桜雨 -17-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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| 1 | berry | 7998 | 神 | 8.1 | 97.8% | 342.7 | 2804 | 63 | 57 | 2026/04/29 |
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(ごねんがたった。)
五年が経った。
(それからずっとひろさんは、まいとしさくらのさくきせつにはあのあきちにいって、)
それからずっとヒロさんは、毎年桜の咲く季節にはあの空き地に行って、
(いちにちじゅうすわりこんでいた。さくらはちってもまたらいねんにははなをさかせる。)
一日中座り込んでいた。桜は散ってもまた来年には花を咲かせる。
(あのやくそくははたせないままだったが、そのことばをむねにこのまちでいきつづけた。)
あの約束は果たせないままだったが、その言葉を胸にこの街で生き続けた。
(あのふゆのひのばんに、きちんやどにかってきたひろさんはおしりのぽけっとが)
あの冬の日の晩に、木賃宿に買ってきたヒロさんはお尻のポケットが
(やぶれていることにきがついた。なにかにひっかけてしまったのか、)
破れていることに気がついた。なにかに引っ掛けてしまったのか、
(おおきなあながあいている。)
大きな穴が空いている。
(そのあなから、いつもはだみはなさずもっていたあのかぎをおっことしてしまっていた。)
その穴から、いつも肌身離さず持っていたあの鍵を落っことしてしまっていた。
(ひろさんははんきょうらんになってあたりをさがした。けれどみつからなかった。)
ヒロさんは半狂乱になってあたりを探した。けれど見つからなかった。
(なんどもなんどもあやまった。ごめんなさい。ごめんなさい。もうなくしません。)
何度も何度も謝った。ごめんなさい。ごめんなさい。もうなくしません。
(もうなくしませんから、どうかでてきてください。)
もうなくしませんから、どうか出てきてください。
(そうしてなきながらさがしつづけた。)
そうして泣きながら探し続けた。
(あのかぎがなくなったあとのことなんてかんがえることができなかった。)
あの鍵がなくなった後のことなんて考えることができなかった。
(もうじんせいのいちぶになっていたのだった。)
もう人生の一部になっていたのだった。
(かぎがでてきたのはふつかごだった。おなじはんばではたらいていたなかまが)
鍵が出てきたのは二日後だった。同じ飯場で働いていた仲間が
(「これ、おめえのじゃねえか」ともってきてくれたのだ。)
「これ、おめえのじゃねえか」と持ってきてくれたのだ。
(ほりかえしていたどしゃのなかにみつけたのだという。)
掘り返していた土砂の中に見つけたのだという。
(ひろさんがいつもだいじそうにもっていたのをおぼえていてくれたのだ。)
ヒロさんがいつも大事そうに持っていたのを覚えていてくれたのだ。
(ひろさんはかんしゃした。かみさまなんているのかわからなかったので、)
ヒロさんは感謝した。神様なんているのか分からなかったので、
(ただただそらにむかってかんしゃした。)
ただただ空に向かって感謝した。
など
(そしてちかったのだった。)
そして誓ったのだった。
(もうにどとなくしません。このてににぎって。けっして。)
もう二度となくしません。この手に握って。けっして。
(あたらしいやくそくがそうしてうまれた。)
新しい約束がそうして生まれた。
(それからのひろさんは、みぎてをひらかなくなった。どんなことがあっても。)
それからのヒロさんは、右手を開かなくなった。どんなことがあっても。
(それまでしていたしごともできなくなった。)
それまでしていた仕事もできなくなった。
(あわれにおもったむかしのなかまが、わずかばかりのおかねやたべものをくれたが、)
哀れに思った昔の仲間が、わずかばかりのお金や食べ物をくれたが、
(それもいつまでもつづかなかった。)
それもいつまでも続かなかった。
(みんなからだをぎりぎりまでいためつけながらはたらいていたのだ。)
みんな身体をギリギリまで痛めつけながら働いていたのだ。
(かれらもやがてひとり、ふたりと、どこかへさっていった。)
彼らもやがて一人、二人と、どこかへ去っていった。
(しゃかいのさいかそうで、どろみずをすすっていきていたようななかまたちだった。)
社会の最下層で、泥水を啜って生きていたような仲間たちだった。
(それなのに、いったい、どこへおこなけるというのだろう。)
それなのに、いったい、どこへ行けるというのだろう。
(そのなかでもいちばんそこにいたひろさんは、それでもそのまちでいきていた。)
その中でも一番そこにいたヒロさんは、それでもその街で生きていた。
(みずしらずのひとになにかをめぐんでもらうくらし。)
見ず知らずの人になにかを恵んでもらう暮らし。
(おちているものをひろって、それをあたまをさげさげだれかにかってもらうくらし。)
落ちているものを拾って、それを頭を下げ下げ誰かに買ってもらう暮らし。
(おかねがはらえなくなって、きちんやどもおいだされた。)
お金が払えなくなって、木賃宿も追い出された。
(さむさにこごえてまちをさまよい、たどりついたのはあのあきちだった。)
寒さに凍えて街を彷徨い、たどり着いたのはあの空き地だった。
(そこにありったけのぼろをまとってよこになった。)
そこにありったけのボロをまとって横になった。
(いてつくよぞらはすんでいて、ほしがいちめんにかがやいていた。)
凍てつく夜空は澄んでいて、星が一面に輝いていた。
(はるがくる。)
春が来る。
(またさくらがさく。)
また桜が咲く。
(それだけをおもってねむりについた。)
それだけを思って眠りについた。
(それからのくらしは、だれともきょうゆうできないひろさんだけのおもいでだった。)
それからの暮らしは、誰とも共有できないヒロさんだけの思い出だった。
(つらい、しんどい、などというなまやさしいことばではかたれない、ながい、ながいひび。)
つらい、しんどい、などという生易しい言葉では語れない、長い、長い日々。
(それでもはるはきた。そしてさくらはさいた。)
それでも春は来た。そして桜は咲いた。
(そのたびにのそのそとねぐらからはいでてきて、まちつづけた。)
そのたびにのそのそとねぐらから這い出て来て、待ち続けた。
(あのひとが、あのころとかわらないえがおでやってくることを。)
あの人が、あのころと変わらない笑顔でやってくることを。
(いつかかわしたやくそくは、たぶんゆめじゃなかったはずだから。)
いつか交わした約束は、たぶん夢じゃなかったはずだから。
(・・・・・)
・・・・・
(じだいはうつりかわる。)
時代は移り変わる。
(よのなかにはひろさんのしらないべんりなものがふえ、みちいくひとびとも)
世の中にはヒロさんの知らない便利なものが増え、道行く人々も
(すんなりとあしがのびて、みんなおしゃれなかっこうをしてたのしそうにしている。)
すんなりと足が伸びて、みんなお洒落な格好をして楽しそうにしている。
(そんなようすをみていると、ひろさんもたのしかった。)
そんな様子を見ていると、ヒロさんも楽しかった。
(しかしあきちのさくらのきはあるひ、たくちかいはつとやらがすすむなかで)
しかし空き地の桜の木はある日、タクチカイハツとやらが進む中で
(きられてしまった。ひろさんはひっしでていこうしたが、おおきなからだのわかものたちに)
切られてしまった。ヒロさんは必死で抵抗したが、大きな身体の若者たちに
(かなうはずもなかった。はんぶんのおおきさになったあきちはやがてこうえんになった。)
かなうはずもなかった。半分の大きさになった空き地はやがて公園になった。
(よこだおしのどかんもなくなったが、そこはもうひろさんのすみかだった。)
横倒しのドカンもなくなったが、そこはもうヒロさんの住処だった。
(ぼうぜんとしながらも、そこでくらすしかなかった。)
呆然としながらも、そこで暮らすしかなかった。