かみさま

(あなたからしりょくとちょうりょくうばいさって)

あなたから視力と聴力奪い去って

(あたしのたいおんだけがうちゅうになれたらいいな)

あたしの体温だけが宇宙になれたらいいな

(うきよはうそだらけひみつのとびらのぞきこめば)

浮世は嘘だらけ秘密の扉、覗き込めば

(だれもがおさなごのようにひとりぼっちでないているの？)

誰もが幼児のようにひとりぼっちで泣いているの？

(うまれてきたすべてただしいのだとわらってくれた)

生まれてきた全て正しいのだと笑ってくれた

(あなただけをぜんとしよう)

あなただけを善としよう

(あたしのかみさまだれにもわたさない)

あたしのかみさま誰にも渡さない

(あたしのかみさますいこまれてゆく)

あたしのかみさま吸い込まれてゆく

(あたしのかみさまだれにもいえない)

あたしのかみさま誰にも言えない

(ひみつをあなたにだけわけてあげる)

秘密をあなたにだけ分けてあげる

(あいしているの)

愛しているの

(すきないろいっしょくのふけんこうなぬりえのように)

好きな色一色の不健康な塗り絵の様に

(あたしのせいかつぜんぶまるごとのっとられている)

あたしの生活全部まるごと乗っ取られている

(こわくするくろめのおく)

蠱惑する黒目の奥

(のみほしてよもうどくでいい)

飲み干してよ、猛毒でいい

(あんぜんなにちじょうなんてあたしがあたしをなくすだけ)

安全な日常なんてあたしがあたしを失くすだけ

(じゃまするものすべてゆびぱっちんでけしさって)

邪魔するもの全て指パッチンで消し去って

(ふたりだけのくにをつくろう)

二人だけの国を作ろう

(あたしのかみさまねつをおびてゆく)

あたしのかみさま熱を帯びてゆく

(あなたをかたちづくるせいぎになりたい)

あなたを形作る 正義になりたい

(あたしのかみさまきょうもずっとまってた)

あたしのかみさま 今日もずっと待ってた

(ほのぐらいへやにてかおをあげれば)

仄暗い部屋にて顔を上げれば

(あなたがわらう)

あなたが笑う

(せいじょうにゆがんでゆくしかいさ)

正常に歪んでゆく視界さ

(とけないまほうくちうつししたなら)

解けない魔法 口移ししたなら

(むなしさごとなくなっちゃうように)

虚しさごとなくなっちゃうように

(ぎゅってしていていたいいたいくらいに)

ぎゅってしていて痛い痛いくらいに

(くるしいときもちいいはとてもよくにているのね)

苦しいと気持ちいいはとてもよく似ているのね

(やみのなかでゆめをみよう)

闇の中で夢を見よう

(あたしのかみさまだれにもこわせない)

あたしのかみさま誰にも壊せない

(あたしのかみさまたしかなまぼろし)

あたしのかみさま確かな幻

(あたしのかみさまどれだけおもっても)

あたしのかみさまどれだけ想っても

(あなたのそのめにのみこまれるだけ)

あなたのその目に飲み込まれるだけ

(こうもふこうもてのなかのぼたんにゆだねられている)

幸も不幸も手の中のボタンに委ねられている

(あいしているの)

愛しているの