにはなれなかった。)

連絡を返す気分にはなれなかった。

(きっかけはaからのlineだった、cがじさつした。)

きっかけはAからのlineだった、Cが自殺した。

(おれがだいがくをやすんですうじつたったころ、cもこなくなったらしい。)

俺が大学を休んで数日経った頃、Cも来なくなったらしい。

(れんらくがとれないことをしんぱいしたおやごさんがcのあぱーとにいったところ、)

連絡が取れないことを心配した親御さんがCのアパートに行ったところ、

(くびをつってなくなっていたそうだ。)

首を吊って亡くなっていたそうだ。

(cのそうぎにいくからおまえもこいよとのことだった。)

Cの葬儀に行くからお前も来いよとの事だった。

(aとごうりゅうし、そうぎがおわってふたりでかえりみちをあるいていた。)

Aと合流し、葬儀が終わって二人で帰り道を歩いていた。

(たんきかんでふたりのゆうじんをなくしたおれたちはことばもかわすことなくえきへとむかった。)

短期間で二人の友人を亡くした俺達は言葉も交わすことなく駅へと向かった。

(おれはあのしゃしんについてaにはなすことにした。)

俺はあの写真についてAに話す事にした。

(bがしゃしんからきえていたこと、そのときこんどはaとおれがcをみていたこと。)

Bが写真から消えていた事、その時今度はAと俺がCを見ていた事。

(さすがのaもぐうぜんにはかんじなかったのか、しりあいにれいばいしとして)

さすがのAも偶然には感じなかったのか、知り合いに霊媒師として

(しごとをしているひとがいるのでそのしゃしんをおくってほしいといわれた。)

仕事をしている人がいるのでその写真を送ってほしいと言われた。

(おうだんほどうでとまっていたとき、しゃしんをかくにんした。)

横断歩道で止まっていた時、写真を確認した。

(きえたb、cにかおをむけているaとおれ、かわっていないことにおれはあんどした。)

消えたB、Cに顔を向けているAと俺、変わっていない事に俺は安堵した。

(きょうゆうをおしてaのlineへとてんそうした。)

共有を押してAのlineへと転送した。

(しんごうがあおにきりかわり、aがさきにあるきだしたが)

信号が青に切り替わり、Aが先に歩き出したが

(おれはしゃしんをみつめながらたちどまっていた。)

俺は写真を見つめながら立ち止まっていた。

(そうしんをおえたあと、すぐaのきどくがつく。)

送信を終えたあと、すぐAの既読が付く。

(そのときすうめーとるさきをあるいていたaがあしをとめた。)

その時数メートル先を歩いていたAが足を止めた。

(a「え、おい。なんでこんどはおまえが」)

A「え、おい。なんで今度はお前が」

(そういいかけたしゅんかん、なりひびくきゅうぶれーきのおととともにaがきえた。)

そう言いかけた瞬間、鳴り響く急ブレーキの音とともにAが消えた。

(とらっくにはねられたのだ。)

トラックに撥ねられたのだ。

(ふきとばされたaはすうじゅうめーとるさきのちだまりのうえでけいれんしていた。)

吹き飛ばされたAは数十メートル先の血溜まりの上で痙攣していた。

(aをひいたとらっくからおりてきたおとこはなにがおこったかわからないようなひょうじょうで)

Aを轢いたトラックから降りてきた男は何が起こったかわからないような表情で

(aをみつめていたが、とりかえしのつかないことをじかくしたのか)

Aを見つめていたが、取り返しのつかないことを自覚したのか

(そのままうずくまってひたすらごめんなさいとくりかえしていた。)

そのままうずくまってひたすらごめんなさいと繰り返していた。

(いっしゅんでおきたできごとにからだがついていけなかったのか、おれはそのままおうとした。)

一瞬で起きた出来事に体がついていけなかったのか、俺はそのまま嘔吐した。

(つうこうにんがきゅうきゅうしゃをよんでとうちゃくしたころにはaはもううごかなくなっていた。)

通行人が救急車を呼んで到着した頃にはAはもう動かなくなっていた。

(aがはこびこまれとおざかっていくさいれんのおとをききながらおれはけいたいをかくにんした。)

Aが運び込まれ遠ざかっていくサイレンの音を聞きながら俺は携帯を確認した。

(aにおくったしゃしん、そこにはひとりかめらにむかってぴーすをするおれのすがたがあった。)

Aに送った写真、そこには一人カメラに向かってピースをする俺の姿があった。

(なぜかそのとき、おれはきょうふよりもたすかってよかったというきもちがおおきかった。)

なぜかその時、俺は恐怖よりも助かって良かったという気持ちが大きかった。

(しゃしんはそのままさくじょした。)

写真はそのまま削除した。

(そのままにしゅうかんちょっとたち、そつぎょうもまぢかだったがおれはだいがくをやめた。)

そのまま二週間ちょっと経ち、卒業も間近だったが俺は大学を辞めた。

(なかのよかったよめのうちさんにんがたてつづけになくなったこともあり、)

仲の良かった四人のうち三人が立て続けに亡くなったこともあり、

(だれもおれにちかづこうとはしなかったこともあるが、)

誰も俺に近づこうとはしなかったこともあるが、

(そとをであるくのがこわくなってしまった。)

外を出歩くのが怖くなってしまった。

(しばらくべやにひきこもっていたが、さすがにそとにでないといきもつまるので)

しばらく部屋に引きこもっていたが、流石に外に出ないと息も詰まるので

(ちかくのこんびににいくことにした。)

近くのコンビニに行くことにした。

(げんかんでくつをはいているとき、なぜかかおのりょうめんにいわかんをかんじた。)

玄関で靴を履いているとき、なぜか顔の両面に違和感を感じた。

(だれかにしきんきょりでみつめられているようなかんかくだった。)

誰かに至近距離で見つめられているような感覚だった。

(みてはいけないとおもいながらもすまほのあるばむをひらく。)

見てはいけないと思いながらもスマホのアルバムを開く。

(あるばむのさいご、そこにはけしたはずのしゃしんがあった。)

アルバムの最後、そこには消したはずの写真があった。

(ふるえるゆびでしゃしんをたっぷする。)

震える指で写真をタップする。

(1まいめから9まいめ、おれひとりのしゃしん。)

1枚目から9枚目、俺一人の写真。

(10まいめ)

10枚目

(しんだはずのさんにんがおれにかおをむけていた。)

死んだはずの三人が俺に顔を向けていた。

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