弱い虫

(あめにもまけずかぜにもまけないで)

雨にも負けず　風にも負けないで

(よくはなくけっしておこらないで)

欲はなく　決して怒らないで

(ほめられたってけなされたって)

褒められたって　けなされたって

(いつでもしずかにわらっている)

いつでも静かに　笑っている

(ああそういうひとにならなくていい)

ああ　そういう人に　ならなくていい

(ああなれなくていい)

ああ　なれなくていい

(とおいまちからきみのてがみ)

遠い街から　君の手紙

(あんなことこんなことまいにちのできごと)

あんなこと　こんなこと　毎日の出来事

(「たのしい」ときみがくりかえすたびに)

「楽しい」と君が繰り返すたびに

(ほんとうはたのしくないんじゃないかとしんぱいになる)

本当は楽しくないんじゃないかと心配になる

(ああくらやみのなかにきみのさびしさぼんやりとうかんでる)

ああ　暗闇の中に　君の淋しさ　ぼんやりと浮かんでる

(ああうかんでいる)

ああ　浮かんでいる

(まちかどではのらいぬたちがのらねこたちをいじめている)

街角では　野良犬たちが　野良猫たちをイジメている

(のらねこたちはねずみをいじめて)

野良猫たちは　ネズミをイジメて

(ねずみたちはむしたちをいじめてる)

ネズミたちは　虫たちをイジメてる

(ああむしけらたちはなにもいわずはいつくばっていきている)

ああ　虫ケラたちは　何も言わず這いつくばって生きている

(ああそうさいきている)

ああ　そうさ生きている

(だれよりふこうでだれよりしあわせか)

誰より不幸で　誰より幸せか

(したごころがばれないようびくびくしながら)

下心がバレないよう　びくびくしながら

(だれかになるためにこころをすてるなよ)

誰かになるために　心を捨てるなよ

(しにたくなるほどじぶんをせめるなよ)

死にたくなるほど　自分を責めるなよ

(ああがいとうにむらがるにんげんたちのうたがきこえてくる)

ああ　街灯に群がる　人間たちの歌が聴こえてくる

(ああきこえてくる)

ああ　聴こえてくる

(ああうえをむいてあるいてもなみだあふれてきたならば)

ああ　上を向いて歩いても　涙あふれてきたならば

(そうさぼくにむかってさけんでほしい)

そうさ　僕に向かって　叫んで欲しい

(よわむしでもかまわないきみよやさしいひとになれ)

弱虫でも　かまわない　君よ優しい人になれ

(なきむしでもべつにかまわないきみよすなおなひとになれ)

泣き虫でも　べつにかまわない　君よ素直な人になれ

(ああだれかをこまらせてまでつよくなるひつようなどあるものか)

ああ　誰かを困らせてまで　強くなる必要などあるものか

(あああるものか)

ああ　あるものか

(びるのうえからまちをながめてごらん)

ビルの上から　街を眺めてごらん

(しょせんぼくらはむしじゃないか)

しょせん僕らは　虫じゃないか

(かぜにあおられてあめにうたれて)

風に煽られて　雨に打たれて

(ときどきなみだぐみながらあるけばいい)

ときどき涙ぐみながら歩けばいい

(ああなみだあふれたらぼくにむかってさけんでくれ)

ああ　涙あふれたら　僕に向かって叫んでくれ

(ああさけんでくれ)

ああ　叫んでくれ