王子とこじき 35

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投稿者投稿者ローズマリーいいね0お気に入り登録
プレイ回数1難易度(4.3) 4475打 長文
作者 マーク・トウェイン

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(さんじゅっぷんもすると、まいるすへんどんとえどわーどは、) 三十分もすると、マイルス・ヘンドンとエドワードは、 (かくしてあったうまにのってむらをはなれた。) 隠してあった馬に乗って村を離れた。 (えどわーどははじめて、きていたぼろをすてて、) エドワードは初めて、着ていたぼろを捨てて、 (へんどんがろんどんでかってきたふくにきがえていた。) ヘンドンがロンドンで買ってきた服に着替えていた。 (そこで、そのすがたはいっそうりっぱにみえたし、) そこで、その姿はいっそう立派に見えたし、 (えどわーどもすっかりきぶんがよくなった。) エドワードもすっかり気分がよくなった。 (まいるすへんどんのやしきのあるけんとへ、ふたりはうまをすすめていったのである。) マイルス・ヘンドンの屋敷のあるケントへ、二人は馬を進めていったのである。 (ふたりとも、つぎからつぎへはなしがたえなかった。) 二人とも、次から次へ話が絶えなかった。 (えどわーどは、なんといっても、あのあやしいろうじんのこやで) エドワードは、なんといっても、あの怪しい老人の小屋で (いまにもころされそうになったのが、いちばんおおきなわだいだった。) 今にも殺されそうになったのが、一番大きな話題だった。
(「へいかも、ごくろうなさいましたな」へんどんはしみじみとそういった。) 「陛下も、ご苦労なさいましたな」ヘンドンはしみじみとそう言った。 (そして、いっぽうでは(かわいそうに、このこのびょうきもまだなおっていない。) そして、一方では(可哀想に、この子の病気もまだ治っていない。 (しかし、このままやさしくあつかうほかない)こうおもってうまにのっていくのであった。) しかし、このまま優しく扱うほかない)こう思って馬に乗っていくのであった。 (しかし、このたびもあらしのまえのわずかなじかんだった。) しかし、この旅も嵐の前のわずかな時間だった。 (へんどんは、えどわーどのたいどといい、まっすぐなもののかんがえようといい) ヘンドンは、エドワードの態度といい、まっすぐなものの考えようといい (ひとがらのすべてが、すきですきでたまらなくなっていた。) 人柄のすべてが、好きで好きでたまらなくなっていた。 ((きがちがっていようがいまいが、もしかすると、まともなにんげんのなかにも) (気が違っていようがいまいが、もしかすると、まともな人間の中にも (これほどすなおなやさしいこころのこどもはいないかもしれない)) これほど素直な優しい心の子供はいないかもしれない) (そう、はっきりおもいこんでいたのである。) そう、はっきり思い込んでいたのである。 (たしかに、へんどんは、えどわーどのほんとうのけらいになっても) 確かに、ヘンドンは、エドワードの本当の家来になっても
など
(おかしくないと、じぶんでもかんがえていた。) おかしくないと、自分でも考えていた。 (えどわーども、へんどんをこころからしんじていた。) エドワードも、ヘンドンを心から信じていた。 (えのようにうつくしいふたりのすがたが、のをこえやまをこえて) 絵のように美しい二人の姿が、野を越え山を越えて (いよいよけんとにはいるときがやってきた。) いよいよケントに入る時がやってきた。 (へんどんはふるさとにかえれるので、すっかりこうふんしてうまのうえでしゃべりつづけた。) ヘンドンはふるさとに帰れるので、すっかり興奮して馬の上でしゃべり続けた。 (じぶんのちちやあにのあーさーのこと、そしてくりかえしくりかえしいうのは) 自分の父や兄のアーサーのこと、そして繰り返し繰り返し言うのは (やさしくてうつくしい、いとこのえでぃすのことだった。) 優しくて美しい、いとこのエディスのことだった。 (やがて、ふたりはおかのうえにでた。) やがて、二人は丘の上に出た。 (めのしたにひろがるへいやとおおきなやしき。) 目の下に広がる平野と大きな屋敷。 (「ごらんください、へいか。あそこがわたしのやしきです。) 「ご覧ください、陛下。あそこが私の屋敷です。 (ゆたかなむらがまわりをとりかこんでいます。) 豊かな村が周りを取り囲んでいます。 (あのやしきのへやのかずはななじゅう、わたしがうちをでたときはめしつかいはにじゅうしちにんおりました。) あの屋敷の部屋の数は七十、私がうちを出た時は召使いは二十七人おりました。 (すぐに、すてきなくらしがはじまりますよ、へいか。) すぐに、素敵な暮らしが始まりますよ、陛下。 (もうけっしてくろうはいりません。このへんどんにおまかせください」) もう決して苦労はいりません。このヘンドンにお任せください」 (へんどんはうれしそうにうまをいそがせた。) ヘンドンは嬉しそうに馬を急がせた。 (やしきへついてみると、もんにもとにもおおきなへんどんけのもんしょうがきざまれてあった。) 屋敷へ着いてみると、門にも戸にも大きなヘンドン家の紋章が刻まれてあった。 (へんどんは、うまからおりておおきなみぶりで) ヘンドンは、馬から降りて大きな身振りで (「ようこそ、へいか。へんどんけへおこしくださってこうえいでございます。) 「ようこそ、陛下。ヘンドン家へお越しくださって光栄でございます。 (いざ、おとおりくださいませ」とひろまへみちびいた。) いざ、お通りくださいませ」と広間へ導いた。 (そして、えどわーどをこしかけさせ、へんどんはそのへやのすみの) そして、エドワードを腰かけさせ、ヘンドンはその部屋の隅の (だんろへとあしをはこんだ。) 暖炉へと足を運んだ。 (だんろのそばにはおとこがひとりたっていて、こっちをみつめていたが) 暖炉のそばには男がひとり立っていて、こっちを見つめていたが (へんどんはちかづくと「おお、ひゅー。おとうとよ。わたしだ。わたしはかえってきたんだ。) ヘンドンは近づくと「おお、ヒュー。弟よ。私だ。私は帰ってきたんだ。 (さあ、だいてくれ。そしてちちうえにわたしがかえったとしらせてくれ」) さあ、抱いてくれ。そして父上に私が帰ったと知らせてくれ」 (とこえをふるわせていった。ところが、ひゅーとよばれるへんどんのおとうとは) と声を震わせて言った。ところが、ヒューと呼ばれるヘンドンの弟は (そのままうごかなかった。そればかりではない。) そのまま動かなかった。そればかりではない。 (「どなたかな、あなたは。ぜんぜんおあいしたこともないおかただが・・・」) 「どなたかな、あなたは。全然お会いしたこともないおかただが・・・」 (「なにをいうんだ。おまえのあに、まいるすだ」) 「何を言うんだ。おまえの兄、マイルスだ」 (「なにをおっしゃる。わたしのあにはななねんまえにがいこくでせんししている。) 「なにをおっしゃる。私の兄は七年前に外国で戦死している。 (そのときのてがみだって、ちゃんととってある」) その時の手紙だって、ちゃんととってある」 (「てがみ?・・・いったいだれがかいたのだ。それはにせのてがみだ。) 「手紙?・・・・いったい誰が書いたのだ。それは偽の手紙だ。 (ともかくちちうえをよんでくれ」) ともかく父上を呼んでくれ」 (しかし、ひゅーはひややかにこたえた。) しかし、ヒューは冷ややかに答えた。 (「ざんねんながら、しんだひとをよびもどすわけにはいかないな」) 「残念ながら、死んだ人を呼び戻すわけにはいかないな」 (「ちちうえがなくなった?・・・ああ、なんてことだ。) 「父上が亡くなった?・・・ああ、なんてことだ。 (では、あにのあーさーでもいい。はやくたのむ」) では、兄のアーサーでもいい。早く頼む」 (「あーさーもしんだ」) 「アーサーも死んだ」 (「えっ・・・かみさま、わたしをのこしてみんなあのよへいってしまったとは・・・」) 「えっ・・・神様、私を残してみんなあの世へいってしまったとは・・・」 (そうだ、まだ、いとこのえでぃすさんがいた。あのひとでもいい。) そうだ、まだ、いとこのエディスさんがいた。あの人でもいい。 (わたしはあのひとがすきだった。よんでくれ」) 私はあの人が好きだった。呼んでくれ」 (「えでぃすはたしかにいきている」) 「エディスはたしかに生きている」 (このひとことで、まいるすへんどんはいきかえったのだ。) このひと言で、マイルス・ヘンドンは生き返ったのだ。 (「そうだ。なつかしいめしつかいたちもいっしょによんでくれ。すぐにあいたい」) 「そうだ。懐かしい召使たちも一緒に呼んでくれ。すぐに会いたい」 (「さあ、どうやらあなたは、むかしのわたしのうちのうわさをごぞんじのようだが」) 「さあ、どうやらあなたは、昔の私の家の噂をご存じのようだが」 (「うわさではない。わたしはおまえのあにだ!」) 「噂ではない。私はお前の兄だ!」 (へんどんがさけんだ。えどわーどはおもわずたちあがって) ヘンドンが叫んだ。エドワードは思わず立ち上って (「まいるすきょうよ、ふうんにまけてはいけない。しっかりしなさい」) 「マイルス卿よ、不運に負けてはいけない。しっかりしなさい」 (となぐさめたほどだった。) と慰めたほどだった。 (「めしつかいはごにんだけだ。ぴーたー、ほるしー、でーびっど、ばーなーどに) 「召使は五人だけだ。ピーター、ホルシー、デービッド、バーナードに (まーがれっと」) マーガレット」 (ここで、へんどんはくびをかしげた。) ここで、ヘンドンは首をかしげた。 ((おかしいぞ、ちちうえからも、あにうえからもかわいがられたり、) (おかしいぞ、父上からも、兄上からも可愛がられたり、 (しんようされたりしていためしつかいはひとりもいない、これはなにかあるな)) 信用されたりしていた召使いはひとりもいない、これはなにかあるな) (にこりともしないで、ひゅーはへやからでていくと、ややしばらくして) にこりともしないで、ヒューは部屋から出て行くと、ややしばらくして (うつくしい、だがいかにもかなしそうなかおつきのわかいおんなのひとをつれてはいってきた。) 美しい、だがいかにも悲しそうな顔つきの若い女の人を連れて入ってきた。 (へんどんは、そのひとをみるやいなや) ヘンドンは、その人を見るやいなや (「おお、なつかしい、いとしいえでぃす。わたしだ、まいるすだ」) 「おお、なつかしい、いとしいエディス。私だ、マイルスだ」 (と、りょうてをひろげてちかづいていった。だが、そのあいだにひゅーはわけてはいった。) と、両手を広げて近づいて行った。だが、その間にヒューはわけて入った。 (「しつれいなことをするな」) 「失礼なことをするな」 (「なにがしつれいだ。えでぃすはむかし、わたしのいいなずけだったではないか」) 「何が失礼だ。エディスは昔、私のいいなずけだったではないか」 (しかしひゅーは、わざとしずかにえでぃすにむかってきいた。) しかしヒューは、わざと静かにエディスに向かって聞いた。 (「さあ、このひとをよくみてごらん。おまえのしっているひとかね」) 「さあ、この人をよく見てごらん。おまえの知っている人かね」 (えでぃすのゆびさきもむねもふるえていた。そして、なんとかきをおちつけて) エディスの指先も胸も震えていた。そして、何とか気を落ち着けて (へんどんのめをみつめようとしたが、それもできなかった。) ヘンドンの目を見つめようとしたが、それもできなかった。 (だが、くちではささやくようなちいさなこえで) だが、口では囁くような小さな声で (「わたくし・・・このかたを・・・ぞんじておりません」) 「わたくし・・・このかたを・・・存じておりません」 (といいきるやいなや、えでぃすはよろめくあしどりでへやからでていってしまった) と言い切るやいなや、エディスはよろめく足取りで部屋から出て行ってしまった (このひとことは、へんどんをうちのめした。) このひと言は、ヘンドンを打ちのめした。 (かちほこったようにひゅーはいった。) 勝ち誇ったようにヒューは言った。 (「おわかりかな。わたしのつまもあなたをしらないといっている」) 「おわかりかな。私の妻もあなたを知らないと言っている」 (「なに、つまだと?えでぃすがおまえのつまだと?」) 「なに、妻だと?エディスがお前の妻だと?」 (うめくようにいったへんどんは、ひゅーにとびかかっていった。) 呻くように言ったヘンドンは、ヒューに飛びかかっていった。 (ひゅーはにげまわりながら「やめろ、らんぼうは。やくにんをよぶぞ。でてゆけ」) ヒューは逃げ回りながら「やめろ、乱暴は。役人を呼ぶぞ。出て行け」 (といった。) と言った。
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