四つの顔 -4-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(「そのままどあをしめたら、ず、ずっとしずかなままで、)

「そのままドアを閉めたら、ず、ずっと静かなままで、

(しばらくしてあけたらだれもいなかった。)

しばらくして開けたら誰もいなかった。

(・・・・・それから、よなかめちゃくちゃつかれていえにかえってきたとき、)

・・・・・それから、夜中めちゃくちゃ疲れて家に帰ってきた時、

(げ、げんかんのどあをしめてかぎかけて、くつぬいでからへやのなかにはいろうとしたら、)

げ、玄関のドアを閉めて鍵掛けて、靴脱いでから部屋の中に入ろうとしたら、

(なんとなくふりむきたくなって、ふ、ふりむいたんだけど、)

なんとなく振り向きたくなって、ふ、振り向いたんだけど、

(げんかんのどあがはんぶんひらいてて、その、dのかおがのぞいてた。)

玄関のドアが半分開いてて、その、Dの顔が覗いてた。

(・・・・・ちかづこうとしたらすぐにしまって、)

・・・・・近づこうとしたらすぐに閉まって、

(とってのとこみたら、かぎかかったままだった」)

取っ手のとこ見たら、鍵掛かったままだった」

(みんなぐちがきけなかった。)

みんな口が利けなかった。

(「ひとりぐらし、でしたよね」)

「一人暮らし、でしたよね」

(coloさんがたしかめるようにいう。)

Coloさんが確かめるように言う。

(かいだんだ。いつのまにか。)

怪談だ。いつの間にか。

(へんかきゅうからはいったぶん、こころがまえができていなかった。どきどきする。)

変化球から入った分、心構えができていなかった。ドキドキする。

(「それ、いきてるにんげんなんですか?」)

「それ、生きてる人間なんですか?」

(さわださんがおびえながらもといかける。)

沢田さんが怯えながらも問いかける。

(「さあ」)

「さあ」

(このよのものではないといういんしょうはもつけれど、)

この世のものではないという印象は持つけれど、

(いきているにんげんだとすると、そっちのほうがこわいきがする。)

生きている人間だとすると、そっちの方が怖い気がする。

(すがたがはっきりみえていながらそれがだれだかわからない。)

姿がはっきり見えていながらそれが誰だか分からない。

(そしてありえないばしょにあらわれる。)

そしてありえない場所に現れる。

など

(きいているほうもむしょうにきもちわるいのだから、それをみながらしょうたいを)

聞いている方も無性に気持ち悪いのだから、それを見ながら正体を

(にんしきできないほんにんのほうがよほどきみがわるいおもいをしていることだろう。)

認識できない本人の方がよほど気味が悪い思いをしていることだろう。

(やましたさんはきゅうにあかるいこえをだして「つぎ、つぎ。つぎのはなしにいこう」と)

山下さんは急に明るい声を出して「次、つぎ。次の話に行こう」と

(はやしたてた。あまりふかくかたりたくないようだった。)

囃し立てた。あまり深く語りたくないようだった。

(そうしてまたいつものありがちなかいだんばなしのるーぷにもどっていったが、)

そうしてまたいつものありがちな怪談話のループに戻って行ったが、

(どこかみなきがのらないようすだったのは、すっきりしないよんぱたーんのかおの)

どこか皆気が乗らない様子だったのは、すっきりしない四パターンの顔の

(はなしがみょうにきになっていたからかもしれない。)

話が妙に気になっていたからかも知れない。

(おれもひろうじのやましたさんのあたまのなかでdというきょうつうのかおにまとめられる、)

俺も疲労時の山下さんの頭の中でDという共通の顔にまとめられる、

(なんだかわからないそんざいのことがこころのどこかにずっとこびりついていた。)

なんだか分からない存在のことが心のどこかにずっとこびりついていた。

(それからみんなさけがすすみだんだんとむくちになってきて、)

それからみんな酒が進みだんだんと無口になってきて、

(おれがきがつくとみかっちさんにゆさぶられていた。)

俺が気がつくとみかっちさんに揺さぶられていた。

(ねてしまったらしい。)

寝てしまったらしい。

(とけいはじゅうにじをまわっていたというのに、みかっちさんとcoloさんは)

時計は十二時を回っていたというのに、みかっちさんとColoさんは

(「かがみうらないにいこう」といっておれをゆする。)

「鏡占いに行こう」と言って俺を揺する。

(とりあえずかおをあらわせてください、とたちあがったときにへやをみまわしたが)

とりあえず顔を洗わせてください、と立ち上がった時に部屋を見回したが

(やましたさんとさわださんはいなかった。)

山下さんと沢田さんはいなかった。

(「つかれたからって、かえった」)

「疲れたからって、帰った」

(みかっちさんはばかにしたようなくちょうでさけくさいはないきをへやにまいた。)

みかっちさんはバカにしたような口調で酒臭い鼻息を部屋にまいた。

(そのひいこう、おふにやましたさんがあらわれることはなかった。)

その日以降、オフに山下さんが現れることはなかった。

(ねっとじょうのけいじばんでもかきこみがほとんどみられなくなっていた。)

ネット上の掲示板でも書き込みがほとんど見られなくなっていた。

(あるよる、ふときになってやましたさんがさいごにかきこみをしたのは)

ある夜、ふと気になって山下さんが最後に書き込みをしたのは

(いつごろだろうとしらべてみた。)

いつごろだろうと調べてみた。

(それはいつかほどまえだった。たいむすたんぷからぎゃくさんすると、)

それは五日ほど前だった。タイムスタンプから逆算すると、

(coloさんのへやであのはなしをきいたときからにしゅうかんあまりたっている。)

Coloさんの部屋であの話を聞いた時から二週間あまり経っている。

(ないようをみたとき、すくろーるするまうすがとまった。)

内容を見たとき、スクロールするマウスが止まった。

(え?)

え?

(いやなかんじがせなかをはしった。)

嫌な感じが背中を走った。

(こんなかきこみがあっただろうか。おぼえていない。)

こんな書き込みがあっただろうか。覚えていない。

(「dがふえている」)

「Dが増えている」

(たったそれだけのいちぎょうれす。ぜんごのほかのなかまのかいわとかみあっていない。)

たったそれだけの一行レス。前後の他の仲間の会話と噛み合っていない。

(まぎれこんでいる、というひょうげんがしっくりきた。)

紛れ込んでいる、という表現がしっくりきた。

(それよりふるいれすをみてみたが、そこからよっかまえになかまのかいわへ)

それより古いレスを見てみたが、そこから四日前に仲間の会話へ

(あたりさわりのないあいのてをいれているだけだった。)

当たり障りのない合いの手を入れているだけだった。

(さらにさかのぼると、くだんのおふかいいぜんまでいってしまう。)

さらに遡ると、くだんのオフ会以前までいってしまう。

(dがふえている。)

Dが増えている。

(おれはくろをはいけいしょくにしたけいじばんをみながらつぶやいた。)

俺は黒を背景色にした掲示板を見ながら呟いた。

(いすがちいさくきしむ。)

椅子が小さく軋む。

(dとはもちろん、あのやましたさんがみるというよんぱたーんのかおのひとつだろう。)

Dとはもちろん、あの山下さんが見るという四パターンの顔の一つだろう。

(それもだれもいないはずのふろばにたっていたり、かぎのかかっているはずの)

それも誰もいないはずの風呂場に立っていたり、鍵のかかっているはずの

(どあからのぞいていたりといったありえないあらわれかたをするそんざい。)

ドアから覗いていたりといったあり得ない現れ方をする存在。

(それがふえるとはいったいどういうことなのか。)

それが増えるとはいったいどういうことなのか。

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