レイクサイド ストーリー 大滝詠一

(だれがすてたのか)

誰が捨てたのか

(さびたすけーとぐつ)

錆びたスケート靴

(なみがあらってるよ)

波が洗ってるよ

(ゆびがきれるほど)

指が切れるほど

(みずがつめたいのさ)

水が冷たいのさ

(ひとりぼーとのうえ)

ひとりボートの上

(やがてまふゆがみずうみを)

やがて真冬が湖を

(こおりのかがみにかえるよ)

氷の鏡に変えるよ

(しろいくつでうぃんたーれいく)

白い靴でウィンター・レイク

(たーんしながら)

ターンしながら

(ぼくにうでをふった)

ぼくに腕を振った

(ひかるはでえがいたね)

光る刃で描いたね

(おおきなはーとのえを)

大きなハートの絵を

(おーるをとめてよむ)

オールを止めて読む

(ぬれたてがみのもじ)

ぬれた手紙の文字

(なまえがかわるんだね)

名前が変わるんだね

(てなどださないと)

手など出さないと

(きめたひもあったね)

決めた日もあったね

(あいつときみとぼく)

あいつと君とぼく

(むねにこいしをなげたのはだれ)

胸に小石を投げたのは誰

(かなしみのうずがひろがる)

悲しみの渦が広がる

(うでをくんでうぃんたーれいく)

腕を組んでウィンター・レイク

(すべるふたりを)

滑る二人を

(さくにもたれみてた)

棚にもたれ見てた

(すけーとはうまれつき)

スケートは生まれつき

(にがてとまゆひそめて)

苦手とまゆひそめて

(かぜをひいたよる)

風邪をひいた夜

(さきにねむるからと)

先に眠るからと

(ろっじのへやにいた)

ロッジの部屋にいた

(ほそいくつおとが)

細い靴音が

(きえたあいつのどあ)

消えたあいつのドア

(あさまでとじたまま)

朝まで閉じたまま

(なにもいわずににもつまとめて)

何も言わずに荷物まとめて

(みずうみをあとにしたのさ)

湖をあとにしたのさ

(じゃんぷしたねうぃんたーれいく)

ジャンプしたね ウィンター・レイク

(あしをくじいて)

足をくじいて

(なみだためていたよ)

涙ためていたよ

(さざなみのあのあたり)

さざ波のあのあたり

(みなもにかぜにふくよ)

水面に風に吹くよ

(しろいくつでうぃんたーれいく)

白い靴でウィンター・レイク

(たーんしながら)

ターンしながら

(ぼくにうでをふった)

ぼくに腕を振った

(ひかるはでえがいたね)

光る刃で描いたね

(おおきなはーとのえを)

大きなハートの絵を

(しろいくつがうぃんたーれいく)

白い靴がウィンター・レイク

(たーんしながら)

ターンしながら

(ぼくにうでをふった)

ぼくに腕を振った

(ふゆのまぼろしさ)

冬の幻さ