四つの顔 -13-(完)

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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | berry | 8037 | 神 | 8.2 | 97.9% | 242.5 | 1990 | 41 | 48 | 2025/07/26 |
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問題文
(「もうまちにひとがほとんどいなくなったって。みつけしだい、)
「もう街に人がほとんどいなくなったって。見つけ次第、
(じぶんがころしてあげたから。だれもいないまちをまいにちあるいてあるいて、)
自分が殺してあげたから。誰もいない街を毎日歩いて歩いて、
(それでもふあんがきえない、ってなきそうなこえでいうのよ。それで・・・・・」)
それでも不安が消えない、って泣きそうな声で言うのよ。それで・・・・・」
(あいたいって。)
会いたいって。
(さわださんはぜっくした。)
沢田さんは絶句した。
(おれはちょっとまってくださいとちいさくさけんでてをまえにつきだす。)
俺はちょっと待って下さいと小さく叫んで手を前に突き出す。
(われたかがみがあたまにうかんだ。)
割れた鏡が頭に浮かんだ。
(かれのいないへやにのこされたゆいいつのいきたこんせき。いや、あのときもかれは)
彼のいない部屋に残された唯一の生きた痕跡。いや、あの時も彼は
(いたのかもしれない。へやにしんにゅうしてきたふたりのdにおびえながら。)
いたのかも知れない。部屋に侵入してきた二人のDに怯えながら。
(かがみ。かがみ。もうひとつどこかでそのことばをきいた。)
鏡。鏡。もう一つどこかでその言葉を聞いた。
(そうだ。かれがはじめてそのよっつのかおのはなしをしたよる。)
そうだ。彼が初めてその四つの顔の話をした夜。
(おれはいつのまにかねむってしまっていて、おきたときにはかれはもういなかった。)
俺はいつの間にか眠ってしまっていて、起きた時には彼はもういなかった。
(つかれたからかえるといいのこして。)
疲れたから帰ると言い残して。
(そのとき、かがみうらないにいこうというはなしになっていたはずだ。)
その時、鏡占いに行こうという話になっていたはずだ。
(かがみ。かがみ。)
鏡。鏡。
(つかれたからかえる?)
疲れたから帰る?
(つかれたときにはよっつのかおがみえる。かがみのむこうにはなにがみえる?)
疲れた時には四つの顔が見える。鏡の向こうには何が見える?
(おれはa、さわださんはa、coloさんもa、みかっちさんはc)
俺はA、沢田さんはA、ColoさんもA、みかっちさんはC
(・・・・・かれじしんは?)
・・・・・彼自身は?
(だれもきかなかった。どうしてきかなかったんだろう。おもいかえすと、)
誰も訊かなかった。どうして訊かなかったんだろう。思い返すと、
(どうもかれがそのわだいにならないよううまくかわしていたようにおもう。)
どうも彼がその話題にならないよう上手くかわしていたように思う。
(かれはかがみをみたくなかった。だからあのよる、さきにかえった。)
彼は鏡を見たくなかった。だからあの夜、先に帰った。
(そしてじぶんのへやのかがみをわった。)
そして自分の部屋の鏡を割った。
(なぜみたくなかった?)
なぜ見たくなかった?
(おれはそうぞうする。)
俺は想像する。
(かがみのまえにたっているおれじしんを。そしてかがみにうつっているかおが、)
鏡の前に立っている俺自身を。そして鏡に映っている顔が、
(いっしゅん、どこかでみたような、どこでもみていないような、)
一瞬、どこかで見たような、どこでも見ていないような、
(しっているだれかのような、しらないだれかのような、)
知っている誰かのような、知らない誰かのような、
(むひょうじょうのにんげんのかおにみえたきがした。)
無表情の人間の顔に見えた気がした。
(はっとしてわれにかえる。)
ハッとして我に返る。
(すべてのdをころしてまわっているというかれがほんとうにおそれているのは・・・・・)
すべてのDを殺して回っているという彼が本当に恐れているのは・・・・・
(じぶんにしんじつをつげるたしゃのそんざい。)
自分に真実を告げる他者の存在。
(「あいたいっていうのに、わたし、こないでって」)
「会いたいって言うのに、私、来ないでって」
(さわださんがくちもとをおさえる。)
沢田さんが口元を押さえる。
(それでじっかへかえるのか。)
それで実家へ帰るのか。
(きゅうなひっこしのりゆうがわかった。)
急な引越しの理由が分かった。
(あれ?)
あれ?
(そのとき、きゅうにでじゃヴをかんじた。)
その時、急にデジャヴを感じた。
(こうなることをしっていたようなきがするのだ。)
こうなることを知っていたような気がするのだ。
(なんだろう。きもちがわるい。)
なんだろう。気持ちが悪い。
(「「わかった」って、そういってでんわがきれた。もうつながらない。)
「「わかった」って、そう言って電話が切れた。もう繋がらない。
(かけても、げんざいつかわれていないばんごうだって・・・・・」)
掛けても、現在使われていない番号だって・・・・・」
(さわださんはないているようだった。)
沢田さんは泣いているようだった。
(しばらくそうしてふたりともだまったままよかぜにふかれていたが、)
しばらくそうして二人とも黙ったまま夜風に吹かれていたが、
(やがておちついたころあいをみてせきにもどろうといった。)
やがて落ち着いた頃合いを見て席に戻ろうと言った。
(いざかやのじどうどあのまえにたち、それがひらくしゅんかん、がらすせいのふかんぜんな)
居酒屋の自動ドアの前に立ち、それが開く瞬間、ガラス製の不完全な
(かがみにうつったおれとさわださんのうしろ、だれもいないはずのくうかんに、)
鏡に映った俺と沢田さんの後ろ、誰もいないはずの空間に、
(むひょうじょうのにんげんがひっそりとたっているようなきがした。)
無表情の人間がひっそりと立っているような気がした。