テレビ -7-(完)
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文
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(けんそうののこるよるのまちを、むすうのれいをつれてただあるいていた。)
喧騒の残る夜の街を、無数の霊をつれてただ歩いていた。
(さむけのするような、そしてどこかげんそうてきなこうけい。)
寒気のするような、そしてどこか幻想的な光景。
(そのときのかのじょのめには、しゅういのすべてがまったくうつっていなかった。)
その時の彼女の目には、周囲のすべてがまったく映っていなかった。
(いや、すこしちがう。)
いや、少し違う。
(うつっているものすべてにひとしくかちがない。)
映っているものすべてに等しく価値がない。
(そういうめをしていた。)
そういう目をしていた。
(ときおりあらわれる、かのじょのそういうまなざしをみるたび、)
時おり現れる、彼女のそういう眼差しを見るたび、
(ぼくはどうしようもなくつらいきもちになる。)
僕はどうしようもなくつらい気持ちになる。
(かのじょがふとわれにかえったかのようにそのひょうじょうをなくすとき、)
彼女がふと我に返ったかのようにその表情を無くす時、
(かのじょとぼくらのいるせかいが、)
彼女と僕らのいる世界が、
(とてもかぼそいつながりしかもたなくなるようなきがするのだ。)
とてもか細い繋がりしか持たなくなるような気がするのだ。
(なにかおもしろいことをいわなくてはならない。)
なにか面白いことを言わなくてはならない。
(たのしいことをいわなくてはならない。こわいことをいわなくてはならない。)
楽しいことを言わなくてはならない。怖いことを言わなくてはならない。
(はやく。)
早く。
(そうしてぼくは、こわばったくちをひらく。)
そうして僕は、強張った口を開く。
(なんといったのか、もうおぼえていない。きっとくだらないことだったのだろう。)
何と言ったのか、もう覚えていない。きっとくだらないことだったのだろう。
(ししょうはそんなぼくににこりとわらって、「ゆたってしってるか」といった。)
師匠はそんな僕ににこりと笑って、「ユタって知ってるか」と言った。
(しっている。げんだいにのこる、しゃーまんのいっしゅだ。)
知っている。現代に残る、シャーマンの一種だ。
(「もがりのしまでな、ゆたのばあさんにいわれたんだ。)
「殯(もがり)の島でな、ユタのばあさんに言われたんだ。
(ちょうどじまをでるときに。たったひとこと。しらないことばだった。)
ちょうど島を出る時に。たった一言。知らない言葉だった。
など
(ただ、ののしられていた、ということだけはわかった。)
ただ、ののしられていた、ということだけは分かった。
(いまわしいものをみるような、おちくぼんだめのおくのひかりをいまでもおぼえている」)
忌まわしいものを見るような、落ち窪んだ目の奥の光を今でも覚えている」
(「なんて、いわれたんですか」)
「なんて、言われたんですか」
(ししょうはふふん、というひょうじょうで「ぐそうむどい」といった。)
師匠はふふん、という表情で「ぐそうむどい」と言った。