「心理試験」8 江戸川乱歩

順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | pechi | 6264 | S | 6.9 | 90.8% | 335.7 | 2339 | 236 | 33 | 2025/05/13 |
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問題文
(きのう、さいとうはじょちゅうよりもさきにいえにかえった。それはふきやがもくてきをはたして)
昨日、斉藤は女中よりも先に家に帰った。それは蕗谷が目的を果たして
(たちさるとまもなくだった。そして、とうぜんろうばのしがいをはっけんした。しかし、)
立去ると間もなくだった。そして、当然老婆の死骸を発見した。併し、
(ただちにけいさつにとどけるまえに、かれはあることをおもいついたにそういない。)
直ちに警察に届ける前に、彼はあることを思いついたに相違ない。
(というのは、れいのうえきばちだ。もしこれがとうぞくのしわざなれば、あるいはあのなかの)
というのは、例の植木鉢だ。若しこれが盗賊の仕業なれば、或はあの中の
(かねがなくなってはいはしないか。たぶんそれはちょっとしたこうきしんからだったろう。)
金がなくなってはいはしないか。多分それは一寸した好奇心からだったろう。
(かれはそこをしらべてみた。ところが、あんがいにもきんのつつみがちゃんとあったのだ。)
彼はそこを検べて見た。ところが、案外にも金の包がちゃんとあったのだ。
(それをみてさいとうがあくしんをおこしたのは、じつにあさはかなかんがえではあるが)
それを見て斎藤が悪心を起したのは、実に浅はかな考えではあるが
(むりもないことだ。そのかくしばじょはだれれもしらないこと、ろうばをころしたはんにんが)
無理もないことだ。その隠し場所は誰れも知らないこと、老婆を殺した犯人が
(ぬすんだというかいしゃくがくだされるにちがいないこと。こうしたじじょうは、)
盗んだという解釈が下されるに違いないこと。こうした事情は、
(だれにしてもさけがたいつよいゆうわくにそういない。それからかれはどうしたか、)
誰にしても避け難い強い誘惑に相違ない。それから彼はどうしたか、
(けいかんのはなしでは、なにくわぬかおをしてひとごろしのあったことをけいさつへ)
警官の話では、何食わぬ顔をして人殺しのあったことを警察へ
(とどけでたということだ。ところが、なんというむふんべつなおとこだ。)
届け出たということだ。ところが、何という無分別な男だ。
(かれはぬすんだきんをはらまきのあいだへいれたまま、へいきでいたのだ。)
彼は盗んだ金を腹巻の間へ入れたまま、平気でいたのだ。
(まさかそのばでしんたいけんさをされようとはそうぞうしなかったとみえて。)
まさか其場で身体検査をされようとは想像しなかったと見えて。
(「だがまてよ。さいとうはいったいどういうふうにべんかいするだろう。しだいによっては)
「だが待てよ。斉藤は一体どういう風に弁解するだろう。次第によっては
(きけんなことになりはしないかな」ふきやはそれをいろいろとかんがえてみた。)
危険なことになりはしないかな」蕗谷はそれを色々と考えて見た。
(かれはかねをみつけられたとき、「じぶんのだ」とこたえたかもしれない。)
彼は金を見つけられた時、「自分のだ」と答えたかも知れない。
(なるほどろうばのざいさんのたかやかくしばじょはだれもしらないのだから、)
なる程老婆の財産の多寡や隠し場所は誰も知らないのだから、
(いちおうはそのべんめいもなりたつであろう。しかし、きんがくがあまりおおすぎるではないか。)
一応はその弁明も成立つであろう。併し、金額が余り多すぎるではないか。
(で、けっきょくかれはじじつをもうしたてることになるだろう。でも、さいばんしょがそれを)
で、結局彼は事実を申立てることになるだろう。でも、裁判所がそれを
(しょうにんするかな。そとにけんぎしゃがでればともかく、それまではかれをむざいに)
承認するかな。外に嫌疑者が出れば兎も角、それまでは彼を無罪に
(することはまずあるまい。うまくいけば、かれがさつじんつみにとわれるかも)
することは先ずあるまい。うまく行けば、彼が殺人罪に問われるかも
(しれたものではない。そうなればしめたものだが、・・・・・・ところで、)
知れたものではない。そうなればしめたものだが、・・・・・・ところで、
(さいばんかんがかれをといつめていくうちに、いろいろなじじつがわかってくるだろうな。)
裁判官が彼を問詰めて行く内に、色々な事実が分って来るだろうな。
(たとえば、かれがきんのかくしばじょをはっけんしたときにおれにはなしたことだとか、)
例えば、彼が金の隠し場所を発見した時に俺に話したことだとか、
(きょうこうのふつかまえにおれがろうばのへやにはいってはなしこんだことだとか、さては、)
兇行の二日前に俺が老婆の部屋に入って話込んだことだとか、さては、
(おれがびんぼうでがくしにもこまっていることだとか。しかし、これらはみな、ふきやが)
俺が貧乏で学資にも困っていることだとか。併し、これらは皆、蕗谷が
(このけいかくをたてるまえにあらかじめかんじょうにいれておいたことばかりだった。)
この計画を立てる前に予め勘定に入れて置いたことばかりだった。
(そして、どんなにかんがえても、さいとうのくちからそれいじょうかれにとってふりな)
そして、どんなに考えても、斉藤の口からそれ以上彼にとって不利な
(じじつがひきだされようとはかんがえられなかった。ふきやはけいさつからかえると、)
事実が引出されようとは考えられなかった。蕗谷は警察から帰ると、
(おくれたちょうしょくをしたためて(そのときしょくじをはこんできたじょちゅうにじけんについて)
遅れた朝食を認めて(その時食事を運んで来た女中に事件について
(はなしてきたかせたりした)いつものとおりがっこうへでた。がっこうではさいとうのうわさで)
話してきたかせたりした)いつもの通り学校へ出た。学校では斉藤の噂で
(もちきりだった。かれはなかばとくいげにそのうわさばなしのちゅうしんになってしゃべった。)
持切りだった。彼はなかば得意気にその噂話の中心になって喋った。