洒落怖《山の現場》前編

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問題文
(これはうちのおやじがのむとときどきするはなし。)
これはうちの親父が飲むと時々する話。
(ねんにすうかげつはちほうまでいってしごとをしていた。)
年に数か月は地方まで行って仕事をしていた。
(ふるいしゃしんには、そのころのなかまやなにかとげんばでとったしゃしんなんかがのこされている。)
古い写真には、その頃の仲間や何かと現場で撮った写真なんかが残されている。
(そんななかにいちまい、しゃしんのうらになまえがかかれたものがあった。)
そんな中に一枚、写真の裏に名前が書かれたものがあった。
(7~8にんでとったしゃしんなのに、3にんのなまえだけがうらにかかれている。)
7~8人で撮った写真なのに、3人の名前だけが裏に書かれている。
(とうじのしゃしんだからものくろのばらばんしゃしんで、かなりきばんでいる。)
当時の写真だからモノクロのバラ板写真で、かなり黄ばんでいる。
(そのしゃしんをせいりしていてみつけたときに、)
その写真を整理していて見つけた時に、
(おやじになぜこの3にんだけわざわざうらになまえがかいてあるのかきいてみた。)
親父に何故この3人だけわざわざ裏に名前が書いてあるのか聞いてみた。
(「それはやま(きょうとふかのさんかんぶらしい)にいったときのしゃしんや」)
「それは山(京都府下の山間部らしい)に行った時の写真や」
(それはわかるが、なんで3にんだけなまえが?)
それはわかるが、なんで3人だけ名前が?
(「さんこうったら、ひとがへるのはしかたないこともある」)
「山行ったら、人が減るのは仕方ない事もある」
(それいこうのはなしはそのときにきけなかったが、)
それ以降の話はその時に聞けなかったが、
(あとあとになってさけのせきできくことになった。)
後々になって酒の席で聞く事になった。
(おやじによると、そのげんばはふゆということもあって)
親父によると、その現場は冬ということもあって
(かなりかこくをきわめたらしい。)
かなり過酷を極めたらしい。
(ふるいりょかんだけがそのときのはんばとなり、ろくなだんぼうきぐもなくゆきもおおく、)
古い旅館だけがその時の飯場となり、ろくな暖房器具もなく雪も多く、
(それでもこうきはせまってきていて、みないちようにひろうとふあんにさいなまれていた。)
それでも工期は迫ってきていて、皆一様に疲労と不安に苛まれていた。
(そんなあるひ、ゆきがすこしこやみになったので、)
そんなある日、雪が少し小止みになったので、
(やどから1じかんいじょうあるいたげんばにむかった。)
宿から1時間以上歩いた現場に向かった。
(とうぜんやまみちでしゃりょうがいれるわけもなく、)
当然山道で車両が入れるわけもなく、
(いまのようにじゅうきがかつやくするはずもなかった。)
今のように重機が活躍するはずもなかった。
(それでもみなでたいれつをくんで、ふかいゆきのなかをあるいてげんばについた。)
それでも皆で隊列を組んで、深い雪の中を歩いて現場に着いた。
(さぎょうは「さんかんにどうろをつけるためのしたじになるみちをつくる」)
作業は『山間に道路を付けるための下地になる道を作る』
(というもので、にんぷがすうじゅうにんでやまをけずっていった。)
というもので、人夫が数十人で山を削っていった。
(くっきょうなおとこたちばかりだったという。)
屈強な男たちばかりだったという。
(あさからはじまったさぎょう、ゆきはこやみでもふりつづくなかでのかこくなろうどう。)
朝から始まった作業、雪は小止みでも降り続く中での過酷な労働。
(なんとかはやくおわらせて、おやじはみなをやすませてやりたかった。)
なんとか早く終わらせて、親父は皆を休ませてやりたかった。
(ひるになり、かんいのやねをつけたばしょでひをたいてひるめしになった。)
昼になり、簡易の屋根を付けた場所で火を炊いて昼飯になった。
(すうかしょにわかれてのひるめしだが、ぐるーぷはそれとなくきまっていた。)
数箇所に分かれての昼飯だが、グループはそれとなく決まっていた。
(ん?だれかたりない。)
ん?誰か足りない。
(おやじはそうかんじたので、みなのかおをみまわした。)
親父はそう感じたので、皆の顔を見回した。
(「まるまるさんはほかでたべてるのか?」)
「〇〇さんはほかで食べてるのか?」
(そうとうと、「そうやないか?」とへんじがあったという。)
そう問うと、「そうやないか?」と返事があったという。
(おやじはなんとなくきになりながらもめしをたべた。)
親父はなんとなく気になりながらも飯を食べた。
(ひがくれてさんかんはすぐにくらくなるので、おやじはさぎょうをしゅうりょうし、)
日が暮れて山間はすぐに暗くなるので、親父は作業を終了し、
(ぜんいんをあつめてやどにかえることにした。)
全員を集めて宿に帰ることにした。
(これいじょうはげざんできなくなるとはんだんしたからだ。)
これ以上は下山できなくなると判断したからだ。
(やどについたころにはすっかりあたりはくらくなり、ゆきとかぜはつよさをましていた。)
宿に着いた頃にはすっかり辺りは暗くなり、雪と風は強さを増していた。
(ふろにはいり、ゆうはんのじかんとなって、みなであつまったひろまにいくとようすがおかしい。)
風呂に入り、夕飯の時間となって、皆で集まった広間に行くと様子がおかしい。
(「なにがあった?」)
「何があった?」
(おやじのといかけに、だれかが「まるまるさんがおらん」という。)
親父の問いかけに、誰かが「〇〇さんがおらん」と言う。
(ひるめしのときにいなかったまるまるさんだ。)
昼飯の時にいなかった〇〇さんだ。
(おやじはまずいとおもった。)
親父はまずいと思った。
(ゆうはんもそこそこに、すうにんでげんばのちかくあんでさがしにいくことになった。)
夕飯もそこそこに、数人で現場の近く案で探しに行くことになった。
(かーばいとらんぷのくらいあかりをたよりに、ふぶきのなかをそんなちょうじかんは)
カーバイトランプの暗い明かりを頼りに、吹雪の中をそんな長時間は
(さがしあるくことができないし、にじそうなんのおそれもあったのであきらめてげざんしてきた。)
探し歩くことができないし、二次遭難の恐れもあったので諦めて下山してきた。
(すぐにでんわがあるようなじだいでもなく、あさになったらけいさつにとどけることにした。)
すぐに電話があるような時代でもなく、朝になったら警察に届けることにした。
(よくあさははれてひざしがもどってきた。)
翌朝は晴れて日差しが戻ってきた。
(すうにんがやどをあとにして、まちのけいさつまでふめいしゃのとどけでとそうさくのねがいをしにいった。)
数人が宿を後にして、町の警察まで不明者の届け出と捜索の願いをしに行った。
(うけおいさきにもれんらくをたのんだ。)
請け負い先にも連絡を頼んだ。
(おやじははやくからげんばにむかい、ふめいしゃをさがしながらのこりのものをつれてあるいた。)
親父は早くから現場に向かい、不明者を探しながら残りの者を連れて歩いた。
(ふかくなったゆきのせいでもあっててがかりはなく、げんばしゅうへんでのそうさくも)
深くなった雪のせいでもあって手掛かりはなく、現場周辺での捜索も
(ながくはできず、それぞれのさぎょうばしょをさがしながらさぎょうをするようにしじをした。)
長くはできず、それぞれの作業場所を探しながら作業をするように指示をした。
(まちまではしらせたものもひるにはもどったのだが、)
町まで走らせた者も昼には戻ったのだが、
(とうじのけいさつはそういうふめいしゃにはあまりかまってくれず、)
当時の警察はそういう不明者にはあまり構ってくれず、
(「ふもとのむらのせいねんだんにきょうりょくをもとめておく」とのことだけだった。)
「ふもとの村の青年団に協力を求めておく」とのことだけだった。
(ゆうがたになり、さぎょうもそうさくもだんねんしたおやじはまたみなをつれてやどにむかった。)
夕方になり、作業も捜索も断念した親父はまた皆を連れて宿に向かった。
(かえりみちでまたくもゆきがけしくなると、ふぶきがすぐにおそってきた。)
帰り道でまた雲行きが怪しくなると、吹雪がすぐに襲ってきた。
(やどにかえると、たえなむなさわぎでぜんいんをひろまにあつめた。)
宿に帰ると、妙な胸騒ぎで全員を広間に集めた。
(むなさわぎはあたった、またひとりたりない。)
胸騒ぎは当たった、また一人足りない。
(これはさすがにあせったという。)
これは流石に焦ったという。
(2にちで2にん、これはおかしい。)
2日で2人、これはおかしい。
(まだふぶきがつよくならないうちにと、すうにんずつのぐるーぷにわかれてそうさくをした。)
まだ吹雪が強くならないうちにと、数人ずつのグループに別れて捜索をした。
(それがまたさいあくのけっかになるとはおもってみなかったらしい。)
それがまた最悪の結果になるとは思ってみなかったらしい。
(ふぶきがつよくなり、ぜんいんがもどったときひとつのぐるーぷがもどらない。)
吹雪が強くなり、全員が戻った時ひとつのグループが戻らない。
(しまったとおやじはおもったという。)
しまったと親父は思ったという。
(しかし、ほどなくそのぐるーぷももどってきた。)
しかし、程なくそのグループも戻ってきた。
(しかしそのぐるーぷがおそかったのは、)
しかしそのグループが遅かったのは、
(そのなかのひとりがとちゅうでこつねんといなくなったからさがしていた、のだという。)
その中の一人が途中で忽然といなくなったから探していた、のだという。
(じたいはどんどんあっかしていく。)
事態はどんどん悪化していく。
(なにがおこっているのか、おやじにもわけがわからなくなってきていた。)
何が起こっているのか、親父にも訳が分からなくなってきていた。
(しかしこれいじょうのふめいしゃをだすわけにもいかず、おやじはそうさくをだんねんした。)
しかしこれ以上の不明者を出すわけにもいかず、親父は捜索を断念した。
(よくあさもはれて、せいねんだんもくわわってくれてそうさくとさぎょうがさいかいされ、)
翌朝も晴れて、青年団も加わってくれて捜索と作業が再開され、
(おくれたさぎょうをとりもどすためにもせいねんだんにそうさくをおねがいしおやじはさぎょうにかかった。)
遅れた作業を取り戻すためにも青年団に捜索をお願いし親父は作業にかかった。
(てんこうのよいうちにすこしでもはやくさぎょうをすすめて、)
天候の良いうちに少しでも早く作業を進めて、
(はやくこのげんばからはなれたかったのだ。)
早くこの現場から離れたかったのだ。
(ひるもちかくなりちゅうしょくのじゅんびのために、おやじはさぎょうからはなれかんいのこやにむかった。)
昼も近くなり昼食の準備のために、親父は作業から離れ簡易の小屋に向かった。
(きょうはさきにすすむために、ぜんいんがかわかみのさぎょうじょうにあつまっていたので、)
今日は先に進むために、全員が川上の作業場に集まっていたので、
(ちゅうしょくのばしょにはひとかげはなかった。)
昼食の場所には人影はなかった。
(でも、どこからかひとのきはいがする。)
でも、どこからか人の気配がする。
(もともとかんのするどいおやじなので、それはかくしんだった。)
元々勘の鋭い親父なので、それは確信だった。
(だれもいないはずのあたりをみまわす。)
誰もいないはずの辺りを見回す。
(すると、たにをはさんだむかいがわにひとかげをみつけた。)
すると、谷を挟んだ向かい側に人影を見つけた。
(みおぼえのあるひとだった、さいしょにいなくなったまるまるさんだった。)
見覚えのある人だった、最初にいなくなった〇〇さんだった。
(おやじはおおよろこびでこえをかけようとした。)
親父は大喜びで声をかけようとした。
(ちゅうしょくのためにみながあつまりはじめたので、そのすがたをほかにもみたものがいた。)
昼食のために皆が集まり始めたので、その姿を他にも見た者がいた。
(しかし、そのしゅんかんにおもった。)
しかし、その瞬間に思った。
(あのふぶきのなか、ふたばんもたえていられたのだろうか?)
あの吹雪の中、二晩も耐えていられたのだろうか?
(ちかづくためにたにのほうにあしをすすめると、むこうもこちらにきづいたらしい。)
近づくために谷の方に足を進めると、向こうもこちらに気づいたらしい。
(なにかにつかまらないとたっていられないようなきゅうしゃめんのうえにたつ)
何かに掴まらないと立っていられないような急斜面の上に立つ
(そのひとかげのむこううしろから、いなくなった2にんのすがたもかくにんできた。)
その人影の向こう後ろから、いなくなった2人の姿も確認できた。
(あしをはやめてたににむかう。)
足を速めて谷に向かう。
(すると、3にんのすがたがたにのがけのほうにすーっとうごくのがわかった。)
すると、3人の姿が谷の崖の方にすーっと動くのが分かった。
(「あぶない!」)
「危ない!」
(おもわずこえをだした。)
思わず声を出した。
(そのこえにまわりにいたひとたちもがけをみあげた。)
その声に周りにいた人たちも崖を見上げた。
(3にんはがけのはしにたつとみなのほうをみた。)
3人は崖の端に立つと皆の方を見た。
(そして、にぃっとわらってがけからしたにおちていった。)
そして、二ィっと笑って崖から下に落ちていった。