列 -2-(完)

cicciさんのアカウント
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 8019 | 神 | 8.1 | 98.4% | 323.1 | 2633 | 42 | 54 | 2025/08/31 |
2 | Jyo | 6187 | A++ | 6.2 | 98.5% | 419.4 | 2634 | 39 | 54 | 2025/09/01 |
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問題文
(そのこうけいはぼくのしょうがいのなかでわすれることのできないかがやきをもって、)
その光景は僕の生涯の中で忘れることのできない輝きを持って、
(さまざまなしゅんかんにいくどとなくよみがえることになるのだ。)
様々な瞬間に幾度となく蘇ることになるのだ。
(あかりのおちたやっきょくのかんばんのまえでおもわずたちどまり、)
明かりの落ちた薬局の看板の前で思わず立ち止まり、
(そのよこがおにみとれていた。)
その横顔に見惚れていた。
(れいどうのいちばんせんたんをいくのはじょせいだった。)
霊道の一番先端を行くのは女性だった。
(しろいじゃーじのじょうげをきて、ぽけっとにりょうてをつっこみ、)
白いジャージの上下を着て、ポケットに両手を突っ込み、
(すこしねこぜで、にらみあげるようにまえをみすえてあるいている。)
少し猫背で、睨み上げるように前を見据えて歩いている。
(そのそうぼうはどきをはらんだようにしろく、めは・・・・・)
その相貌は怒気を孕んだように白く、眼は・・・・・
(めは、そこにうつるすべてのものをぞうおし、だきし、さいなみ、)
眼は、そこに映るすべてのものを憎悪し、唾棄し、苛み、
(そしてそれでいてまったくきょうみをそうしつしているような、そんないろをしていた。)
そしてそれでいて全く興味を喪失しているような、そんな色をしていた。
(いらだちをまきちらし、じぶんをふきげんにさせたすべてをのろいながら)
苛立ちを撒き散らし、自分を不機嫌にさせたすべてを呪いながら
(かのじょはあるいている。)
彼女は歩いている。
(そのあとにぼんやりとひかるししゃのぎょうれつがおともなくつづく。)
その後にぼんやりと光る死者の行列が音もなく続く。
(ぼくはいきをとめてみつめている。)
僕は息を止めて見つめている。
(そうれつにもにたそうごんなこうしんは、)
葬列にも似た荘厳な行進は、
(やはんをすぎてきょうそうのさめかけたはんかがいのよるのそこをいく。)
夜半を過ぎて狂騒の冷めかけた繁華街の夜の底を行く。
(このよのものならぬものたちをしたがえ、)
この世のものならぬものたちを従え、
(そしてそのことにきづいているのかどうかもわからないひょうじょうで、)
そしてそのことに気づいているのかどうかもわからない表情で、
(ふりかえりもせずただぜんぽうをにらみすえてかのじょはあるきつづける。)
振り返りもせずただ前方を睨み据えて彼女は歩き続ける。
(いったいかのじょのなにが、まるでゆうがとうのようにかれらをひきつけるのだろう。)
いったい彼女の何が、まるで誘蛾灯のように彼らを惹きつけるのだろう。
(ぼくはそのげんそうてきなこうけいにいっぽあしをふみだし、)
僕はその幻想的な光景に一歩足を踏み出し、
(とおりすぎようとするかのじょにこえをかけようとした。)
通り過ぎようとする彼女に声をかけようとした。
(「あの・・・・・」)
「あの・・・・・」
(あげかけたみぎてがこくうをかく。かのじょはあしをとめようともせず、)
挙げかけた右手が虚空を掻く。彼女は足を止めようともせず、
(そしてこちらをいちべつもせずに、ただみじかくくちをひらいた。)
そしてこちらを一瞥もせずに、ただ短く口を開いた。
(「うしろにならべ」)
「後ろに並べ」
(そしてつぎのしゅんかん、かのじょはいまじぶんがことばをはっしたことさえわすれたように)
そして次の瞬間、彼女は今自分が言葉を発したことさえ忘れたように
(ひょうじょうをかえずあるきさろうとする。)
表情を変えず歩き去ろうとする。
(すべてがすろーもーしょんのようにうつる。)
すべてがスローモーションのように映る。
(いまじぶんにはなしかけたものがこのよのものなのか、そうでないのか、)
今自分に話しかけたものがこの世のものなのか、そうでないのか、
(まったくかんけいがない。そんなこえだった。そうしたくべつもなく、)
まったく関係がない。そんな声だった。そうした区別もなく、
(ただどちらにもひとしくかちがないとたわいもなくしんじているような。)
ただどちらにも等しく価値がないと他愛もなく信じているような。
(ぼくはそのこえにしたがいそうになる。)
僕はその声に従いそうになる。
(しんそういしきのどこかで、かのじょにつきしたがうそうれつにまざり、いしきをそうしつし、)
深層意識のどこかで、彼女につき従う葬列に混ざり、意識を喪失し、
(こせいをまいぼつさせてただひたすらもうもくてきについていきたいと、そうおもっている。)
個性を埋没させてただひたすら盲目的について行きたいと、そう思っている。
(ただ、げんじつのぼくはめのまえをとおりすぎていくさむざむとしたれつを)
ただ、現実の僕は目の前を通り過ぎていく寒々とした列を
(ぼけたようなかおでみおくっている。)
呆けたような顔で見送っている。
(そのときぼくは、かのじょのよこがおになみだがながれていくのをみた。)
そのとき僕は、彼女の横顔に涙が流れていくのを見た。
(いや、それはなみだではなかった。)
いや、それは涙ではなかった。
(ひだりめのした、ほおのうえあたりにほのかにひかるりゅうしがあふれている。)
左目の下、頬の上あたりに仄かに光る粒子が溢れている。
(それがかぜにながれるすいてきのようにぽろぽろとこぼれては)
それが風に流れる水滴のようにぽろぽろとこぼれては
(じめんにおちるまえにきえていく。)
地面に落ちる前に消えていく。
(そのりゅうしのあとをおってむすうのししゃたちがひかりのおびとなってすすむ。)
その粒子の跡を追って無数の死者たちが光の帯となって進む。
(しずかなかわのようだった。)
静かな川のようだった。
(ぼくはそれにめをうばわれる。)
僕はそれに目を奪われる。
(そのじょうけいにじぶんのかんじょうをひょうげんするすべをもたないじぶんがひどくもどかしかった。)
その情景に自分の感情を表現するすべを持たない自分がひどくもどかしかった。
(きがつくとぎょうれつはさり、やがてふたたびはんかがいのざわめきがもどってきた。)
気が付くと行列は去り、やがて再び繁華街のざわめきが戻ってきた。
(さっきまでのいようなくうきはもうどこにもない。)
さっきまでの異様な空気はもうどこにもない。
(なにごともなかったかのようにしゅきをおびたひとびとがみちをおうだんしてく。)
何ごともなかったかのように酒気を帯びた人々が道を横断してく。
(とおくできゃくのよびこみをしているしわがれたこえがきこえる。)
遠くで客の呼び込みをしている嗄れた声が聞こえる。
(おわりかけたよるのざんさいがあすふぁるとのひょうめんをゆっくりとながれている。)
終わりかけた夜の残滓がアスファルトの表面をゆっくりと流れている。
(われにかえったぼくは、ぼうだちのままひだりめのしたにゆびをやる。)
我に返った僕は、棒立ちのまま左目の下に指をやる。
(もういちどどこかであのひとにあうだろう。)
もう一度どこかであの人に会うだろう。
(そんなよかんがした。)
そんな予感がした。