なぞなぞ -3-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(うわさをきいたこどもが702ごうしつのどあのまえにたって、こんこんとのっくしたあと)

噂を聞いた子どもが702号室のドアの前に立って、コンコンとノックしたあと

(どあについているゆうびんうけをかたりとうちがわにおしてから、)

ドアについている郵便受けをカタリと内側に押してから、

(へやのなかにむかってはなしかける。)

部屋の中に向かって話しかける。

(「おじさん、おじさん、くらじよりもおおきくて、)

「おじさん、おじさん、クラじよりも大きくて、

(めだかよりもちいさいいきものな~んだ?」)

メダカよりも小さい生き物な〜んだ?」

(おじさんはなぞなぞがだいすきだけど、なかなかこたえがわからない。)

おじさんはなぞなぞが大好きだけど、なかなか答えがわからない。

(ずっとずっとかんがえている。どあのまえでまっていてもへんじはない。)

ずっとずっと考えている。ドアの前で待っていても返事はない。

(しかたがないのでひきかえしてじぶんのいえにかえる。)

仕方がないので引き返して自分の家に帰る。

(こたえはいるか。そんなのいるか!だからいるか。)

答えはイルカ。そんなのイルカ!だからイルカ。

(こんなにかんたんなのに、おじさんはわからないのだ。)

こんなに簡単なのに、おじさんは分からないのだ。

(こどものすむだんちのいっしつで、かぞくはねしずまりじぶんもへやで)

子どもの住む団地の一室で、家族は寝静まり自分も部屋で

(もうねようとしているころ、げんかんのどあをこんこんとたたくおとがきこえる。)

もう寝ようとしているころ、玄関のドアをコンコンと叩く音が聞こえる。

(かぞくがだれもおきないので、べっどからはいだし、)

家族が誰も起きないので、ベッドから這い出し、

(おそるおそるまっくらなげんかんにむかうと、こんこんとどあをたたくおとがとまる。)

恐る恐る真っ暗な玄関に向かうと、コンコンとドアを叩く音が止まる。

(かたりとどあのゆうびんうけがひらくおとがする。)

カタリとドアの郵便受けが開く音がする。

(「くじらよりもおおきくて、めだかよりもちいさいいきものな~んだ?」)

「クジラよりも大きくて、メダカよりも小さい生き物な〜んだ?」

(ゆうびんうけからひくいおとなのこえ。そのこえはつづける。)

郵便受けから低い大人の声。その声は続ける。

(「こたえはね。どろ。どろだよ」)

「答えはね。泥。泥だよ」

(こどもはどうしようもなくこわくなる。)

子どもはどうしようもなく怖くなる。

(なぞなぞおじさんがやってきたのだ。こんなじかんになって。)

なぞなぞおじさんがやって来たのだ。こんな時間になって。

など

(でもいるかなのに。こたえはそんなのいるか!なのにじぶんのこえがでせない。)

でもイルカなのに。答えはそんなのイルカ!なのに自分の声が出せない。

(「どろだよ」)

「泥だよ」

(もういちどちいさくつぶやいて、かたりとゆうびんうけがもどる。)

もう一度小さくつぶやいて、カタリと郵便受けが戻る。

(どあのむこうからけはいがきえる。おじさんがかえったのだ。)

ドアの向こうから気配が消える。おじさんが帰ったのだ。

(「どろ」といういみのわからないこたえをのこして。)

「泥」という意味のわからない答えを残して。

(そんなうわさ。)

そんな噂。

(だんちのこどもたちはそのうわさをきいて、おもしろはんぶんにつぎつぎに702ごうしつの)

団地の子どもたちはその噂を聞いて、面白半分に次々に702号室の

(ゆうびんうけになぞなぞをほうりこむ。)

郵便受けになぞなぞを放り込む。

(「おとうさんがきらいなくだものはな~んだ?」)

「お父さんが嫌いなくだものはな〜んだ?」

(「こうえんでしずかにそうっとのるものな~んだ?」)

「公園で静かにそうっと乗るものな〜んだ?」

(「せかいのまんなかにいるむしはな~んだ?」)

「世界の真ん中にいる虫はな〜んだ?」

(・・・・・)

・・・・・

(こたえはぱぱいや。ぱぱがいやだから。)

答えはパパイヤ。パパが嫌だから。

(こたえはしーそー。しーっとそーっとのるから。)

答えはシーソー。シーッとソーッと乗るから。

(こたえはか。せかいのまんなかは「か」だから。)

答えは蚊。せ・か・いの真ん中は「か」だから。

(けれどなぞなぞおじさんはそんなかんたんななぞなぞがわからない。)

けれどなぞなぞおじさんはそんな簡単ななぞなぞが分からない。

(よなかまでかんがえて、かぞくのねしずまるこどものいえにやってくるのだ。)

夜中まで考えて、家族の寝静まる子どもの家にやってくるのだ。

(ゆうびんうけからひくいこえで。)

郵便受けから低い声で。

(「おとうさんがきらいなくだものはね。はのはえたなし」)

「お父さんが嫌いなくだものはね。歯の生えた梨」

(「こうえんでしずかにそうっとのるものはね。くりぬかれたにれのき」)

「公園で静かにそうっと乗るものはね。刳り貫かれた楡の木」

(「せかいのまんなかにいるむしはね。はなあるき」)

「世界の真ん中にいる虫はね。鼻歩き」

(・・・・・)

・・・・・

(そのきもちのわるいこたえをきいても、ぜったいに「ちがう」といってはいけない。)

その気持ちの悪い答えを聞いても、絶対に「違う」と言ってはいけない。

(「ちがう」といってもべつのもっときもちわるいこたえをひくいこえでささやいてくる。)

「違う」と言っても別のもっと気持ち悪い答えを低い声で囁いてくる。

(それをくりかえしていると、じぶんでもほんとうのこたえがわからなくなってくるのだ。)

それを繰り返していると、自分でも本当の答えがわからなくなってくるのだ。

(こたえがわかるまでなぞなぞおじさんはかえらない。)

答えが分かるまでなぞなぞおじさんは帰らない。

(なのにこたえがきえてしまう・・・・・)

なのに答えが消えてしまう・・・・・

(「というはなしだ」)

「という話だ」

(どうだ?というようにみつめられる。)

どうだ?というように見つめられる。

(「それは」)

「それは」

(たしかにこわいが、まるでへんしつしゃだ。)

確かに怖いが、まるで変質者だ。

(「その702ごうしつはむじんなんですか」)

「その702号室は無人なんですか」

(「いや、おじさんがすんでるよ」)

「いや、おじさんが住んでるよ」

(「え、じゃあじつざいのひとなんですか」)

「え、じゃあ実在の人なんですか」

(「そう。ふつうのおじさん。もちろんおばけなんかじゃない。)

「そう。普通のおじさん。もちろんお化けなんかじゃない。

(だんちのしゅうかいにもかおをだすし、きんじょづきあいもふつうにしてる。)

団地の集会にも顔を出すし、近所づきあいも普通にしてる。

(むしろどうしてそんなうわさがうまれたのかほんにんがいちばんくびをかしげている」)

むしろどうしてそんな噂が生まれたのか本人が一番首を傾げている」

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