なぞなぞ -6-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(といれのまえにはcとうというこくいんがされたくりーむいろのかべがある。)

トイレの前にはC棟という刻印がされたクリーム色の壁がある。

(aとうはちかい。きょどうふしんにみられないていどにきょろきょろしながら)

A棟は近い。挙動不審に見られない程度にキョロキョロしながら

(なにいろかにいろわけされたほそうれんがのうえをあるき、)

何色かに色分けされた舗装レンガの上を歩き、

(aのこくいんのあるきょだいなたてもののまえにたつ。)

Aの刻印のある巨大な建物の前に立つ。

(げんかんでのせきゅりてぃーはなかったのでどうどうとしょうめんからいりこみ、)

玄関でのセキュリティーはなかったので堂々と正面から入り込み、

(えれべーたーにのる。「7」をおすと、)

エレベーターに乗る。「7」を押すと、

(とちゅうでとまることもなくもくてきちでとびらがひらいた。)

途中で止まることもなく目的地で扉が開いた。

(へいじつのひるにっちゅう。)

平日の昼ひなか。

(たいようのかくどのかんけいか、みょうにひんやりしたくうきがただよっているろうかにでる。)

太陽の角度の関係か、妙にひんやりした空気が漂っている廊下に出る。

(しずかだ。ここまでじゅうみんのだれともであわなかった。)

静かだ。ここまで住民の誰とも出会わなかった。

(702ごうしつははしのほうだ。かべとよくにたいろのどあがならんでいるのを)

702号室は端の方だ。壁とよく似た色のドアが並んでいるのを

(よこめでみながらあるき、やがて702のひょうじをみつける。)

横目で見ながら歩き、やがて702の表示を見つける。

(どあのりょうわきのかべに、じぶんでとりつけたのか、ぷらすちっくのいたがあった。)

ドアの両脇の壁に、自分で取り付けたのか、プラスチックの板があった。

(「こどもたちのためにきんえんを」)

「こどもたちのために禁煙を」

(「きつえんはきめられたばしょで」)

「喫煙は決められた場所で」

(そんなかつじがくろくきざまれている。)

そんな活字が黒く刻まれている。

(なぞなぞおじさんはどうやら、きんえんうんどうだかけんえんうんどうだかをこのだんちで)

なぞなぞおじさんはどうやら、禁煙運動だか嫌煙運動だかをこの団地で

(すいしんしているひとらしい。だんちのしゅうかいでは、おかあさんたちからはしじされ、)

推進している人らしい。団地の集会では、お母さんたちからは支持され、

(おとうさんれんちゅうからはけむたがられているにちがいない。)

お父さん連中からは煙たがられているに違いない。

(おれはちいさくわらってどあをのっくする。)

俺は小さく笑ってドアをノックする。

など

(しばらくまってもはんのうはない。やはりしごとにでているらしい。)

しばらく待っても反応はない。やはり仕事に出ているらしい。

(どあのぶのよこ、しためのいちによこながのゆうびんうけのくちがある。)

ドアノブの横、下目の位置に横長の郵便受けの口がある。

(いろはぎんいろ。かるくかがんでみぎてのおやゆびでおしてみる。)

色は銀色。軽く屈んで右手の親指で押してみる。

(のぞきこんでもへやのなかはみえない。)

覗き込んでも部屋の中は見えない。

(どあのうちがわにゆうびんぶつをうけるかばーがあるのだ。)

ドアの内側に郵便物を受けるカバーがあるのだ。

(すこしおおきめのこえがいう。)

少し大きめの声が言う。

(「おじさん、おじさん、)

「おじさん、おじさん、

(へびーすもーかーがあるあさきゅうにきんえんしたのはな~ぜだ?」)

ヘビースモーカーがある朝急に禁煙したのはな〜ぜだ?」

(こもったこえがそれでもかばーのむこうがわにもれていくのがわかる。)

篭った声がそれでもカバーの向こう側に漏れていくのが分かる。

(けれどしつないからひとのけはいはなく、なぞなぞにこたえるこえもなかった。)

けれど室内から人の気配はなく、なぞなぞに答える声もなかった。

(しばらくまつ。せいじゃくがみみにひびく。みみなりがやってきそうでみがまえているが、)

しばらく待つ。静寂が耳に響く。耳鳴りがやってきそうで身構えているが、

(いつまでたってもそれはこなかった。)

いつまで経ってもそれは来なかった。

(かたりとゆうびんうけからゆびをはなし、702ごうしつをあとにする。)

カタリと郵便受けから指を離し、702号室を後にする。

(いちどろうかでふりかえったが、ほんのすこしどあがひらきかけている、)

一度廊下で振り返ったが、ほんの少しドアが開きかけている、

(なんてことはなかった。)

なんてことはなかった。

(aとうのげんかんにおりたち、できるだけとおまわりしてもどろうと、)

A棟の玄関に降り立ち、出来るだけ遠回りして戻ろうと、

(きたほうこうのぎゃくへあしをむける。)

来た方向の逆へ足を向ける。

(なんとかまよわずにしたのこうえんにもどってくると、そのひとはぎゃくほうこうからきたおれに、)

なんとか迷わずに下の公園に戻ってくると、その人は逆方向から来た俺に、

(あれ?というひょうじょうをして、そしてすぐににこりとわらった。)

あれ?という表情をして、そしてすぐにニコリと笑った。

(「きをつかわせたな」)

「気をつかわせたな」

(ちょうどむなもとをしまうところだった。)

ちょうど胸元をしまうところだった。

(むねにだいたあかんぼうはさっきまでぐずりかけていたのに、)

胸に抱いた赤ん坊はさっきまでぐずりかけていたのに、

(いまはまんぞくそうなかおでめをとじている。)

今は満足そうな顔で目を閉じている。

(あかんぼうのくちをはんかちでかるくふき、そのひとはおれにわらいかける。)

赤ん坊の口をハンカチで軽く拭き、その人は俺に笑いかける。

(「いえによっていかないか」)

「家に寄って行かないか」

(そのていあんにいっしゅんまよってから、えんりょをした。「ともだちがもうむかえにきますから」)

その提案に一瞬迷ってから、遠慮をした。「友だちがもう迎えに来ますから」

(「そうか、ざんねんだな」とさほどざんねんそうでもなくいうと、)

「そうか、残念だな」とさほど残念そうでもなく言うと、

(そのひとはあかんぼうにむかって、「あぶぶ」とくちをすぼめてみせた。)

その人は赤ん坊に向かって、「あぶぶ」と口をすぼめて見せた。

(おれは、もういってきましたよ、とくちのなかでつぶやく。)

俺は、もう行って来ましたよ、と口の中で呟く。

(そうしながら、さんけたのばんごうがいんじされたかぎがあのたいみんぐで)

そうしながら、三桁の番号が印字された鍵があのタイミングで

(ぽけっとからおちたのはぐうぜんなのかどうかかんがえている。)

ポケットから落ちたのは偶然なのかどうか考えている。

(やがてそのむそうもあいまいなままどこかにきえ、ただふゆのあいまにさしこまれた)

やがてその夢想も曖昧なままどこかに消え、ただ冬の合間に差し込まれた

(やわらかいこはるびよりのこうえんにたっている。)

柔らかい小春日和の公園に立っている。

(こはるびよりにあたるきせつを、あめりかではいんでぃあんさまーというらしい。)

小春日和にあたる季節を、アメリカではインディアン・サマーというらしい。

(さむさのほんかくてきなとうらいのまえにぽっかりとおとずれる、ふゆにむけたじゅんびのための)

寒さの本格的な到来の前にぽっかりと訪れる、冬に向けた準備のための

(あたたかなじかん。はるでもおおげさだとおもうが、なつとはすごいたとえだ。)

暖かな時間。春でも大げさだと思うが、夏とは凄い例えだ。

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