巨人の研究 -5-
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | berry | 7688 | 神 | 7.8 | 98.2% | 391.6 | 3067 | 56 | 57 | 2025/12/13 |
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問題文
(「で、そっちのはなしからきこうか」)
「で、そっちの話から聞こうか」
(ししょうがむぎちゃをふたつのこっぷにそそぐ。)
師匠が麦茶を二つのコップに注ぐ。
(ぼくはきのうぶしつできいたことをすべてはなした。そしてじぶんのたいけんだんも。)
僕は昨日部室で聞いたことをすべて話した。そして自分の体験談も。
(だまってきいていたししょうは「それがきのうのはなしか」とたしかめるようにいって、)
黙って聞いていた師匠は「それが昨日の話か」と確かめるように言って、
(このかすが、というかおをした。)
このカスが、という顔をした。
(「このかすが」)
「このカスが」
(いわれた。)
言われた。
(きづいたのがようやくきのうとはおそすぎる、といいたいようだ。)
気づいたのがようやく昨日とは遅すぎる、と言いたいようだ。
(「おまえはおやごろしのゆめのときにもぜんかがあるからな」とつけくわえる。)
「お前は親殺しの夢の時にも前科があるからな」と付け加える。
(そのときのことはあとからきかされていた。ことしのなつのはじめに、)
その時のことは後から聞かされていた。今年の夏のはじめに、
(このまちのおおくのひとがじぶんのおやをころすゆめをみたのだそうだ。)
この街の多くの人が自分の親を殺す夢を見たのだそうだ。
(ぼくもそのころなんどかそんなゆめをみたきがするのだが、)
僕もそのころ何度かそんな夢を見た気がするのだが、
(あまりきにせずにいたので、ほんきでききかんをおぼえて)
あまり気にせずにいたので、本気で危機感を覚えて
(げんいんきゅうめいにほんそうしたというししょうにさんざんこきくだされたのだった。)
原因究明に奔走したという師匠に散々こき下されたのだった。
(しかし、そのこととこびとをみたというはなしになにのかんけいがあるというのか。)
しかし、そのことと小人を見たという話に何の関係があると言うのか。
(「いいか。ちいさいひとをみるというかいだんはよくありそうだが、)
「いいか。小さい人を見るという怪談はよくありそうだが、
(かいだんばなしぜんたいのひりつからするとすくない。それはゆうれいというよりも)
怪談話全体の比率からすると少ない。それは幽霊というよりも
(ようかいてきなそんざいだからだ。)
妖怪的な存在だからだ。
(なぜなら、にほんじんのもついめーじのなかで、ししゃのれいをあらわれかたとしてはいっぱんてきでは)
なぜなら、日本人の持つイメージの中で、死者の霊を現れ方としては一般的では
(ないから。こびとをみたというかいだんには、いんねんばなしがからむことがすくない。)
ないから。小人を見たという怪談には、因縁話がからむことが少ない。
(ゆうれいをみたというはなしには、それがげんかくにせよなににせよ、ぜんていとして)
幽霊を見たという話には、それが幻覚にせよ何にせよ、前提として
(ししゃへのいけいという「げんいん」がそんざいすることがおおい。)
死者への畏敬という「原因」が存在することが多い。
(ところがこびとをみたというかいだんには、みてしまった、という「けっか」しかない。)
ところが小人を見たという怪談には、見てしまった、という「結果」しかない。
(こびとのすがたでひとのようなものがあらわれるひつぜんせいなど、ふつうはないから。)
小人の姿でヒトのようなものが現れる必然性など、普通はないから。
(やはりげんかくにせよ、なににせよ、だ」)
やはり幻覚にせよ、何にせよ、だ」
(ししょうはむぎちゃをひといきにのんで、かつんとおとをたててこっぷをてーぶるにおく。)
師匠は麦茶を一息に飲んで、カツンと音を立ててコップをテーブルに置く。
(「まあ、なにがいいたいかというとだ。いんねんばなしという「げんいん」があれば)
「まあ、なにが言いたいかと言うとだ。因縁話という「原因」があれば
(かいだんはしぜんにはっせいするものだ。)
怪談は自然に発生するものだ。
(それがないこびともくげきだんはどうしてもかずがすくないんだよ。)
それがない小人目撃談はどうしても数が少ないんだよ。
(もちろんこらいからつづく、ようかいもしくはようせいてきなそんざいという、それじたいが)
もちろん古来から続く、妖怪もしくは妖精的な存在という、それ自体が
(こびとでありいんねんとなったこびとでんせつはある。)
正体であり因縁となった小人伝説はある。
(とうほくのざしきわらしやあいぬのころぽっくる、とくしまのこなきじじい。いっすんぼうしや)
東北の座敷童やアイヌのコロポックル、徳島の子泣爺。一寸法師や
(ももたろうにだいひょうされるどうじがたのえいゆうたんもこびとのいっしゅだ。)
桃太郎に代表される童子型の英雄譚も小人の一種だ。
(とおくいちょうをとぶらえば、どわーふやれぷらこーん、とりかえっこをする)
遠く異朝をとぶらえば、ドワーフやレプラコーン、取り替えっこをする
(ぴくしー、ぐれむりんこうかでしられるぐれむりんとかもこびとだな。)
ピクシー、グレムリン効果で知られるグレムリンとかも小人だな。
(もちろんそのてまえにようせいというくくりがまずあるけど。)
もちろんその手前に妖精という括りがまずあるけど。
(ただこれらはもちろん、げんだいにおいてひんぱんにもくげきされるようなものじゃない」)
ただこれらはもちろん、現代において頻繁に目撃されるようなものじゃない」
(「それはそうでしょう。ざしきわらしならいまでもでるってうわさのりょかんとか)
「それはそうでしょう。座敷童なら今でも出るって噂の旅館とか
(ありそうですが」)
ありそうですが」
(「そういえば、りょかんのざしきわらしのえがまばたきするっていうきょうふえいぞうがあったな。)
「そういえば、旅館の座敷童の絵が瞬きするっていう恐怖映像があったな。
(まあそれはともかく、もんだいなのはちいさいひとをみたというはなしが)
まあそれはともかく、問題なのは小さい人を見たという話が
(ここさいきんふえているってのが、いかにいじょうなじたいかってことだ」)
ここ最近増えているってのが、いかに異常な事態かってことだ」
(ししょうはみぎてでじゅわきをもつようなしぐさをする。)
師匠は右手で受話器を持つような仕草をする。
(「じつわってふれこみのくだらないかいだんびでおをつくってるでぃれくたーに)
「実話って触れ込みのくだらない怪談ビデオを作ってるディレクターに
(しりあいがいるんだが、でんわできいてみてもとくにさいきんそんなけいこうは)
知り合いがいるんだが、電話で訊いてみても特に最近そんな傾向は
(みられないとよ。すくなくともかんとうきんぺんでは。)
見られないとよ。少なくとも関東近辺では。
(よかんはしてたが、おそらくまちだけでおこっていることだ」)
予感はしてたが、恐らく街だけで起こっていることだ」
(たかがしょうにんをみたというかいだんばなしをむだにおおげさにしようとしているように)
たかが小人を見たという怪談話を無駄に大袈裟にしようとしているように
(おもえて、へんなわらいがでてしまった。)
思えて、変な笑いが出てしまった。
(じろりとにらまれる。)
じろりと睨まれる。
(「おまえはきのうようやくみっつよっつのたいけんだんをしいれたところかもしれないけど、)
「お前は昨日ようやく三つ四つの体験談を仕入れたところかも知れないけど、
(わたしはここに、さんしゅうかんですでにすくなくともひゃくいじょうしゅうしゅうしている。)
わたしはここ二、三週間で既に少なくとも百異常蒐集している。
(もちろんこのまちで、それもさいきんのはなしばかりだ」)
もちろんこの街で、それも最近の話ばかりだ」
(ひゃくいじょう?よそうがいのかずにおどろいた。きょうちょうされるまでもなくいじょうなかずだ。)
百以上?予想外の数に驚いた。強調されるまでもなく以上な数だ。
(いっすんぼうしだとかどわーふだとか、ぐたいてきなきょうふしんをいだきようのないはなしに)
一寸法師だとかドワーフだとか、具体的な恐怖心を抱きようのない話に
(あたまがつかっていたところから、いっきにげんじつにひきもどされたきがした。)
頭が浸かっていたところから、一気に現実に引き戻された気がした。
(せすじがぞくりとする。)
背筋がゾクリとする。