巨人の研究 -11-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(「これ、じしゃびるだってよ」)

「これ、自社ビルだってよ」

(ぼくのさぎょうをまっているあいだ、ししょうはたてものをみあげていう。)

僕の作業を待っている間、師匠は建物を見上げて云う。

(「にゅうしゃして、いずれのっとってやろうかな」)

「入社して、いずれ乗っ取ってやろうかな」

(じょうだんのつもりだろうが、やりかねないのでふくざつなきもちだった。)

冗談のつもりだろうが、やりかねないので複雑な気持ちだった。

(あのしたうけのしたうけをじしょうするおがわちょうさじむしょでばいとのみでありながら、)

あの下請けの下請けを自称する小川調査事務所でバイトの身でありながら、

(そのじつむのうりょくはぼくがみてきたかぎり、どうにいったもののようなきがする。)

その実務能力は僕が見てきた限り、堂に入ったもののような気がする。

(かくされたものをときあかすというのは「おかると」のごげんにげんきゅうせずとも、)

隠されたものを解き明かすというのは「オカルト」の語源に言及せずとも、

(ほんにんのしょうにあっているようだ。)

本人の性にあっているようだ。

(おおてのこうしんじょであるたかやそうごうりさーちにしても、いままでみすみすのがしてきた)

大手の興信所であるタカヤ総合リサーチにしても、今までみすみす逃して来た

(たいおうふのうの「おばけじあん」を、げんじつてきなけいやくにかえることができるのだ。)

対応不能の「オバケ事案」を、現実的な契約に変えることができるのだ。

(れいかんがつよいひとはほかにもたくさんいるだろうが、)

霊感が強い人は他にも沢山いるだろうが、

(そのつかいかたをここまでりかいしているひとはすくないだろう。)

その使い方をここまで理解している人は少ないだろう。

(しかしこのひとが、ばいとならばまだしもしゃいんとしてだれかのもとではたらくところなど)

しかしこの人が、バイトならばまだしも社員として誰かの下で働くところなど

(あまりみたくなかった。)

あまり見たくなかった。

(「よし、じゃああーけーどへいけ」)

「よし、じゃあアーケードへ行け」

(じゅんびできたとみるや、ふたたびじてんしゃのこうりんのしゃじくのうえにのってきた。)

準備出来たと見るや、再び自転車の後輪の車軸の上に乗ってきた。

(「はいはい」)

「はいはい」

(さっそうとはいえないまでもがんばってぺだるをこぐ。だんだんとすぴーどがあがる。)

颯爽とは言えないまでも頑張ってペダルをこぐ。だんだんとスピードがあがる。

(やがてあーけーどのちゅうりんじょうにとうちゃくした。ちょうどひるどきだったので、へいじつとはいえ)

やがてアーケードの駐輪場に到着した。ちょうど昼時だったので、平日とはいえ

(でぱーとがあるあーけーどのちゅうしんがいのあたりはひとでごったがえしていた。)

デパートがあるアーケードの中心街のあたりは人でごった返していた。

など

(ししょうにしじされるままにだんぼーるのこんぽうをとき、ちかくのこうしゅうといれにはいる。)

師匠に指示されるままに段ボールの梱包を解き、近くの公衆トイレに入る。

(だんぼーるのなかには、いかにもすたっふじゃんぱーでございます、)

段ボールの中には、いかにもスタッフジャンパーでございます、

(というかんじのきいろいうわぎと、「しゅざいちゅう」とかかれたみどりいろのわんしょう。)

という感じの黄色い上着と、「取材中」と書かれた緑色の腕章。

(そしてくびからかけるたいぷのねーむぷれーと。)

そして首からかけるタイプのネームプレート。

(そしてばいんだーとひっきようぐなどがはいっていた。)

そしてバインダーと筆記用具などが入っていた。

(それらをそうびしてといれからでてくると、まっていたししょうは)

それらを装備してトイレから出てくると、待っていた師匠は

(ねーむぷれーとをうけとってくびにかける。)

ネームプレートを受け取って首にかける。

(ねーむぷれーとにはごちゃごちゃとしたでざいんがされていたが、)

ネームプレートにはごちゃごちゃとしたデザインがされていたが、

(よくみるとなまえしかかかれていない。それもてきとうにつけたとおもわれる、)

よく見ると名前しか書かれていない。それも適当につけたと思われる、

(でたらめななまえだ。なににでもつかえるようになっているらしい。)

でたらめな名前だ。何にでも使えるようになっているらしい。

(「いいか、これはざっしのあんけーとだ。わたしがへんしゅうでおまえがあしすたんと」)

「いいか、これは雑誌のアンケートだ。私が編集でお前がアシスタント」

(ようやくせつめいがあった。)

ようやく説明があった。

(ちいさいひとをみたというはなしをふとくていたすうのにんげんからしゅうしゅうするために、)

小さい人を見たという話を不特定多数の人間から蒐集するために、

(かくうのちほうざっしをよそおい、がいとうあんけーとをじっしするということのようだ。)

架空の地方雑誌を装い、街頭アンケートを実施するということのようだ。

(せっていは、こんどそうかんする「まいたうん・にゅーす」というざっしのきかくで、)

設定は、今度創刊する「マイタウン・ニュース」という雑誌の企画で、

(そのなかの「あなたのきょうふたいけん」というこーなーのためのしゅざい、というもの。)

その中の「あなたの恐怖体験」というコーナーのための取材、というもの。

(そのためによういしたというこどうぐのあんけーとようしをみたが、)

そのために用意したという小道具のアンケート用紙を見たが、

(すんでいるちいき、ねんれい、いままでしんれいげんしょうにそうぐうしたことがあるか?)

住んでいる地域、年齢、今まで心霊現象に遭遇したことがあるか?

(それはいつごろ?などのしつもんこうもくがならんでいる)

それはいつごろ?などの質問項目が並んでいる

(そのそうぐうしたしんれいげんしょうをえらばせるいちらんには、)

その遭遇した心霊現象を選ばせる一覧には、

(しっかりとこびとのちぇっくぼっくすがある。)

しっかりと小人のチェックボックスがある。

(たかががいとうあんけーとをよそおうのにこんなしゅうとうなじゅんびをするあたりが、)

たかが街頭アンケートを装うのにこんな周到な準備をするあたりが、

(こりしょうでむだなろうりょくをいとわないししょうらしい。)

凝り性で無駄な労力を厭わない師匠らしい。

(「いや、さいしょはふつうのかっこうで、あんけーとにきょうりょくおねがいしまあす、)

「いや、最初は普通の格好で、アンケートに協力お願いしまあす、

(ってやってたんだけど、ないようがないようだから、れいかんしょうほうのつかみじゃないか、)

ってやってたんだけど、内容が内容だから、霊感商法の掴みじゃないか、

(みたいにうたがわれてなかなかうまくいかなかったんだよ。いちかわさんに)

みたいに疑われてなかなか上手くいかなかったんだよ。市川さんに

(なきついてこのせっとをかりたら、なんとかそれっぽくみえたみたいで、)

泣きついてこのセットを借りたら、なんとかそれっぽく見えたみたいで、

(そこそこかずがあつまったのがぜんかい。さらにこんかいはあしつきだからかんぺきだ」)

そこそこ数が集まったのが前回。さらに今回はアシ付きだから完璧だ」

(さらに、こんなしつもんをされたらこうこたえる、といったこまかいうちあわせを)

さらに、こんな質問をされたらこう答える、と言った細かい打ち合わせを

(したあと、ぼくらはでぱーとまえのざっとうのなかにしんしゅつした。)

したあと、僕らはデパート前の雑踏の中に進出した。

(「あんけーとにごきょうりょくをおねがいします」)

「アンケートにご協力をお願いします」

(ししょうがよそいきのこえをはりあげる。もちろん、てれびかめらがあるわけでもなし、)

師匠がよそ行きの声を張りあげる。もちろん、テレビカメラがある訳でもなし、

(むこうからあつまってはくれないから、ししょうはみちいくひとにばいんだーに)

向こうから集まってはくれないから、師匠は道行く人にバインダーに

(はさんだあんけーとようしとひっきようぐをだいたんにつきだした。)

挟んだアンケート用紙と筆記用具を大胆に突き出した。

(おもわずうけとってしまったひとによういしたこうじょうをのべて、)

思わず受け取ってしまった人に用意した口上を述べて、

(さわやかなえがおでおねがいする。)

爽やかな笑顔でお願いする。

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