小説長文9! 第三話

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投稿者投稿者白鮮まり @まりとっつぉ🎐 🩵❄️🪽✨いいね0お気に入り登録
プレイ回数3難易度(3.6) 2098打 長文
恋愛小説系です!「雨音に紛れた恋」第三話
小説なので、全然見るだけでもだいじょぶですっ!

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(それからわたしは、まえよりもみなとにはなしかけるようになった。) それから私は、前よりも湊に話しかけるようになった。 (あさのあいさつをして、ひるやすみにすこしはなして、ほうかごにはいっしょにかえることもふえた。) 朝の挨拶をして、昼休みに少し話して、放課後には一緒に帰ることも増えた。 (さいしょはなにをはなせばいいのかわからなかったのに、) 最初は何を話せばいいのか分からなかったのに、 (いまではちんもくさえきにならなくなっていた。) 今では沈黙さえ気にならなくなっていた。 (「かみやくんって、やすみのひはなにしてるの?」) 「神谷くんって、休みの日は何してるの?」 (ひるやすみにきくと、みなとはすこしかんがえてからこたえた。) 昼休みに聞くと、湊は少し考えてから答えた。 (「ほんよんでるか、さんぽしてる。」) 「本読んでるか、散歩してる。」 (「いがい。もっとげーむとかするのかとおもってた。」) 「意外。もっとゲームとかするのかと思ってた。」 (「そういうのもする。」) 「そういうのもする。」 (「じゃあ、ふつうじゃん。」) 「じゃあ、普通じゃん。」
(「おれをなんだとおもってるんだ。」) 「俺を何だと思ってるんだ。」 (めずらしくみなとがわらう。) 珍しく湊が笑う。 (わたしはおもわずつられてわらった。) 私は思わずつられて笑った。 (そんななにげないじかんが、すこしずつたのしくなっていた。) そんな何気ない時間が、少しずつ楽しくなっていた。 (あるひのほうかご、きょうしつをでようとしたときだった。) ある日の放課後、教室を出ようとした時だった。 (「さな、これおとした。」) 「紗奈、これ落とした。」 (みなとがわたしのあしもとからけしごむをひろってくれた。) 湊が私の足元から消しゴムを拾ってくれた。 (「ありがとう。」) 「ありがとう。」 (「さいきん、よくおとすな。」) 「最近、よく落とすな。」 (「うるさいな。」) 「うるさいな。」
など
(わたしはわらいながらうけとった。) 私は笑いながら受け取った。 (そのよくじつ、こんどはろうかでだれかがころんだ。) その翌日、今度は廊下で誰かが転んだ。 (もっていたぷりんとがゆかにちらばる。) 持っていたプリントが床に散らばる。 (まわりのせいとがとおりすぎるなか、みなとだけがたちどまった。) 周りの生徒が通り過ぎる中、湊だけが立ち止まった。 (「だいじょうぶ?」) 「大丈夫?」 (しゃがみこみ、ちらばったぷりんとをいちまいずつひろっていく。) しゃがみ込み、散らばったプリントを一枚ずつ拾っていく。 (「ありがとうございます......。」) 「ありがとうございます......。」 (「きをつけて。」) 「気をつけて。」 (そのすがたをみて、わたしはすこしおどろいた。) その姿を見て、私は少し驚いた。 (みなとは、ひとにつめたいとおもっていた。) 湊は、人に冷たいと思っていた。 (でも、ほんとうはちがうのかもしれない。) でも、本当は違うのかもしれない。 (そのひのかえりみち、わたしはきいてみた。) その日の帰り道、私は聞いてみた。 (「かみやくんって、やさしいんだね。」) 「神谷くんって、優しいんだね。」 (「......きゅうになに。」) 「......急に何。」 (「きょうのこと。」) 「今日のこと。」 (「あれくらいふつうだろ。」) 「あれくらい普通だろ。」 (「でも、だれもたすけてなかったよ。」) 「でも、誰も助けてなかったよ。」 (みなとはすこしだまったあと、まえをむいたままこたえた。) 湊は少し黙ったあと、前を向いたまま答えた。 (「こまってるなら、たすければいいだろ。」) 「困ってるなら、助ければいいだろ。」 (そのことばがみょうにこころにのこった。) その言葉が妙に心に残った。 (わたしはいままで、かれのむくちなところしかみていなかった。) 私は今まで、彼の無口なところしか見ていなかった。 (だから、かってにこわいひとだとおもっていた。) だから、勝手に怖い人だと思っていた。 (でも、はなしてみるとぜんぜんちがった。) でも、話してみると全然違った。 (むしろ、ひとよりずっとまわりをみている。) むしろ、人よりずっと周りを見ている。 (ただ、それをわざわざくちにしないだけなのだ。) ただ、それをわざわざ口にしないだけなのだ。 (えきにつくころには、そらがすこしくもっていた。) 駅に着く頃には、空が少し曇っていた。 (「あした、あめかもね。」) 「明日、雨かもね。」 (わたしがそらをみあげると、みなともみあげる。) 私が空を見上げると、湊も見上げる。 (「かさ、わすれないようにな。」) 「傘、忘れないようにな。」 (「わかってるよ。」) 「分かってるよ。」 (そういってわかれたよくあさ。) そう言って別れた翌朝。 (よほうどおり、あめがふっていた。) 予報通り、雨が降っていた。 (わたしはしょうこうぐちでかさをひらきながら、ふとたちどまる。) 私は昇降口で傘を開きながら、ふと立ち止まる。 (きのうのことをおもいだした。) 昨日のことを思い出した。 (そして、きづいてしまった。) そして、気づいてしまった。 (がっこうへいってみなとにあうことを、わたしはたのしみにしている。) 学校へ行って湊に会うことを、私は楽しみにしている。 (あさ、かれをみつけるとすこしうれしい。) 朝、彼を見つけると少し嬉しい。 (はなしかけられると、もっとうれしい。) 話しかけられると、もっと嬉しい。 (それはいったい、どういうきもちなんだろう。) それは一体、どういう気持ちなんだろう。 (まだ、こたえはでなかった。) まだ、答えは出なかった。 (ただひとつだけわかったことがある。) ただ一つだけ分かったことがある。 (わたしはもう、かみやみなとをにがてなだんしとはおもっていなかった。) 私はもう、神谷湊を苦手な男子とは思っていなかった。
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