もういいかい -2-

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問題文
(にほんまからでると、しんけんなひょうじょうでしゅうかいじょのなかをひととおりみてまわる。)
日本間から出ると、真剣な表情で集会所の中を一通り見て回る。
(もうひとまわりちいさいへやに、といれ、だいどころ。)
もう一回り小さい部屋に、トイレ、台所。
(まつりでつかうようなちょうちんやこどうぐでいっぱいのものおき。)
祭りで使うような提灯や小道具でいっぱいの物置。
(にかいもなく、あっというまにもうみるべきばしょはなくなってしまった。)
二階もなく、あっという間にもう見るべき場所はなくなってしまった。
(ついてまわっているあいだ、ぼくもなにかいわかんがないかとあんてなをはっていたが、)
ついて回っている間、僕も何か違和感がないかとアンテナを張っていたが、
(とくにかんじるものはなかった。)
特に感じるものはなかった。
(しかしかなこさんはぼくよりはるかにそういういわかんをかんじとるのうりょくがたかい。)
しかし加奈子さんは僕より遥かにそういう違和感を感じ取る能力が高い。
(いけいをこめてししょうとよぶほどにだ。)
畏敬を込めて師匠と呼ぶほどにだ。
(そのししょうが、むずかしいかおをしてろうかのてんじょうをにらんでいる。)
その師匠が、難しい顔をして廊下の天井を睨んでいる。
(いっしょにそちらをみあげるが、もくめがなみうっているだけでなにもへんなところはない。)
一緒にそちらを見上げるが、木目が波打っているだけで何も変なところはない。
(どうしました。といおうとして、てでせいされた。)
どうしました。と言おうとして、手で制された。
(「なにかきこえるきがするんだけど、なんともいえないな」)
「何か聞こえる気がするんだけど、なんとも言えないな」
(おもわずみみをすます。しかしなにもきこえない。)
思わず耳を澄ます。しかし何も聞こえない。
(ししょうがしんけいをしゅうちゅうしはじめたのがわかる。ひょうじょうがなくなり、みうごきをしなくなる。)
師匠が神経を集中し始めたのが分かる。表情がなくなり、身動きをしなくなる。
(ぼくはかたずをのんでそれをみまもる。かまたさんがうしろできみわるそうにたたずんでいる。)
僕は固唾を飲んでそれを見守る。鎌田さんが後ろで気味悪そうに佇んでいる。
(ししょうのけはいがゆらぐ。ゆらゆらと、まるでそこからきえていきそうなさっかく。)
師匠の気配が揺らぐ。ゆらゆらと、まるでそこから消えていきそうな錯覚。
(ぼくはこわくなってかのじょをげんじつにもどすためにかたをたたこうかとしゅんじゅんした。)
僕は怖くなって彼女を現実に戻すために肩を叩こうかと逡巡した。
(「わかんない」)
「わかんない」
(ふいにかのじょがもどってくる。そのこえにぼくはすこしほっとする。)
ふいに彼女が戻ってくる。その声に僕は少しほっとする。
(けっきょくかいいにそうぐうしたというたいけんだんがおおいよるまでようすをみることになった。)
結局怪異に遭遇したという体験談が多い夜まで様子を見ることになった。
(かまたさんははんしんはんぎというか、こまったようなかおのままぼくらにかぎをあずけ、)
鎌田さんは半信半疑というか、困ったような顔のまま僕らに鍵を預け、
(よろしくおねがいしますといいおいてたちさった。)
よろしくお願いしますと言いおいて立ち去った。
(ひるのさんじすぎだった。)
昼の三時過ぎだった。
(きょうはこのしゅうかいじょをつかうようなよていもとくにないらしく、)
今日はこの集会所を使うような予定も特にないらしく、
(ぼくとししょうはひっそりとしたしつないにこしをすえた。)
僕と師匠はひっそりとした室内に腰を据えた。
(たんさくもしたばかりだったのでとりあえずすることもなく、げんかんからすぐの)
探索もしたばかりだったのでとりあえずすることもなく、玄関からすぐの
(にほんまでふるいかたのてれびをつけてさほどおもしろくもないたびばんぐみをみていた。)
日本間で古い型のテレビをつけてさほど面白くもない旅番組を見ていた。
(「きもちのわるいこえって、なんなんでしょうね」)
「気持ちの悪い声って、なんなんでしょうね」
(ぼそりとくちにしたぼくに、ざぶとんをすうまいならべてそのうえにねころがっていたししょうが)
ぼそりと口にした僕に、座布団を数枚並べてその上に寝転がっていた師匠が
(かおをあげる。)
顔を上げる。
(「おばけだといいな」)
「お化けだといいな」
(おばけだといいですね。)
お化けだといいですね。
(さんどうしつつも、じぶんたちいがいのなんのけはいもかんじないことにぎもんをいだいていた。)
賛同しつつも、自分たち以外のなんの気配も感じないことに疑問を抱いていた。
(いじょうにれいかんのつよいししょうでさえ、「なんともいえない」といっているのだ。)
以上に霊感の強い師匠でさえ、「なんとも言えない」と言っているのだ。
(もしなんらかのれいてきそんざいがすくっていたとしても、びじゃくでわいしょうなやつにちがいない。)
もし何らかの霊的存在が巣食っていたとしても、微弱で矮小なやつに違いない。
(うわさにあるように「はなしかけられたらへんじをしないところされる」だとか、)
噂にあるように「話しかけられたら返事をしないと殺される」だとか、
(「へんじをしてしまうとゆかしたにひきずりこまれる」といったすばらしいたいけんは)
「返事をしてしまうと床下に引きずり込まれる」といった素晴らしい体験は
(まちがいなくできないだろう。)
間違いなくできないだろう。
(ためいきをついてぼくはといれにたった。)
溜め息をついて僕はトイレに立った。
(ろうかにでるとき、ぎぃ、とゆかがないてむだにひろいしゅうかいしょのかべやてんじょうにはんきょうした。)
廊下に出る時、ギィ、と床が鳴いて無駄に広い集会所の壁や天井に反響した。
(ぼうおんこうぞうになっているのか、そとのおとがあまりなかまでひびいてこない。)
防音構造になっているのか、外の音があまり仲間で響いてこない。
(なるほど、これでなかのおとがやけにおおきくきこえて、)
なるほど、これで中の音がやけに大きく聞こえて、
(ちょっとしたものおとでもきになってしまうのか。)
ちょっとした物音でも気になってしまうのか。
(といれからもどり、またてれびのまえにねそべる。)
トイレから戻り、またテレビの前に寝そべる。
(じかんだけがすぎていく。ちっちっちっち・・・・・というかべにかかった)
時間だけが過ぎていく。チッチッチッチ・・・・・という壁にかかった
(とけいのおとが、てれびがしずかになるしゅんかんにだけやけにおおきくひびく。)
時計の音が、テレビが静かになる瞬間にだけやけに大きく響く。
(かまたさんからたべていいといわれていただいどころのかしわもちをにほんまにもちこんで、)
鎌田さんから食べていいと言われていた台所の柏餅を日本間に持ち込んで、
(じぶんでいれたおちゃといっしょにくちにする。)
自分で淹れたお茶と一緒に口にする。
(「うまいな」)
「うまいな」
(うまいですね。)
うまいですね。
(やがれゆうぐれがやってきて、ちいさなまどからもひかりがうしなわれていく。)
やがれ夕暮れがやってきて、小さな窓からも光が失われていく。
(しらぬまにうとうとしていた。)
知らぬ間にうとうとしていた。
(ししょうがなにかいったきがした。)
師匠がなにか言った気がした。
(たたみのあとがほおにはりつき、はがすときにひりりとする。)
畳の跡が頬に張り付き、剥がす時にヒリリとする。
(はんかくせいのあたまで、ことばをにんしきしようとする。)
半覚醒の頭で、言葉を認識しようとする。
(ああ、そうか。)
ああ、そうか。
(もういいかい。)
もういいかい。
(そういわれたのだ。)
そう言われたのだ。
(からだをおこすと、しゅういをみわたす。ししょうがてれびのまえでうつぶせになったまま)
身体を起こすと、周囲を見渡す。師匠がテレビの前でうつ伏せになったまま
(しんだようにねている。)
死んだように寝ている。
(じゃあ、いったいだれが。)
じゃあ、一体誰が。