刀 -6-

背景
投稿者投稿者蛍☆いいね1お気に入り登録
プレイ回数40難易度(4.4) 3052打 長文 長文モードのみ
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
cicciさんのアカウント
https://typing.twi1.me/profile/userId/130158
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7967 8.1 98.3% 370.9 3006 51 60 2025/06/12

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(たぶんおくさんのれいがみえるというのはうそだ。)

たぶん奥さんの例が見えるというのは嘘だ。

(さっきこのいえになにもかんじないといったばかりだから。)

さっきこの家になにも感じないと言ったばかりだから。

(ということはししょうはじっさいにめにしたものや、)

ということは師匠は実際に目にしたものや、

(あいてとのかいわからじょうほうをひきだしているにちがいない。)

相手との会話から情報を引き出しているに違いない。

(いんちきれいのうりょくしゃとおなじてぐちをつかっているのだ。)

インチキ霊能力者と同じ手口を使っているのだ。

(そうしてしんようをかちとろうとしている。)

そうして信用を勝ち取ろうとしている。

(なんてひとだ。)

なんて人だ。

(ぼくはいけいとあきれるようなおもいがいりまじったもやもやしたきもちのまま、)

僕は畏敬と呆れるような思いが入り混じったモヤモヤした気持ちのまま、

(そのししょうがどこでじょうほうをえたのかとめをさらのようにして)

その師匠がどこで情報を得たのかと目を皿のようにして

(くらもちしのみにつけているものやへやのまどり、かぐなどをさぐった。)

倉持氏の身につけているものや部屋の間取、家具などを探った。

(そしてこれまでのやりとりをおもいうかべる。)

そしてこれまでのやりとりを思い浮かべる。

(そういえばくらもちしじしんがおちゃをはこんできたことはいまげんざいひとりみであることを)

そう言えば倉持氏自身がお茶を運んで来たことは今現在独り身であることを

(しさしているようにもみえるが、たまたまおくさんががいしゅつちゅうであったり、)

示唆しているようにも見えるが、たまたま奥さんが外出中であったり、

(びょういんににゅういんちゅうであったりというけーすだってかんがえられる。)

病院に入院中であったりというケースだって考えられる。

(ぼくにはまったくそうぞうがつかない。どうやってししょうはここまですいりできたのか。)

僕にはまったく想像がつかない。どうやって師匠はここまで推理できたのか。

(「むすこふうふはたしかにとなりにすんでおりますが、いまもむすこのやっているしょくりょうひんの)

「息子夫婦は確かに隣に住んでおりますが、今も息子のやっている食料品の

(おろしのやごうはわたしのみょうじとおなじです。ひろいようでせまいまちです。)

卸の屋号は私の名字と同じです。広いようで狭い街です。

(ききおぼえがあったのではないですか」)

聞き覚えがあったのではないですか」

(くらもちしはふるえるこえで、それでもがんばっている。)

倉持氏は震える声で、それでも頑張っている。

(「いえ、ざんねんながら。それとおくさまはあなたのごびょうきのしんぱいされていますね。)

「いえ、残念ながら。それと奥様はあなたのご病気の心配されていますね。

など

(・・・・・しんぞうではないですか。たおれたこともおありのようだ」)

・・・・・心臓ではないですか。倒れたこともおありのようだ」

(「む」)

「む」

(くらもちしはいきがつまったようなこえをもらした。)

倉持氏は息が詰まったような声を漏らした。

(「これいじょうのこんかいのいらいないようからはいつだつしますので、)

「これ以上の今回の依頼内容からは逸脱しますので、

(べつのきかいにねがいたいところですが。しんじるしんじないはおまかせします」)

別の機会に願いたい所ですが。信じる信じないはお任せします」

(ししょうはふっ、とちからをぬいたひょうじょうをみせてつづけた。)

師匠はふっ、と力を抜いた表情を見せて続けた。

(「おくさまはとてもおきれいなほうですね。みさこさん、とおっしゃる」)

「奥様はとてもお綺麗な方ですね。みさこさん、とおっしゃる」

(はりつめたくうきがやぶれ、くらもちしは「しつれい」といって)

張り詰めた空気が破れ、倉持氏は「失礼」と言って

(むなもとをおさえたままへやをでていった。)

胸元を押さえたまま部屋を出ていった。

(ぼくもおどろいていた。きもちがわるいものをみるめでししょうをみてしまう。)

僕も驚いていた。気持ちが悪いものを見る目で師匠を見てしまう。

(「どうしてわかるんです」)

「どうしてわかるんです」

(おそるおそるきいてみると、ししょうはすずしいかおをしていいはなった。)

恐る恐る訊いてみると、師匠は涼しい顔をして言い放った。

(「しってたから」)

「知ってたから」

(そんなはずはない。いらいにんのなまえもきょうきいたばかりだ。)

そんなはずはない。依頼人の名前も今日聞いたばかりだ。

(それもししょうじしんはやくそくをすっぽかしたせいでいまのいままで)

それも師匠自身は約束をすっぽかしたせいで今の今まで

(そのくらもちしとやりとりもしていない。)

その倉持氏とやりとりもしていない。

(これはぼくのしらないししょうのれいのうりょくなのではないかと、)

これは僕の知らない師匠の霊能力なのではないかと、

(さむけのするおもいをあじわっているとはなでわらうようなことばがふってきた。)

寒気のする思いを味わっていると鼻で笑うような言葉が降ってきた。

(「あのな。こういうれいのうりょくをきたいしているようないらいにんとあうときは、)

「あのな。こういう霊能力を期待しているような依頼人と会う時は、

(あうまえからじょうほうしゅうしゅうするのがせおりーだよ」)

会う前から情報収集するのがセオリーだよ」

(あうまえから?そんなばかな。ししょうはぼくとずっといっしょにいたじゃないか。)

会う前から?そんなバカな。師匠は僕とずっと一緒にいたじゃないか。

(ぼくにはそんなじょうほう、はいっていない。)

僕にはそんな情報、入っていない。

(よこからためされているようなめでみられていると、はっときづいた。)

横から試されているような目で見られていると、ハッと気づいた。

(そうだ。じむしょからでるとき、ししょうだけひきかえしていった。)

そうだ。事務所から出る時、師匠だけ引き返して行った。

(あのときだ。)

あの時だ。

(おかねのむしんをしにいったとたんじゅんにおもっていたが、もしそのしょちょうとのこうしょうが)

お金の無心をしに行ったと単純に思っていたが、もしその所長との交渉が

(いっしゅんでおわっていたとしたら、ぼくがしたでうえいとれすとたちばなしをするだけの)

一瞬で終わっていたとしたら、僕が下でウエイトレスと立ち話をするだけの

(くうはくのじかんができることになる。)

空白の時間ができることになる。

(「こんかいのいらいって、わたしのうわさをきいてなざしできたっていってたよね。)

「今回の依頼って、私の噂を聞いて名指しで来たって言ってたよね。

(じぶんでいうのもなんだけど、わたしなんかぜんぜんゆうめいじゃないし。)

自分で言うのもなんだけど、私なんか全然有名じゃないし。

(そんなうわさをするのなんて、まえにいらいをうけたひとにきまっている。)

そんな噂をするのなんて、前に依頼を受けた人に決まっている。

(そのなかでにほんとうしゅみのななじゅうすぎのじいさんとこうゆうかんけいがありそうなひとなんて)

その中で日本刀趣味の七十過ぎの爺さんと交友関係がありそうな人なんて

(かずがかぎられるよ。というか、もうだいだいそんなうわさをひろめてるの、)

数が限られるよ。というか、もうだいだいそんな噂を広めてるの、

(あのばあさんにきまってんだけど」)

あの婆さんに決まってんだけど」

(ししょうはぐたいてきななまえをひとりだした。いぜん、しんれいげんしょうのかかわるあるじけんを)

師匠は具体的な名前を一人出した。以前、心霊現象の関わるある事件を

(かいけつしてからやたらきにいられてしまい、かんしゃとしんせつしんのつもりで)

解決してからやたら気に入られてしまい、感謝と親切心のつもりで

(さまざまなばしょでたのみもしないのにせんでんをしてくれているのだそうだ。)

様々な場所で頼みもしないのに宣伝をしてくれているのだそうだ。

(「じむしょからでんわして、そのばあさんからできるだけききだした」)

「事務所から電話して、その婆さんからできるだけ聞き出した」

(つまらなそうにいう。)

つまらなそうに言う。

(こーるどりーでぃんぐじゃなかった。)

コールドリーディングじゃなかった。

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告