夏目漱石「こころ」3-90

夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
4:手摺(てずれ)
15:跨がって(またがって)
27:癒いのか(いいのか)
28:詫まりたくなった(あやまりたくなった)
30:曠野(こうや)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ほに | 7922 | 神 | 8.1 | 97.2% | 246.4 | 2009 | 57 | 34 | 2025/03/13 |
2 | セロリ | 6352 | S | 6.7 | 94.4% | 299.1 | 2018 | 118 | 34 | 2025/03/15 |
3 | フルール121 | 4356 | C+ | 4.5 | 95.6% | 440.5 | 2011 | 92 | 34 | 2025/03/12 |
4 | 犬さんローラン | 4076 | C | 4.2 | 96.5% | 476.9 | 2016 | 72 | 34 | 2025/03/14 |
5 | nasara | 3694 | D+ | 3.9 | 94.9% | 517.2 | 2019 | 108 | 34 | 2025/03/14 |
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問題文
(よんじゅうろく)
四十六
(「わたくしはさるがくちょうからじんぼうちょうのとおりへでて、おがわまちのほうへまがりました。)
「私は猿楽町から神保町の通りへ出て、小川町の方へ曲りました。
(わたくしがこのかいわいをあるくのは、いつもふるほんやをひやかすのがもくてきでしたが、)
私がこの界隈を歩くのは、何時も古本屋をひやかすのが目的でしたが、
(そのひはてずれのしたしょもつなどをながめるきが、どうしてもおこらないのです。)
その日は手摺のした書物などを眺める気が、どうしても起らないのです。
(わたくしはあるきながらたえずうちのことをかんがえていました。)
私は歩きながら絶えず宅の事を考えていました。
(わたくしにはさっきのおくさんのきおくがありました。)
私には先刻の奥さんの記憶がありました。
(それからおじょうさんがうちへかえってからのそうぞうがありました。)
それから御嬢さんが宅へ帰ってからの想像がありました。
(わたくしはつまりこのふたつものであるかせられていたようなものです。)
私はつまりこの二つのもので歩かせられていた様なものです。
(そのうえわたくしはときどきおうらいのまんなかでわれしらずふとたちどまりました。)
その上私は時々往来の真中で我知らず不図立ち留まりました。
(そうしていまごろはおくさんがおじょうさんに)
そうして今頃は奥さんが御嬢さんに
(もうあのはなしをしているじぶんだろうなどとかんがえました。)
もうあの話をしている時分だろうなどと考えました。
(またあるとき、もうあのはなしがすんだころだともおもいました。)
また或時、もうあの話が済んだ頃だとも思いました。
(わたくしはとうとうまんせいばしをわたって、みょうじんのさかをあがって、ほんごうだいへきて、)
私はとうとう万世橋を渡って、明神の坂を上って、本郷台へ来て、
(それからまたきくざかをおりて、しまいにこいしがわのたにへおりたのです。)
それから又菊坂を下りて、仕舞に小石川の谷へ下りたのです。
(わたくしのあるいたきょりはこのさんくにまたがって、)
私の歩いた距離はこの三区に跨がって、
(いびつなえんをえがいたともいわれるでしょうが、)
いびつな円を描いたとも云われるでしょうが、
(わたくしはこのながいさんぽのあいだほとんどけいのことをかんがえなかったのです。)
私はこの長い散歩の間殆んどKの事を考えなかったのです。
(いまそのときのわたくしをかいこして、なぜだとじぶんにきいてみてもいっこうわかりません。)
今その時の私を回顧して、何故だと自分に聞いて見ても一向分りません。
(ただふしぎにおもうだけです。)
ただ不思議に思うだけです。
(わたくしのこころがけいをわすれえるくらい、いっぽうにきんちょうしていたとみればそれまでですが、)
私の心がKを忘れ得る位、一方に緊張していたと見ればそれまでですが、
(わたくしのりょうしんがまたそれをゆるすべきはずはなかったのですから。)
私の良心が又それを許すべき筈はなかったのですから。
(けいにたいするわたくしのりょうしんがふっかつしたのは、わたくしがうちのこうしをあけて、)
Kに対する私の良心が復活したのは、私が宅の格子を開けて、
(げんかんからざしきへとおるとき、すなわちれいのごとくかれのへやをぬけようとしたしゅんかんでした。)
玄関から坐敷へ通る時、即ち例のごとく彼の室を抜けようとした瞬間でした。
(かれはいつものとおりつくえにむかってしょけんをしていました。)
彼は何時もの通り机に向って書見をしていました。
(かれはいつものとおりしょもつからめをはなして、わたくしをみました。)
彼は何時もの通り書物から眼を放して、私を見ました。
(しかしかれはいつものとおりいまかえったのかといいませんでした。)
然し彼は何時もの通り今帰ったのかと云いませんでした。
(かれは「びょうきはもういいのか、いしゃへでもいったのか」とききました。)
彼は『病気はもう癒いのか、医者へでも行ったのか』と聞きました。
(わたくしはそのせつなに、かれのまえにてをついて、あやまりたくなったのです。)
私はその刹那に、彼の前に手を突いて、詫まりたくなったのです。
(しかもわたくしのうけたそのときのしょうどうはけっしてよわいものではなかったのです。)
しかも私の受けたその時の衝動は決して弱いものではなかったのです。
(もしけいとわたくしがふたりこうやのまんなかにでもたっていたならば、)
もしKと私が二人曠野の真中にでも立っていたならば、
(わたくしはきっとりょうしんのめいれいにしたがって、そのばでかれにしゃざいしたろうとおもいます。)
私はきっと良心の命令に従って、その場で彼に謝罪したろうと思います。
(しかしおくにはひとがいます。)
然し奥には人がいます。
(わたくしのしぜんはすぐそこでくいとめられてしまったのです。)
私の自然はすぐ其所で食い留められてしまったのです。
(そうしてかなしいことにえいきゅうにふっかつしなかったのです。)
そうして悲しい事に永久に復活しなかったのです。