王子とこじき 5

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投稿者投稿者ローズマリーいいね0お気に入り登録
プレイ回数2難易度(4.4) 2021打 長文
作者 マーク・トウェイン

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問題文

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(おどろいたのはぐれいひめのほうだった。)

驚いたのはグレイ姫のほうだった。

(「まあ、なんてことをいいなさいます。おうじさまがひざまずかれるなんて。)

「まあ、なんてことを言いなさいます。王子様がひざまずかれるなんて。

(どうか、おたちあそばして」)

どうか、お立ちあそばして」

(「いいえ、おうじさまをみつけてくださればわかります。ほんとうのことなんです」)

「いいえ、王子様を見つけてくださればわかります。本当のことなんです」

(おひめさまはなにがなんだかわからなかった。)

お姫さまは何が何だかわからなかった。

(そこで、さけびごえをあげながらへやからとびだしていった。)

そこで、叫び声をあげながら部屋から飛び出していった。

((ああ、どうしたらいいんだろう))

(ああ、どうしたらいいんだろう)

(とむもきをうしないそうになってあたまをかかえこんだ。)

トムも気を失いそうになって頭を抱え込んだ。

(もうこのことは、きゅうでんのなかのへやからへやへ、おこしょうからおつきのにょかん、きふじん)

もうこのことは、宮殿の中の部屋から部屋へ、お小姓からお付きの女官、貴婦人

(そしてへいたいにまで「たいへんだ。おうじさまはきがおくるいあそばした!」)

そして兵隊にまで「大変だ。王子様は気がお狂いあそばした!」

(「あたまがおかしくなられたらしいぞ」)

「頭がおかしくなられたらしいぞ」

(だれもおおきなこえではいわなかったが、くちからくちへ、おそろしいはやさで)

だれも大きな声では言わなかったが、口から口へ、恐ろしい早さで

(つたわっていったのである。)

伝わっていったのである。

(やがてだいりせきのまには、きゅうでんじゅうのきぞくたちがあつまって、)

やがて大理石の間には、宮殿中の貴族たちが集まって、

(ひそひそとみみうちしながら、あおざめておうじのみのうえをはなしあった。)

ひそひそと耳打ちしながら、青ざめて王子の身の上を話し合った。

(そこへ、どっしりとしたふくのみぶんのたかいけらいがやってきて)

そこへ、どっしりとした服の身分の高い家来がやってきて

(おごそかにおおごえで「こくおうへいかからのおつげをしらせる!」といった。)

厳かに大声で「国王陛下からのお告げを知らせる!」と言った。

(あらゆるひとがあたまをさげると「いかなるものも、おうじについてのあやしげなうわさを)

あらゆる人が頭を下げると「いかなる者も、王子についての怪しげな噂を

(いいふらすことをきんずる。もし、きゅうでんよりそとへおうじのうわさをもちだしたものは)

言いふらすことを禁ずる。もし、宮殿より外へ王子の噂を持ち出した者は

(ただちにしけいとする」)

ただちに死刑とする」

など

(いあわせたひとは、おうじのことをしんぱいするのと、こくおうのいかりと)

居合わせた人は、王子のことを心配するのと、国王の怒りと

(ふたつのはさみうちにあって、ぴたりとだまりこくっていよいよあおざめたのだった。)

ふたつの挟み撃ちにあって、ぴたりと黙りこくっていよいよ青ざめたのだった。

(すると、ろうかのほうからこえがした。)

すると、廊下のほうから声がした。

(「おうじさまのおでまし!」)

「王子様のお出まし!」

(ひとりぼっちになっているのが、いたたまれなくて)

ひとりぼっちになっているのが、いたたまれなくて

(よろよろととむがでてきたのだった。)

よろよろとトムが出てきたのだった。

(きぞくたちは、だいりせきのまにはいってきたとむに、だれもかれもひざまずいた。)

貴族たちは、大理石の間に入ってきたトムに、だれもかれもひざまずいた。

(とむのうしろには、きゅうでんにいるいしゃとか、おうじのみのまわりをせわするじじゅうとか)

トムの後ろには、宮殿にいる医者とか、王子の身の回りを世話する侍従とか

(きぞくがつづいていた。そして、おどおどしためつきのとむを)

貴族が続いていた。そして、おどおどした目つきのトムを

(うやうやしく、いちだんとおくまったへやへみちびいた。)

恭しく、一段と奥まった部屋へ導いた。

(そのへやのしょうめんのべっどには、おそろしくふとって、ぶよぶよしたしろいかみのけのひとが)

その部屋の正面のベッドには、恐ろしく太って、ぶよぶよした白い髪の毛の人が

(いかめしいかおつきでよこたわっていた。あしはふくれあがっていて、)

いかめしい顔つきで横たわっていた。足は膨れ上がっていて、

(ほうたいがまいてあって、しかもふとんのうえにのせてあった。)

包帯がまいてあって、しかも布団の上にのせてあった。

((おうさまだ・・・でもびょうきみたいだ))

(王様だ・・・でも病気みたいだ)

(とむはみてとった。たしかにこのびょうにんこそ、へんりーはっせいでこくおうへいかだった。)

トムは見てとった。確かにこの病人こそ、ヘンリー八世で国王陛下だった。

(「おお、えどわーど、そちはどうしたのじゃ」)

「おお、エドワード、そちはどうしたのじゃ」

(こくおうは、とむにいっしょうけんめいやさしくはなしかけようとしていた。)

国王は、トムに一生懸命優しく話しかけようとしていた。

(「・・・わしは、そちをあいしておる。いたわっておる。)

「・・・わしは、そちを愛しておる。いたわっておる。

(わしが、いずれこくおうのくらいをゆずるのは、そちしかない。)

わしが、いずれ国王の位を譲るのは、そちしかない。

(それなのにびょうきのうわさとは、なさけないぞ。えどわーど」)

それなのに病気の噂とは、情けないぞ。エドワード」

(へたへたっと、とむはすわりこんでしまった。)

へたへたっと、トムは座り込んでしまった。

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