奇跡の行方‐catastrophe‐

(ねえだーりんこのこえがきこえますか)

ネエダーリン　コノ声ガ聞コエマスカ？

(ねえだーりんこのこえがきこえるなら)

ネエダーリン　コノ声ガ聞コエルナラ

(しんでんのあのはこぶねになきがらを)

神殿ノアノ箱船ニ亡骸ヲ

(ほうりこんでわたしをよみがえらせて)

放リ込ンデ　私ヲ蘇ラセテ…

(このくにはくさってしまったのよ)

コノ国ハ腐ッテシマッタノヨ

(よくぼうにみなめがくらんでるわ)

欲望ニ皆目ガ眩ンデルワ

(すべてをもとにもどさなくちゃ)

全テヲ元ニ戻サナクチャ

(あなたとそうこのわたしのてで)

アナタトソウコノ私ノ手デ

(ひとりではできないこともふたりならきっとのりこえられる)

ヒトリデハデキナイコトモ　二人ナラキット乗リ越エラレル

(きせきのゆくえはいまあなたのてに)

奇跡ノ行方ハ今アナタノ手ニ

(きんじられたそうちはこのさきにいまならばだれにもみつからない)

禁ジラレタ装置ハコノ先ニ　今ナラバ誰ニモ見ツカラナイ

(さあいそいでここからはじめるの)

サア急イデ　ココカラ始メルノ

(ちゅうちょせずにただはしりつづけて)

躊躇セズニ　タダ走リ続ケテ

(みちのとびらのかぎをあけて)

未知の扉の鍵を開けて

(めのまえのはこぶねそのなはつみ)

目の前の箱船その名は“罪”

(あなたはなにをのぞみなにをてにいれるの)

あなたは何を望み　何を手に入れるの？

(どうかまどわされないで)

どうか惑わされないで……

(ねえだーりんはやくほうりこんで)

ネエダーリン　早ク放リ込ンデ

(わたしのからだをそこにぶちこむのよ)

私ノ身体ヲ　ソコニブチ込ムノヨ

(さっさとやるんだよこのうすのろやろうめ)

サッサトヤルンダヨ　コノウスノロ野郎メ

(はやくはやくそいつのなかに)

早ク早ク　ソイツノ中ニ

(さいはなげられたそれはけっしておこしてはいけなかったきせき)

賽は投げられた　それは決して起こしてはいけなかった奇跡

(つみにおどらされたかれのきょうこう)

“罪”に踊らされた彼の凶行

(はなもひともくにもかれもすべてをまきこんでとけてゆく)

花も人も国も彼も　全てを巻き込んで溶けてゆく

(よみがえったわたしだけをのこしてすべて)

蘇った私だけを残して　全て

(るりらるりらわたしが)

るりら　るりら　私が

(めざめたときにはなにもない)

目覚めた時には何もない

(すべてをうしなったわたしはそのだいしょうに)

全てを失った　私はその代償に

(むげんのときをてにいれた)

無限の時を手に入れた

(だけどもうなにもない)

だけど　もう何もない

(あのひともあのこももういない)

あの人も　あの娘も　もういない

(くすんだふたつのひかりがえるどのもりに)

くすんだ　二つの光がエルドの森に

(ぽつんとおちていった)

ぽつんと　落ちていった