ピエロ伝道者3
坂口安吾の「ピエロ伝道者」です。
青空文庫を参照し、現代語版で作成しました。
「すべて「一途」がほとばしるとき、人間は「歌う」ものである。」
から最後までを問題としています。
「すべて「一途」がほとばしるとき、人間は「歌う」ものである。」
から最後までを問題としています。
| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | なお氏 | 5763 | A+ | 6.0 | 95.3% | 274.5 | 1664 | 82 | 41 | 2026/07/19 |
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問題文
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(すべて「いちず」がほとばしるとき、にんげんは「うたう」ものである。)
すべて「一途」がほとばしるとき、人間は「歌う」ものである。
(そのひとそのひとのようきにしたがって、かなしさをうたい、)
その人その人の容器に順って、悲しさを歌い、
(くるしさをうたい、よろこびをうたい、わらいをうたい、むいみをうたう。)
苦しさを歌い、悦びを歌い、笑いを歌い、無意味を歌う。
(それがいちばんげいじゅつにひつようなのだ。)
それが一番芸術に必要なのだ。
(これほどすなおな、これほどそぼくな、これほどむじゃきなものはない。)
これ程素直な、これ程素朴な、これ程無邪気なものはない。
(このときげいじゅつはもっともこうしょうなものになる。)
この時芸術は最も高尚なものになる。
(すなおさはきじゅつのはんたいである。)
素直さは奇術の反対である。
(そして、このすなおさから、そのひとえにしたがって、)
そして、この素直さから、その人柄にしたがって、
(なみだのうらうちをしたわらいがほとばしるなら、それはそれでいちばんただしい。)
涙の裏打をした笑いがほとばしるなら、それはそれで一番正しい。
(そしてなかむらしは、かなりほんしつてきに、「かなしきわらい」のもちぬしではある。)
そして中村氏は、かなり本質的に、「悲しき笑い」の持ち主ではある。
(しかしなかむらしは、おうおうにしてむりなきじゅつをろうしている。)
しかし中村氏は、往々にして無理な奇術を弄している。
(それはいけない。)
それはいけない。
(にほんでは、ほんしつてきなふぁーすとして、こらいそんざいしていたものは、)
日本では、本質的なファースとして、古来存在していたものは、
(よせだけのようである。)
寄席だけのようである。
(すぐれたこころがまえのひとによってもちいられたなら、)
勝れた心構えの人によって用いられたなら、
(らくごもりっぱなげいじゅつになるはずである。)
落語も立派な芸術になる筈である。
(むかしはしらない。)
昔は知らない。
(すくなくともいまのよせは、いかんながらはなしにもならない。)
少くとも今の寄席は、遺憾ながら話にもならない。
(ぼくのしるかぎりで、「ばかばかしさ」を「うた」ったひとは、)
僕の知る限りで、「莫迦々々しさ」を「歌」った人は、
(すうねんまえにしんだはやしやしょうぞう。)
数年前に死んだ林屋正蔵。
など
(いまのひとでは、ここんていいますけ。)
今の人では、古今亭今輔。
(それだけ。)
それだけ。
(にほんのなんせんすぶんがくは、なみだをひやくしなければならない。)
日本のナンセンス文学は、涙を飛躍しなければならない。
(「ばかばかしさ」をうたいはじめてもいいじきだ。)
「莫迦々々しさ」を歌い初めてもいい時期だ。
(ゆうかんにやねへはいのぼれ!)
勇敢に屋根へ這い登れ!
(たけざおをふりまわしたまえ。)
竹竿を振り廻し給え。
(かんしゅうのなみだにこびたまうな。)
観衆の涙に媚び給うな。
(かれらから、それはげいじゅつでない、)
彼等から、それは芸術でない、
(ふぁーすであるとちょうしょうされることをきんかいとしたまえ。)
ファースであると嘲笑されることを欣快とし給え。
(しかしひねくれたどうけものになりたまうな。)
しかしひねくれた道化者になり給うな。
(よせげいにんのひくつさをまなびたまうな。)
寄席芸人の卑屈さを学び給うな。
(わずかなげんがくをふりかざして、「わらうきみたちをかえりみよ」といいたまうな。)
わずかな衒学をふりかざして、「笑う君達を省みよ」と言い給うな。
(みたまえ。)
見給え。
(たけざおをふりまわすばかが、「なんじなどをみよ!」とさけんだとすれば、)
竹竿を振り廻す莫迦が、「汝等を見よ!」と叫んだとすれば、
(おかしいではないか。)
おかしいではないか。
(それはきみじしんをあさましくするだけである。)
それは君自身をあさましくするだけである。
(すべからく「おとな」になろうとするこころをわすれたまえ。)
すべからく「大人」になろうとする心を忘れ給え。
(わすれなぐさのはなをごぞんじ?)
忘れな草の花を御存じ?
(あれはこころをもたない。)
あれは心を持たない。
(しかしあるひ、こいになやむひとりのれいじんをなぐさめたことをごぞんじ?)
しかし或日、恋になやむ一人の麗人を慰めたことを御存じ?
(かえるとびこむみずのおとをごぞんじ?)
蛙飛び込む水の音を御存じ?