なぞなぞ -2-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(だんちへののぼりざかをじそくひゃっきろでかけあがるばばあ。)

団地への上り坂を時速百キロで駆け上るババア。

(よなかcとうのまえのけやきのきのえだにぶらさがるくび。)

夜中C棟の前のケヤキの木の枝にぶらさがる首。

(ゆうがたeとうのかべにうつったじぶんのかげがかってにうごく。)

夕方E棟の壁に映った自分の影が勝手に動く。

(だんちないこうしゅうでんわboxにおばけからのでんわがかかってくる。)

団地内公衆電話BOXにお化けからの電話がかかってくる。

(・・・・・)

・・・・・

(「わりと、よくきくようなはなしですね」)

「わりと、よく聞くような話ですね」

(「そうだな。でもこのだんちのななふしはこどもだけじゃなくて、)

「そうだな。でもこの団地の七不思議は子どもだけじゃなくて、

(しゅふれんちゅうにもしんじているひとたちがおおいみたいだ。)

主婦連中にも信じている人たちが多いみたいだ。

(ときどきうわさがきこえてくるよ。てのかかるちいさいこどもをもち、)

時どき噂が聞こえてくるよ。手のかかる小さい子どもを持ち、

(せまいくうかんにおしこめられたおとなたちにもこころのびょうそうがあるということかな」)

狭い空間に押し込められた大人たちにも心の病巣があるということかな」

(あそこをみてみな。)

あそこを見てみな。

(ゆびさすさきにめをやると、ぶらんこのそばにこぶりなじゃんぐるじむが)

指さす先に目をやると、ブランコのそばに小ぶりなジャングルジムが

(ぽつんとたっている。)

ぽつんと建っている。

(「あのじゃんぐるじむに、いつのまにかちいさいこどもがはいってあそんでるっていう)

「あのジャングルジムに、いつの間にか小さい子どもが入って遊んでるっていう

(はなしもある。みとおしがいいし、あんなほそいぱいぷのほねぐみのどこかに)

話もある。見通しがいいし、あんな細いパイプの骨組みのどこかに

(かくれられるはずもないのに、だれもいなかったはずのじゃんぐるじむのなかに)

隠れられるはずもないのに、誰もいなかったはずのジャングルジムの中に

(きがつくとおとこのこがひとりはいっているんだ。)

気がつくと男の子がひとり入っているんだ。

(ぱいぷをのぼりおりしながらうちがわをはいまわっているらしい。)

パイプを上り下りしながら内側を這いまわっているらしい。

(みてしまってもきがつかないふりをしていると、)

見てしまっても気がつかないふりをしていると、

(またいつのまにかいなくなってるんだと」)

またいつの間にかいなくなってるんだと」

など

(「まるでようかいみたいですね。かいいにであってしまったときのたいしょほうと)

「まるで妖怪みたいですね。怪異に出会ってしまった時の対処法と

(せっとでそんざいするうわさだなんて」)

セットで存在する噂だなんて」

(「たしかにな」)

「確かにな」

(ふたりともじゃんぐるじむをみていた。おとこのこのすがたはない。)

二人ともジャングルジムを見ていた。男の子の姿はない。

(あのゆうぐがあんなにちいさかっただろうかとおもう。)

あの遊具があんなに小さかっただろうかと思う。

(じぶんにもあんなせまいぱいぷのなかをはいまわってあそんだじだいがあったということが、)

自分にもあんな狭いパイプの中を這い回って遊んだ時代があったということが、

(なんだかふしぎだ。)

なんだか不思議だ。

(「こどもといえば、こんなはなしもある。べびーかーをおしてははおやが)

「子どもと言えば、こんな話もある。ベビーカーを押して母親が

(だんちのなかをさんぽしていると、まわりにだれもいないのに、こえがきこえるんだ。)

団地の中を散歩していると、周りに誰もいないのに、声が聞こえるんだ。

(きょろきょろしているとまたきこえる。ささやくようなちいさなこえ。)

キョロキョロしているとまた聞こえる。囁くような小さな声。

(べびーかーのなかからだ。まだしゃべられなかったのに、とうとうあかんぼうが)

ベビーカーの中からだ。まだ喋られなかったのに、とうとう赤ん坊が

(しゃべれるようになったんだとよろこんでははおやがべびーかーのなかをのぞきこむ。)

喋れるようになったんだと喜んで母親がベビーカーの中を覗き込む。

(なのにあかんぼうはぐっすりねむっている・・・・・)

なのに赤ん坊はぐっすり眠っている・・・・・

(いったいなにがあかんぼうにささやいていたのか」)

いったいなにが赤ん坊に囁いていたのか」

(「それは」)

「それは」

(「なんだ」)

「なんだ」

(こわいはなしですね、とすなおにいえなかった。)

怖い話ですね、と素直に言えなかった。

(なにかごうりてきなかいしゃくができないかとかんがえたが、じょうほうがすくなすぎた。)

なにか合理的な解釈ができないかと考えたが、情報が少なすぎた。

(しかたなく、「のいろーぜじゃないですか。いくじのいろーぜ」)

仕方なく、「ノイローゼじゃないですか。育児ノイローゼ」

(というと、「かもな」とうなずいた。)

と言うと、「かもな」と頷いた。

(そしてそのまますこし、とおいめをした。)

そしてそのまま少し、遠い目をした。

(ふいにかちゃりというおとがきこえる。)

ふいにカチャリという音が聞こえる。

(じめんにかぎがおちている。じーんずのぽけっとからおちたらしい。)

地面に鍵が落ちている。ジーンズのポケットから落ちたらしい。

(かがんでてをのばし、ひろってあげる。)

屈んで手を伸ばし、拾ってあげる。

(「すまんな、こんなじょうたいで」)

「すまんな、こんな状態で」

(そのひとはきゅうくつそうにてのひらをひろげ、うけとった。)

その人は窮屈そうに手のひらを広げ、受け取った。

(わたすとき、ゆびさきがふれてなんだかてれたようなきぶんになる。)

渡すとき、指先が触れてなんだか照れたような気分になる。

(てれかくしにそのままゆびをおってみせる。)

照れ隠しにそのまま指を折って見せる。

(「むっつですね。ここまでで」)

「むっつですね。ここまでで」

(「うん?ああ、ななふしぎか。そうだな。さいごのひとつはおもしろいぞ」)

「うん?ああ、七不思議か。そうだな。最後のひとつは面白いぞ」

(おもしろい?それはおちてきなものだということだろうか。)

面白い?それはオチ的なものだということだろうか。

(「おもしろいというか、かいだんとしてめずらしいというのかな。こんなはなしだ」)

「面白いというか、階段として珍しいというのかな。こんな話だ」

(そうしてていねいにはなしてくれた。)

そうして丁寧に話してくれた。

(このだんちには「なぞなぞおじさん」というかいだんがある。)

この団地には「なぞなぞおじさん」という階段がある。

(aとうの702ごうしつにいるおじさんらしい。)

A棟の702号室にいるおじさんらしい。

(どうしてなぞなぞおじさんなのかというと、よんでじのごとく)

どうしてなぞなぞおじさんなのかというと、読んで字のごとく

(なぞなぞがだいすきなおじさんだからだ。)

なぞなぞが大好きなおじさんだからだ。

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