土の下 -6-(完)

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(かいちゅうでんとうをじわじわとうえにあげていくと、したいのふしぜんにまがったくびと、)

懐中電灯をじわじわと上に上げていくと、死体の不自然に曲がった首と、

(うつむくようにたれたあたまがこちらをむいている。)

俯くように垂れた頭がこちらを向いている。

(かみがぼさぼさにのびていて、ましたからのぞきこまないとかおはみえない。)

髪がボサボサに伸びていて、真下から覗き込まないと顔は見えない。

(かぜか。かぜでうらがえったのか。)

風か。風で裏返ったのか。

(せすじにつめたいものがはしる。)

背筋に冷たいものが走る。

(くびをつったままのしんたいは、そのてあしがいようにつっぱったじょうたいで、)

首を吊ったままの身体は、その手足が異様に突っ張った状態で、

(とうぶいがいのすべてがまっすぐにこうちょくしている。)

頭部以外のすべてが真っ直ぐに硬直している。

(かぜでろーぷがねじれたのなら、またおなじようにこんどはぎゃくほうこうへねじれていくはずだ。)

風でロープが捩れたのなら、また同じように今度は逆方向へ捩れていくはずだ。

(そうおもいながらいきをのんでみているが、)

そう思いながら息を飲んで見ているが、

(くびつりしたいはすいちょくにこわばったままうごくけはいはなかった。)

首吊り死体は垂直に強張ったまま動く気配はなかった。

(そのうごくけはいがないことが、なによりおそろしかった。)

その動く気配がないことが、なにより恐ろしかった。

(ぼくのかんじているきょうふにきづいているのかいないのか、)

僕の感じている恐怖に気づいているのかいないのか、

(ししょうはこちらをむいたままききとしたこえをあげる。)

師匠はこちらを向いたまま嬉々とした声を上げる。

(「どっちだろうな」)

「どっちだろうな」

(そういってにこりとわらう。)

そう言ってニコリと笑う。

(どっちって、なんのことだ。)

どっちって、なんのことだ。

(てんをあおいでいたかおをゆっくりとししょうのほうへむけていく。)

天を仰いでいた顔をゆっくりと師匠の方へ向けていく。

(くびのほねのあいだのあぶらがきれたようにぎしぎしときしむ。)

首の骨の間の油が切れたようにギシギシと軋む。

(「だれかがくびをつってしんだから、さっきのへんなものがつちのしたにあらわれるのか。)

「誰かが首を吊って死んだから、さっきのへんなものが土の下に現れるのか。

(それとも・・・・・」)

それとも・・・・・」

など

(ししょうはそういいながらじぶんのまうえをふりあおいだ。)

師匠はそう言いながら自分の真上を振り仰いだ。

(そしてずじょうにあるしたいのかおのあたりをまっすぐにみる。)

そして頭上にあるしたいの顔のあたりを真っ直ぐに見る。

(しせんをあわせようとするように。)

視線を合わせようとするように。

(「あれがつちのしたにあるから、ひとがここでくびをつるのか」)

「あれが土の下にあるから、人がここで首を吊るのか」

(なあ、どっちだ。)

なあ、どっちだ。

(そういってしたいにといかける。)

そう言って死体に問い掛ける。

(かたがてのとどくいちにあれば、したしげにいだいてかたりかけるようなこえで。)

肩が手の届く位置にあれば、親しげに抱いて語り掛けるような声で。

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