小説長文9! 第三話
恋愛小説系です!「雨音に紛れた恋」第三話
小説なので、全然見るだけでもだいじょぶですっ!
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(それからわたしは、まえよりもみなとにはなしかけるようになった。)
それから私は、前よりも湊に話しかけるようになった。
(あさのあいさつをして、ひるやすみにすこしはなして、ほうかごにはいっしょにかえることもふえた。)
朝の挨拶をして、昼休みに少し話して、放課後には一緒に帰ることも増えた。
(さいしょはなにをはなせばいいのかわからなかったのに、)
最初は何を話せばいいのか分からなかったのに、
(いまではちんもくさえきにならなくなっていた。)
今では沈黙さえ気にならなくなっていた。
(「かみやくんって、やすみのひはなにしてるの?」)
「神谷くんって、休みの日は何してるの?」
(ひるやすみにきくと、みなとはすこしかんがえてからこたえた。)
昼休みに聞くと、湊は少し考えてから答えた。
(「ほんよんでるか、さんぽしてる。」)
「本読んでるか、散歩してる。」
(「いがい。もっとげーむとかするのかとおもってた。」)
「意外。もっとゲームとかするのかと思ってた。」
(「そういうのもする。」)
「そういうのもする。」
(「じゃあ、ふつうじゃん。」)
「じゃあ、普通じゃん。」
(「おれをなんだとおもってるんだ。」)
「俺を何だと思ってるんだ。」
(めずらしくみなとがわらう。)
珍しく湊が笑う。
(わたしはおもわずつられてわらった。)
私は思わずつられて笑った。
(そんななにげないじかんが、すこしずつたのしくなっていた。)
そんな何気ない時間が、少しずつ楽しくなっていた。
(あるひのほうかご、きょうしつをでようとしたときだった。)
ある日の放課後、教室を出ようとした時だった。
(「さな、これおとした。」)
「紗奈、これ落とした。」
(みなとがわたしのあしもとからけしごむをひろってくれた。)
湊が私の足元から消しゴムを拾ってくれた。
(「ありがとう。」)
「ありがとう。」
(「さいきん、よくおとすな。」)
「最近、よく落とすな。」
(「うるさいな。」)
「うるさいな。」
など
(わたしはわらいながらうけとった。)
私は笑いながら受け取った。
(そのよくじつ、こんどはろうかでだれかがころんだ。)
その翌日、今度は廊下で誰かが転んだ。
(もっていたぷりんとがゆかにちらばる。)
持っていたプリントが床に散らばる。
(まわりのせいとがとおりすぎるなか、みなとだけがたちどまった。)
周りの生徒が通り過ぎる中、湊だけが立ち止まった。
(「だいじょうぶ?」)
「大丈夫?」
(しゃがみこみ、ちらばったぷりんとをいちまいずつひろっていく。)
しゃがみ込み、散らばったプリントを一枚ずつ拾っていく。
(「ありがとうございます......。」)
「ありがとうございます......。」
(「きをつけて。」)
「気をつけて。」
(そのすがたをみて、わたしはすこしおどろいた。)
その姿を見て、私は少し驚いた。
(みなとは、ひとにつめたいとおもっていた。)
湊は、人に冷たいと思っていた。
(でも、ほんとうはちがうのかもしれない。)
でも、本当は違うのかもしれない。
(そのひのかえりみち、わたしはきいてみた。)
その日の帰り道、私は聞いてみた。
(「かみやくんって、やさしいんだね。」)
「神谷くんって、優しいんだね。」
(「......きゅうになに。」)
「......急に何。」
(「きょうのこと。」)
「今日のこと。」
(「あれくらいふつうだろ。」)
「あれくらい普通だろ。」
(「でも、だれもたすけてなかったよ。」)
「でも、誰も助けてなかったよ。」
(みなとはすこしだまったあと、まえをむいたままこたえた。)
湊は少し黙ったあと、前を向いたまま答えた。
(「こまってるなら、たすければいいだろ。」)
「困ってるなら、助ければいいだろ。」
(そのことばがみょうにこころにのこった。)
その言葉が妙に心に残った。
(わたしはいままで、かれのむくちなところしかみていなかった。)
私は今まで、彼の無口なところしか見ていなかった。
(だから、かってにこわいひとだとおもっていた。)
だから、勝手に怖い人だと思っていた。
(でも、はなしてみるとぜんぜんちがった。)
でも、話してみると全然違った。
(むしろ、ひとよりずっとまわりをみている。)
むしろ、人よりずっと周りを見ている。
(ただ、それをわざわざくちにしないだけなのだ。)
ただ、それをわざわざ口にしないだけなのだ。
(えきにつくころには、そらがすこしくもっていた。)
駅に着く頃には、空が少し曇っていた。
(「あした、あめかもね。」)
「明日、雨かもね。」
(わたしがそらをみあげると、みなともみあげる。)
私が空を見上げると、湊も見上げる。
(「かさ、わすれないようにな。」)
「傘、忘れないようにな。」
(「わかってるよ。」)
「分かってるよ。」
(そういってわかれたよくあさ。)
そう言って別れた翌朝。
(よほうどおり、あめがふっていた。)
予報通り、雨が降っていた。
(わたしはしょうこうぐちでかさをひらきながら、ふとたちどまる。)
私は昇降口で傘を開きながら、ふと立ち止まる。
(きのうのことをおもいだした。)
昨日のことを思い出した。
(そして、きづいてしまった。)
そして、気づいてしまった。
(がっこうへいってみなとにあうことを、わたしはたのしみにしている。)
学校へ行って湊に会うことを、私は楽しみにしている。
(あさ、かれをみつけるとすこしうれしい。)
朝、彼を見つけると少し嬉しい。
(はなしかけられると、もっとうれしい。)
話しかけられると、もっと嬉しい。
(それはいったい、どういうきもちなんだろう。)
それは一体、どういう気持ちなんだろう。
(まだ、こたえはでなかった。)
まだ、答えは出なかった。
(ただひとつだけわかったことがある。)
ただ一つだけ分かったことがある。
(わたしはもう、かみやみなとをにがてなだんしとはおもっていなかった。)
私はもう、神谷湊を苦手な男子とは思っていなかった。