王子とこじき 13

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投稿者投稿者ローズマリーいいね0お気に入り登録
プレイ回数1難易度(4.4) 4339打 長文
作者 マーク・トウェイン

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(とむは、いちばんあでやかにかざったおうしつようのふねにのりこんで、) トムは、一番あでやかに飾った王室用の船に乗りこんで、 (てむずがわをゆるゆるとくだっていた。もちろん、おうじえどわーどとして・・・) テムズ川をゆるゆると下っていた。もちろん、王子エドワードとして・・・ (かわのうえをながれてくるのは、ゆったりとしたおんがくばかりではなかった。) 川の上を流れてくるのは、ゆったりとした音楽ばかりではなかった。 (こんや、こくおうへいかのだいりとして、しかいどうのえんかいへおいでになるおうじをいわって、) 今夜、国王陛下の代理として、市会堂の宴会へおいでになる王子を祝って、 (しゅくほうまでとどろいた。) 祝砲までとどろいた。 (とむはいきがつまるほどびっくりして、めをみひらいたままだった。) トムは息がつまるほどびっくりして、目を見開いたままだった。 (だが、となりにすわっているえりざべすおうじょとぐれいひめは、) だが、隣に座っているエリザベス王女とグレイ姫は、 (こんなことにはなれっこらしく、にこやかにわらいながら) こんなことには慣れっこらしく、にこやかに笑いながら (ときどき、はしのうえのひとたちにてをあげたりしていた。) 時々、橋の上の人たちに手を上げたりしていた。 (そのたびに「ばんざーい」のこえがあがった。) そのたびに「ばんざーい」の声があがった。
(ふねがしかいどうのまえのふなつきばへつくと、そこからぎょうれつがはじまった。) 船が市会堂の前の船着き場へ着くと、そこから行列がはじまった。 (そしてそのぎょうれつは、まっかなれいふくにきんのくさりをたくさんつけたしちょうと) そしてその行列は、真っ赤な礼服に金の鎖をたくさんつけた市長と (しかいぎいんがでむかえるいりぐちにすいこまれていった。) 市会議員が出迎える入口に吸い込まれていった。 (てんじょうのたかいたてもののなかでは、なんびゃくものうつくしくきかざったひとたちが) 天井の高い建物のなかでは、何百もの美しく着飾った人たちが (いっせいにふかいおじぎをした。そのあいだをあるいていくと) いっせいに深いお辞儀をした。その間を歩いていくと (しぜんにしょうめんのいちばんたかいおおきないすについたのである。) 自然に正面の一番高い大きな椅子についたのである。 (「おたちあそばせ」ずっと、そばちかくついてきたはーふぉーどきょうが) 「お立ちあそばせ」ずっと、そば近くついてきたハーフォード卿が (とむのみみもとでささやいた。) トムの耳元でささやいた。 (とむがいわれたとおりにたちあがると、それがあいずであったのだろう。) トムが言われた通りに立ち上ると、それが合図であったのだろう。 (らっぱのおとがながくおをひいてながれた。すると、どあがひらいてふとったりょうりがしらが) ラッパの音が長く尾を引いて流れた。すると、ドアが開いて太った料理頭が
など
(きゅうじにんをにじゅうにんもひきつれて、のっそりとでてきてとむにうやうやしくおじぎをした。) 給仕人を二十人も引き連れて、のっそりと出てきてトムに恭しくお辞儀をした。 (「えんかいをはじめさせていただきます」) 「宴会を始めさせていただきます」 (きゅうじにんは、てにてにおおきなぎんのさらをもっていた。) 給仕人は、手に手に大きな銀の皿を持っていた。 (さらのうえには、ほかほかのりょうりがのっている。) 皿の上には、ほかほかの料理がのっている。 (ひろいてーぶるに、ぎんのさらがのせられると、) 広いテーブルに、銀の皿がのせられると、 (きんのこっぷがすべてのひとびとにくばられ、おともたてずにさけがつがれた。) 金のコップがすべての人々に配られ、音もたてずに酒がつがれた。 (えりざべすおうじょもぐれいひめもえがおで) エリザベス王女もグレイ姫も笑顔で (「みなのものは、おうじさまのおいでをこころからよろこんでおります。) 「皆の者は、王子様のおいでを心から喜んでおります。 (さあ、こっぷをたかくおあげください」いわれるとおりにとむはした。) さあ、コップを高くお上げください」言われる通りにトムはした。 (すると、ひろいしかいどうをゆるがすような) すると、広い市会堂を揺るがすような (「おうじさま、ばんざーい」のこえがなんべんもくりかえしあがったのである。) 「王子様、ばんざーい」の声が何遍も繰り返しあがったのである。 (さて、このこえをこのしかいどうにいるきぞくやきふじんたちと) さて、この声をこの市会堂にいる貴族や貴婦人たちと (まったくちがうきもちできいているものがいた。) 全く違う気持ちで聞いている者がいた。 (いうまでもなく、それはえどわーどであった。) 言うまでもなく、それはエドワードであった。 (えどわーどは、たしかにそのみみで「おうじさま、ばんざーい」のこえを) エドワードは、確かにその耳で「王子様、ばんざーい」の声を (しかいどうのもんのそとからきいたのである。) 市会堂の門の外から聞いたのである。 (「おおっと。なんだ、こじきめ。どこへはいろうとしているのか。) 「おおっと。なんだ、乞食め。どこへ入ろうとしているのか。 (あっちへいけ、いけ」ばんぺいたちはもっているやりで) あっちへ行け、行け」番兵たちは持っている槍で (いりぐちからとびこもうとするえどわーどをとめた。) 入口から飛び込もうとするエドワードを止めた。 (「とめるな。おまえたちのつとめは、ほんもののおうじをまもることだぞ。) 「止めるな。おまえたちの務めは、本物の王子を守ることだぞ。 (おうじのめいれいにしたがえ。そこをどけ!」) 王子の命令に従え。そこをどけ!」 (そのいきおいにばんぺいはいっしゅんきをのまれたが、) その勢いに番兵は一瞬気を呑まれたが、 (みればみるほど、ぼろぼろなこじきだったから) 見れば見るほど、ぼろぼろな乞食だったから (「あははは・・・。とんだこじきだ。) 「あははは・・・。とんだ乞食だ。 (こんなのにかぎって、ゆうめいなおかたのなまえをなのりたがるもんだ」) こんなのに限って、有名なおかたの名前を名乗りたがるもんだ」 (「おい、こども。おまえはこどもだからそんなことをいっても) 「おい、子ども。おまえは子供だからそんなことを言っても (ろうやにぶちこまれないんだぞ」「そうとも、さっさとどこかへいっちまえ」) 牢屋にぶち込まれないんだぞ」「そうとも、さっさとどこかへ行っちまえ」 (こういわれたえどわーどは、いよいよはらをたてた。) こう言われたエドワードは、いよいよ腹をたてた。 (「ぶれいものめ。わたしはえどわーどだ。おうじだ。おまえたちがほんきにしないなら) 「無礼者め。私はエドワードだ。王子だ。おまえたちが本気にしないなら (たいちょうをよべ。このえへいのたいちょうはどこにいる」) 隊長を呼べ。近衛兵の隊長はどこにいる」 (するとばんぺいは、こんどこそかっかとおこった。) すると番兵は、こんどこそかっかと怒った。 (「さっさといっちまえ。なぐりころすぞ」) 「さっさと行っちまえ。殴り殺すぞ」 (このとき、さわぎをかぎつけてしかいどうのいりぐちには) この時、騒ぎを嗅ぎつけて市会堂の入口には (たくさんのやじうまがあつまってきていた。) たくさんの野次馬が集まってきていた。 (「なんだ、そいつは」「おめでたいばしょにやってくるつらじゃねえや」) 「なんだ、そいつは」「おめでたい場所にやってくる面じゃねえや」 (するとえどわーどは、そのやじうまにむかっていった。) するとエドワードは、その野次馬にむかって言った。 (「だまるがいい。いかにいぎりすこくおうのこくみんであろうとも、) 「黙るがいい。いかにイギリス国王の国民であろうとも、 (おうじにたいしてくちがすぎるぞ」) 王子に対して口が過ぎるぞ」 (これをきいて、おおごえでわらうものもいたが、かんかんにおこるものもいた。) これを聞いて、大声で笑う者もいたが、かんかんに怒る者もいた。 (「こんちくしょう。これでもくらえ」ひとりがそこらにころがっていたいしをなげた。) 「こんちくしょう。これでもくらえ」一人がそこらに転がっていた石を投げた。 (いしはえどわーどのかおをかすった。) 石はエドワードの顔をかすった。 (それをみて、たくさんのひとはおもしろはんぶんにいしをつかんではなげ、) それを見て、たくさんの人は面白半分に石をつかんでは投げ、 (つかんではなげた。えどわーどはいしだんのかげにからだをかくして) つかんでは投げた。エドワードは石段の陰に体を隠して (とんでくるいしをよけるしかなかった。) 飛んでくる石をよけるしかなかった。 (そのときである。さっきからこのありさまをみていた) その時である。さっきからこのありさまを見ていた (おおおとこのきぞくが、つかつかとまえへでてきて) 大男の貴族が、つかつかと前へ出てきて (「こどもにいしをなげるな。やめないとひどいめにあわすぞ」と、おおでをひろげて) 「子供に石を投げるな。やめないとひどいめにあわすぞ」と、大手を広げて (えどわーどのそばにたちふさがったのである。) エドワードのそばに立ちふさがったのである。 (しかしよくみると、きぞくのすがたはしているが、きているものはすりきれていた。) しかしよく見ると、貴族の姿はしているが、着ている物は擦り切れていた。 (きんもーるのかざりも、ながいことあめやかぜにうたれたらしくひかりをうしなっていたし) 金モールの飾りも、長いこと雨や風に打たれたらしく光を失っていたし (えりはくしゃくしゃでぼうしのはねもたれさがっている。) 襟はくしゃくしゃで帽子の羽も垂れ下がっている。 (ただ、たいどだけはおちついていたしじょうひんであった。) ただ、態度だけは落ち着いていたし上品であった。 (だが、いしをなげていたやじうまはたのしみをうばわれたようなきになって) だが、石を投げていた野次馬は楽しみを奪われたような気になって (こんどは、そのきぞくにむかってもいしをぶつけはじめた。) 今度は、その貴族に向かっても石をぶつけ始めた。 (それを、ひらりひらりとみをかわしていたが、やじうまのひとりが) それを、ひらりひらりと身をかわしていたが、野次馬のひとりが (えどわーどのかたにてをかけるやいなや、すらりとけんをぬいたのだ。) エドワードの肩に手を掛けるや否や、すらりと剣を抜いたのだ。 (「きりすてるぞ。おまえこそ、とっととうせろ」) 「切り捨てるぞ。おまえこそ、とっとと失せろ」 (そのおとこは、はいつくばってにげた。ところが、これをみてやじうまは) その男は、這いつくばって逃げた。ところが、これを見て野次馬は (いよいよおこってしまったのだ。) いよいよ怒ってしまったのだ。 (「やっちまえ、やっちまえ」「ぼろぼろこぞうとびんぼうきぞくがなんだ」) 「やっちまえ、やっちまえ」「ぼろぼろ小僧と貧乏貴族がなんだ」 (「そうとも、こんやのえんかいへよばれないきぞくなんか、むしけらだ」) 「そうとも、今夜の宴会へ呼ばれない貴族なんか、虫けらだ」 (びゅん、びゅん、びゅん、びゅん、いしはまえのばいもとんできた。) びゅん、びゅん、びゅん、びゅん、石は前の倍も飛んできた。 (けんをぬいてえどわーどをかばうきぞくのはたいろは、どんどんわるくなっていく。) 剣を抜いてエドワードをかばう貴族の旗色は、どんどん悪くなっていく。 (いしがびしびしとあたるのだ。) 石がびしびしと当たるのだ。 ((にげるしかない・・・。どっちへにげるかだ)) (にげるしかない・・・。どっちへ逃げるかだ) (こうおもったとき、とつぜんこのひろばへかぜのようにうまをのりいれてくるやくにんがいた。) こう思った時、突然この広場へ風のように馬を乗り入れてくる役人がいた。 (「どけ、どけ、どけい。なにをしておる。) 「どけ、どけ、どけい。何をしておる。 (こくおうへいかがおなくなりあそばしたぞ」) 国王陛下がお亡くなりあそばしたぞ」
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