保育園 -17-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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(みんなおどろいたかおでししょうをみている。そしてそのしせんがやがてゆいせんせいにあつまる。)
みんな驚いた顔で師匠を見ている。そしてその視線がやがて由衣先生に集まる。
(「わたしじゃない!」)
「私じゃない!」
(ゆいせんせいはそういってそのばにへたりこんだ。)
由衣先生はそう言ってその場にへたり込んだ。
(かおをおおってわなわなとふるえている。)
顔を覆ってわなわなと震えている。
(「そとにはでました。でもわたしじゃない」)
「外には出ました。でも私じゃない」
(そううめいて、すすりなきをはじめた。)
そう呻いて、啜り泣きを始めた。
(ほかのせんせいが「おちついて、ね?」といいながらせなかをさすっている。)
他の先生が「落ち着いて、ね?」と言いながら背中をさすっている。
(ししょうはそのようすをれいたんにみおろしている。)
師匠はその様子を冷淡に見下ろしている。
(しばらくそうしてすすりないていたが、ようやくぽつぽつとかたりはじめた。)
しばらくそうして啜り泣いていたが、ようやくぽつぽつと語り始めた。
(じぶんのくちから、あのひあったことを。)
自分の口から、あの日あったことを。
(きっかけはそのじけんのすうじつまえだった。)
きっかけはその事件の数日前だった。
(えんじたちがみんなきたくし、ほかのせんせいたちもじゅんじかえっていったあと、)
園児たちがみんな帰宅し、他の先生たちも順次帰って行った後、
(よしえせんせいはひとりでえんにのこって、かきかけのしょるいをしあげていた。)
由衣先生は一人で園に残って、書きかけの書類を仕上げていた。
(しちじをすぎ、そのざんぎょうにもようやくめどがついたころ、ふいにらいきゃくがあった。)
七時を過ぎ、その残業にもようやく目処がついたころ、ふいに来客があった。
(すーつをきて、りっぱなみなりをしていたので、ほごしゃがわすれものでも)
スーツを着て、立派な身なりをしていたので、保護者が忘れ物でも
(とりにきたのかもしれないとおもい、もんのところまででていくと、)
取りに来たのかもしれないと思い、門のところまで出ていくと、
(そのだんせいはあたまをさげながら「ぬまたちかのちちです」というのだ。)
その男性は頭を下げながら「沼田ちかの父です」と言うのだ。
(ぬまたちか。)
沼田ちか。
(そのときはじめてふしんなおもいがわいた。)
その時初めて不審な思いが湧いた。
(とっさに、そんなこはうちにはいませんが、とくちにしそうになったしゅんかん、)
とっさに、そんな子はうちにはいませんが、と口にしそうになった瞬間、
など
(そのなまえとそれにまつわるじけんのことをおもいだした。)
その名前とそれにまつわる事件のことを思い出した。
(すうねんまえ、このほいくえんにとおっていたぬまたちかちゃんというおんなのこがいたことを。)
数年前、この保育園に通っていた沼田ちかちゃんという女の子がいたことを。
(かたおやだったそのこはほかのことかていかんきょうがちがうことをびんかんにかんじとり、)
片親だったその子は他の子と家庭環境が違うことを敏感に感じ取り、
(えんでもあまりなじめなかったそうだ。)
園でもあまりなじめなかったそうだ。
(そしてごさいじ、つまりねんちょうぐみになったころから、ようやくともだちのわにも)
そして五歳児、つまり年長組になったころから、ようやく友だちの輪にも
(はいれるようになり、まいにちだんだんとえがおがふえていった。)
入れるようになり、毎日だんだんと笑顔が増えていった。
(そんなおり、あるしゅうまつにおばあちゃんにつれられて、)
そんなおり、ある週末にお祖母ちゃんにつれられて、
(かいものにいこうとしていたとき、ほどうにのりあげてきただんぷかーに)
買い物に行こうとしていた時、歩道に乗り上げてきたダンプカーに
(ふたりともはねられてしまった。)
二人ともはねられてしまった。
(いねむりうんてんだった。)
居眠り運転だった。
(おばあちゃんのほうはたすかったが、ちかちゃんはないぞうをふかくきずつけていて、)
お祖母ちゃんの方は助かったが、ちかちゃんは内臓を深く傷つけていて、
(ちりょうのかいなくなくなってしまった。)
治療の甲斐なく亡くなってしまった。
(とうじたんにんだったというせんぱいのほいくしからそのことをきいて、)
当時担任だったという先輩の保育士からそのことを聞いて、
(とてもむねがいたんだことをおぼえている。)
とても胸が痛んだことを覚えている。
(ゆいせんせいはきんちょうして、「ちかちゃんのおとうさんですか」といった。)
由衣先生は緊張して、「ちかちゃんのお父さんですか」と言った。
(だんせいはしずかにもくれいして、ふところからぬいぐるみをとりだした。)
男性は静かに目礼して、懐からぬいぐるみを取り出した。
(ちいさなくまのぬいぐるみだった。)
小さなクマのぬいぐるみだった。
(「ちかのすきだったぬいぐるみです」)
「ちかの好きだったぬいぐるみです」
(これを、えんていにうめてもらえないだろうか。)
これを、園庭に埋めてもらえないだろうか。
(だんせいはふかくあたまをさげてそうたのむのだった。)
男性は深く頭を下げてそう頼むのだった。
(「わたしはあしたこのまちをさります。せめてちかが、このまちでいきていたあかしに」)
「私は明日この街を去ります。せめてちかが、この街で生きていた証に」
(ゆいせんせいはさいしょことわった。)
由衣先生は最初断った。
(しかし、くりかえされるだんせいのこんがんについにおれてしまった。)
しかし、繰り返される男性の懇願についに折れてしまった。
(「ありがとう。ありがとう。きっとちかもおともだちとあそべてしあわせでしょう」)
「ありがとう。ありがとう。きっとちかもお友だちと遊べて幸せでしょう」
(なみだをぬぐうだんせいのすがたに、おもわずもらいなきをしてしまいそうになったが、)
涙を拭う男性の姿に、思わずもらい泣きをしてしまいそうになったが、
(だんせいがさったあと、たくされたぬいぐるみをてにして)
男性が去ったあと、託されたぬいぐるみを手にして
(ゆいせんせいはすこしうすきみがわるくなった。)
由衣先生は少し薄気味が悪くなった。
(さいごのことば。まるであのおとうさんは、)
最後の言葉。まるであのお父さんは、
(このぬいぐるみがちかちゃんじしんであるかのようにはなしていたきがする。)
このぬいぐるみがちかちゃん自身であるかのように話していた気がする。
(どうしよう。)
どうしよう。
(すててしまおうか。)
捨ててしまおうか。
(そうおもわないでもなかった。)
そう思わないでもなかった。
(しかしけっきょく、ゆいせんせいは、だんせいのおもいのとおりそのくまのぬいぐるみを)
しかし結局、由衣先生は、男性の思いのとおりそのクマのぬいぐるみを
(えんていにうめてあげることにした。)
園庭に埋めてあげることにした。
(すててしまうことで、おとうさんの、あるいはちかちゃんのうらみが)
捨ててしまうことで、お父さんの、あるいはちかちゃんの恨みが
(じぶんじしんにふりかかってくるようなきがしたのだ。)
自分自身に降りかかって来るような気がしたのだ。