風の行方 -10-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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1 Jyo 5930 A+ 6.1 96.3% 420.2 2591 99 56 2026/02/03

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問題文

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(「もういきましょう」) 「もう行きましょう」 (ただならないふんいきにけおされてぼくはししょうのじゃけっとをひっぱった。) ただならない雰囲気に気おされて僕は師匠のジャケットを引っ張った。 (「まあいいや。とにかくもういえにかえれ。わかったな、こねこちゃんたち」) 「まあいいや。とにかくもう家に帰れ。分かったな、子猫ちゃんたち」 (ばいばい、とてをふってししょうはようやくせーらーふくのふたりからはなれた。) バイバイ、と手を振って師匠はようやくセーラー服の二人から離れた。 (とおざかっていくふたりをふりかえり、ぼくはししょうにきいた。) 遠ざかっていく二人を振り返り、僕は師匠に訊いた。 (「あのこたちはだれなんですか」) 「あの子たちは誰なんですか」 (「さあ。なまえもしらない。ただ、おいかけているらしい。おなじやつを」) 「さあ。名前も知らない。ただ、追いかけているらしい。同じヤツを」 (かみのけがかぜにながされていくさきをか。) 髪の毛が風に流されていく先をか。 (こんなばかなまねをしているのはぼくとししょうだけだとおもったのに。) こんなバカな真似をしているのは僕と師匠だけだと思ったのに。 (「あんのがき」) 「あんのガキ」 (きゅうにししょうがtしゃつのすそをこすりはじめた。そのすそがみょうによごれていて、) 急に師匠がTシャツの裾をこすり始めた。その裾が妙に汚れていて、 (こするたびにそのよごれがうすくひろがっていくようにみえた。あかいしみ。) こするたびにその汚れが薄く広がっていく様に見えた。赤い染み。 (まるでちのようにみえた。) まるで血のように見えた。 (「なんです、それ」) 「なんです、それ」 (「いたずらだよ」) 「イタズラだよ」 (がきのくせに。) ガキのくせに。 (ししょうはそうつぶやいて、しゃつのすそをくるくるとまいてわきばらでくくり、) 師匠はそう呟いて、シャツの裾をくるくると巻いてわき腹でくくり、 (ぼくのほうにてをおいて。「さあいそぐぞ。ひがくれる」) 僕の方に手を置いて。「さあ急ぐぞ。日が暮れる」 (そうせかされたが、ぼくにはししょうのへそのあたりがきになってしかたがなかった。) そう急かされたが、僕には師匠のへそのあたりが気になって仕方がなかった。 (そのあと、さっきのふたりがおいかけてくるようすもなく、) その後、さっきの二人が追いかけてくる様子もなく、
など
(またまちなかをくるくるとじてんしゃでまわりつづけた。たしかにおなじばしょは) また街なかをくるくると自転車で回り続けた。確かに同じ場所は (とおらなかったが、かぜのみちがほんとうにいっぽんなのかふあんになってきた。) 通らなかったが、風の道が本当に一本なのか不安になってきた。 (みちはどこかでつながっていたとしたら、しっぽをのみこんだ) 道はどこかでつながっていたとしたら、尻尾を飲み込んだ (うろぼろすのへびのようにどうどうめぐりをくりかえすだけだ。) ウロボロスの蛇のように堂々巡りを繰り返すだけだ。 (そして、あるびるのましたにやってきたとき、) そして、あるビルの真下にやってきたとき、 (ししょうはいまいましげに「くそっ」とはきすてた。) 師匠は忌々しげに「くそっ」と掃き捨てた。 (びるをみあげると、じゅっかいだてほどのいようがそそりたっている。) ビルを見上げると、十階建てほどの威容がそそり立っている。 (かぜはすいちょくにのぼっていた。びるのかべにそってまうえに。) 風は垂直に昇っていた。ビルの壁に沿って真上に。 (これではさきにすすめない。) これでは先に進めない。 (ひたすらぺだるをこぎつづけたつかれがどっとでて、ぼくはふかいいきをはいた。) ひたすらペダルをこぎ続けた疲れがドッと出て、僕は深い息を吐いた。 (めをこらしてもかべにそってじょうしょうしたあとのかぜのながれはみえなかった。) 目を凝らしても壁に沿って上昇した後の風の流れは見えなかった。 (しかしししょうは「ちょっと、まってろ」といって) しかし師匠は「ちょっと、待ってろ」と言って (ちかくのおもちゃやにとびこんでいった。) 近くのおもちゃ屋に飛び込んで行った。 (そしてでてきたときにはてにふうせんのついたひもをもっていた。) そして出てきたときには手に風船のついた紐を持っていた。 (ふわふわとふうせんはうかんでいる。へりうむがはいっているのだろう。) ふわふわと風船は浮かんでいる。ヘリウムが入っているのだろう。 (「みてろよ」) 「見てろよ」 (ししょうはひときわおおきくふいたかぜにあわせて、ひもをはなした。) 師匠は一際大きく吹いた風に合わせて、紐を離した。 (ふうせんはあっというまにかぜにのってじょうしょうし、びるのかべにそってはしった。) 風船はあっという間に風に乗って上昇し、ビルの壁に沿って走った。 (そしてごかいのまどのあたりでおおきくみぎにまがり、そのままびるのへきめんをぬけた。) そして五階の窓のあたりで大きく右に曲がり、そのままビルの壁面を抜けた。 (かべのむこうがわへまわりこんだようだ。) 壁の向こう側へ回りこんだようだ。 (ぼくとししょうはそれをみあげながらはしっておいかけ、) 僕と師匠はそれを見上げながら走って追いかけ、 (ふうせんのいくさきをみのがすまいといきをのんだ。) 風船の行く先を見逃すまいと息を飲んだ。 (だが、ふうせんはびるのかべのはしをまわりこんだあたりで、) だが、風船はビルの壁の端を回りこんだあたりで、 (かぜのちゅーぶにすいこまれるようなするどいうごきをとめ、) 風のチューブに吸い込まれるような鋭い動きを止め、 (あとはふわふわとじぶんじしんのかるさにみをまかせたかのように) あとはふわふわと自分自身の軽さに身を任せたかのように (ゆっくりとそらにじょうしょうしていった。) ゆっくりと空に上昇していった。 (「しまった」) 「しまった」 (ししょうはくやしそうにゆびをならす。) 師匠はくやしそうに指を鳴らす。 (そうか。かぜがじょうしょうするときは、ふうせんもそのくうきのながれにそってじょうしょうしていくが、) そうか。風が上昇するときは、風船もその空気の流れに沿って上昇していくが、 (かこうをはじめたら、ふうせんはそのかるさからしたむきのくうきのながれにあらがい、) 下降を始めたら、風船はその軽さから下向きの空気の流れに抗い、 (いっしゅんはかぜとともにかこうしてもやがてそのながれからはずれて、) 一瞬は風とともに下降してもやがてその流れから外れて、 (かってにじょうしょうしていってしまうのだ。) 勝手に上昇していってしまうのだ。 (おそらくはなんどやってもおなじことだろう。) 恐らくは何度やっても同じことだろう。 (とんでいくふうせんをみあげながら、ぼくたちはそのばにたちつくしていた。) 飛んでいく風船を見上げながら、僕たちはその場に立ち尽くしていた。 (これでみちをさししめすものがなくなった。) これで道を指し示すものがなくなった。 (きがつくとあたりはひがおちかけ、うすぐらくなっていた。) 気がつくとあたりは日が落ちかけ、薄暗くなっていた。
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