桜雨 -14-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文
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(「ひろさん」)
「ヒロさん」
(わたしのよびかけに、きずだらけのちいさなしんたいがはんのうする。)
私の呼びかけに、傷だらけの小さな身体が反応する。
(うなずいた。うなずいた!)
頷いた。頷いた!
(とりかえしはつく。まだ。とりかえしはつく。)
取り返しはつく。まだ。取り返しはつく。
(わたしはたちあがった。)
私は立ち上がった。
(「どこだ」)
「どこだ」
(よしながはゆっくりとゆびをさす。)
吉永はゆっくりと指をさす。
(こいつにおちしまえをつけさせるのはあとだ。)
こいつに落ちし前をつけさせるのは後だ。
(そちらへむかってあるきだしたわたしに、ざびえるが「ほう」とめをみひらくと)
そちらへ向かって歩き出した私に、ザビエルが「ほう」と目を見開くと
(「たいしたふりょうむすめだな」といった。)
「たいした不良娘だな」と言った。
(そうしてじぶんのふくのすそをまくりはじめる。)
そうして自分の服の裾をまくり始める。
(ぐれーちんぐ、というのか、こうえんのそとのそっこうをおおう)
グレーチング、と言うのか、公園の外の側溝を覆う
(こうしじょうのきんぞくのふたをとりはずし、わたしたちはどぶさらいをはじめた。)
格子状の金属の蓋を取り外し、私たちはドブさらいを始めた。
(よしながはそれをてつだおうとはしなかったが、にげようともしなかった。)
吉永はそれを手伝おうとはしなかったが、逃げようともしなかった。
(ただじめんにすわりこんでぼけたようにそれをみていた。)
ただ地面に座り込んで呆けたようにそれを見ていた。
(やがてそのさわぎをききつけてすうにんのじょしせいとがやってきた。)
やがてその騒ぎを聞きつけて数人の女子生徒がやってきた。
(うちのせいとたちだ。)
うちの生徒たちだ。
(かのじょたちはなにがおこっているのかわかっていいないはずなのに、)
彼女たちはなにが起こっているのかわかっていいないはずなのに、
(しばらくとおまきにみていたかとおもうと、)
しばらく遠巻きに見ていたかと思うと、
(おなじようにうでまくりをしてどぶにてをつっこみはじめた。)
同じように腕まくりをしてドブに手を突っ込み始めた。
など
(「かぎ。かぎをさがしてくれ」)
「鍵。鍵を探してくれ」
(ざびえるがどろのついたかおでそういう。)
ザビエルが泥のついた顔でそう言う。
(そうしてそっこうというそっこうのふたをすべてはがし、わたしたちはどぶさらいをつづけた。)
そうして側溝という側溝の蓋をすべて剥がし、私たちはドブさらいを続けた。
(「せんせい~」)
「先生〜」
(そんなこえがして、あせだくのじゃーじすがたのおとこがかけよってくる。)
そんな声がして、汗だくのジャージ姿の男が駆け寄ってくる。
(だれかがいいつけにいったのか、らんにんぐちゅうとおぼしきわがこうのりくじょうぶの)
誰かが言いつけに行ったのか、ランニング中と思しき我が校の陸上部の
(いっこうだった。せんとうにたつのはこもんのだんせいきょうし。)
一行だった。先頭に立つのは顧問の男性教師。
(「てつだいますよ」)
「手伝いますよ」
(ざびえるは「すみません」とだけいっていっしゅんかおをあげると、)
ザビエルは「すみません」とだけ言って一瞬顔を上げると、
(またどろのなかにうでをさしいれる。)
また泥の中に腕を差し入れる。
(「こんなことならまかせてください」)
「こんなことなら任せてください」
(りくじょうぶのこもんはじょうきしたこえでそういうと、)
陸上部の顧問は上気した声でそう言うと、
(うしろにひかえるりくじょうぶいんたちに「おい」とこえをかける。)
後ろに控える陸上部員たちに「おい」と声をかける。
(ええ~、というひめいのようなものがあがったが、)
ええ〜、という悲鳴のようなものが上がったが、
(しぶしぶというようすでみんなうでまくりをはじめる。)
しぶしぶという様子でみんな腕まくりを始める。
(ひろさんもどぶのほうへちかよろうとしていたが、なんにんかのじょしせいとたとが)
ヒロさんもドブの方へ近寄ろうとしていたが、何人かの女子生徒たとが
(おしとどめながらわたしがやりかけたおうきゅうしょちのつづきをしてくれていた。)
押しとどめながら私がやりかけた応急処置の続きをしてくれていた。
(どろのなかであせにまみれ、わたしはふしぎなきもちにつつまれていた。)
泥の中で汗にまみれ、私は不思議な気持ちに包まれていた。
(なんだろう。これはなんだろう。)
なんだろう。これはなんだろう。
(そうおもいながら、がくのあせをぬぐった。)
そう思いながら、額の汗を拭った。
(「あった」)
「あった」
(だれかがさけんだ。)
誰かが叫んだ。
(そちらをみると、りくじょうぶのじゃーじをきたせいとがてをそらにかざしている。)
そちらを見ると、陸上部のジャージを着た生徒が手を空にかざしている。
(「あったあ」)
「あったあ」
(まわりのみんながかんせいをあげた。)
周りのみんなが歓声を上げた。
(そのてのなかのものは、そばにいたざびえるのてにわたる。)
その手の中のものは、そばにいたザビエルの手に渡る。
(ざびえるはほっとしたかおでどぶからあしをぬき、「ひろさん」とこえをかけた。)
ザビエルはホッとした顔でドブから足を抜き、「ヒロさん」と声をかけた。
(「ひとにはことじょうがあるんだ。じろじろみたりするんじゃないぞ」)
「人には事情があるんだ。じろじろ見たりするんじゃないぞ」
(ふきげんそうにそういっていたそのくちが、いまそんなやさしいことばをはっするのが)
不機嫌そうにそう言っていたその口が、今そんな優しい言葉を発するのが
(ふしぎだった。じぶんのまーくしていたじょしせいとのふりょうこういが、)
不思議だった。自分のマークしていた女子生徒の不良行為が、
(こんなじたいをひきおこしたということにざいあくかんをおぼえていたからなのか。)
こんな事態を引き起こしたということに罪悪感を覚えていたからなのか。
(いや。)
いや。
(わたしはそのよこがおをみて、ちがう、とおもった。)
私はその横顔を見て、違う、と思った。
(ざびえるは、このこうえんのちいさなじゅうにんをむかしからしっていて、)
ザビエルは、この公園の小さな住人を昔から知っていて、
(わたしとおなじようにきにかけていたのだろう。)
私と同じように気にかけていたのだろう。
(ただ、そのいきかたにおまえたちみたいなこどもがきやすくかかわるなとつげて、)
ただ、その生き方にお前たちみたいな子供が気安く関わるなと告げて、
(おもいやっていたのだ。)
思いやっていたのだ。
(いまはなぜかそれがわかるのだった。)
今はなぜかそれが分かるのだった。
(「ひろさん」)
「ヒロさん」
(もういちどそういって、ざびえるはひろさんのもとへあゆみよった。)
もう一度そう言って、ザビエルはヒロさんの元へ歩み寄った。
(そしてそのてにそっと、ぎんいろのちいさなかぎをにぎらせようとした。)
そしてその手にそっと、銀色の小さな鍵を握らせようとした。