四つの顔 -1-

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師匠シリーズ
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関連タイピング

問題文

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(だいがくいっかいせいのふゆだった。)

大学一回生の冬だった。

(そのころおれはだいがくにはいってからはじめたいんたーねっとにはまっていて、)

そのころ俺は大学に入ってから始めたインターネットにはまっていて、

(とくにじもとのおかるとけいふぉーらむにいりびたっていた。)

特に地元のオカルト系フォーラムに入り浸っていた。

(かなりかっぱつにかきこみがあり、おふかいもひんぱんにおこなわれていたのだが、)

かなり活発に書き込みがあり、オフ会も頻繁に行われていたのだが、

(そのおおくはいざかやでうわさばなしやかいだんばなしのたぐいをこうかんしてたのしむというていどで、)

その多くは居酒屋で噂話や怪談話の類を交換して楽しむという程度で、

(いちおう「くろまじゅつをかたろうという」というてーまはあったものの、)

一応「黒魔術を語ろうという」というテーマはあったものの、

(ほんかくてきにそのしゅしをじっこうしているのはごくいちぶのしゅようめんばーだけという)

本格的にその趣旨を実行しているのはごく一部の主要メンバーだけという

(ありさまだった。おれもまたくろまじゅつなどというえたいのしれないものを)

有様だった。俺もまた黒魔術などという得体の知れないものを

(べんきょうしようというきはさらさらなく、そのどくとくのおかるてぃっくなのりを)

勉強しようという気はさらさらなく、その独特のオカルティックなノリを

(ゆるくたのしみたいという、ただそれだけのどうきだった。)

緩く楽しみたいという、ただそれだけの動機だった。

(そんなあるひ、いつものようにいざかやでおふかいをしたあと、)

そんなある日、いつものように居酒屋でオフ会をしたあと、

(coloさんというふぉーらむのちゅうしんめんばーのいえにゆうしだけが)

Coloさんというフォーラムの中心メンバーの家に有志だけが

(あつまったにじかいがひらかれた。)

集まった二次会が開かれた。

(そのまえのいざかやすてーじで、はじめておふにさんかしたというけいはくそうなおとこが)

その前の居酒屋ステージで、はじめてオフに参加したという軽薄そうな男が

(きょうすけさんというはんどるねーむのじょせいにしつこくいいより、)

京介さんというハンドルネームの女性にしつこく言い寄り、

(ついにかのじょがきれてひとりでかえってしまうというそうどうがあったせいで)

ついに彼女がキレて一人で帰ってしまうという騒動があったせいで

(しらけたむーどがただよい、じょうれんだけでのみなおそうということになったのだ。)

白けたムードが漂い、常連だけで飲みなおそうということになったのだ。

(まんしょんにあるcoloさんのへやでかいこんできたおさけを)

マンションにあるColoさんの部屋で買い込んできたお酒を

(だらだらとのんでいると、しぜんとおかるとばなしになる。)

ダラダラと飲んでいると、自然とオカルト話になる。

(おれをふくめ、ぜんぶでごにん。)

俺を含め、全部で五人。

など

(そういうはなしがすきなめんつがそろっているからとうぜんなのだが、)

そういう話が好きな面子が揃っているから当然なのだが、

(かんがえるとこれだけなんどもあつまりながらまだはなすねたがあるというのがけっこうすごい。)

考えるとこれだけ何度も集まりながらまだ話すネタがあるというのが結構凄い。

(とくにさわださんというじょせいとやましたさんというだんせいはかいだんばなしのほうこだった。)

特に沢田さんという女性と山下さんという男性は怪談話の宝庫だった。

(さわださんはかんごふをしていて、じったいけんはあまりないものの、)

沢田さんは看護婦をしていて、実体験はあまりないものの、

(びょういんにまつわるこわいはなしをかなりしゅうしゅうしており、)

病院にまつわる怖い話をかなり蒐集しており、

(そのたよりなげなかたりくちはきょうふしんをひつよういじょうにあおったものだった。)

その頼りなげな語り口は恐怖心を必要以上に煽ったものだった。

(やましたさんはさんじゅうねんぱいのさいねんちょうぐみで、れいかんがつよいのかたいけんだんがやたらとおおく、)

山下さんは三十年配の最年長組で、霊感が強いのか体験談がやたらと多く、

(ほかのめんばーからは「はんぶんいじょうまゆつば」などとからかわれていたものの、)

他のメンバーからは「半分以上眉ツバ」などとからかわれていたものの、

(ときにいようなりありてぃでせまることもあり、いちもくおかれたそんざいだった。)

時に異様なリアリティで迫ることもあり、一目置かれた存在だった。

(そのよるもさわださんのびょういんはなしとみかっちさんというじょせいのこどものころのはなし、)

その夜も沢田さんの病院話とみかっちさんという女性のこどものころの話、

(それからやましたさんのはなしとがじゅんばんにかたられていった。)

それから山下さんの話とが順番に語られていった。

(そのなかでもいちばんいんしょうにのこったのが、やましたさんがぼそぼととかたった)

その中でも一番印象に残ったのが、山下さんがボソボトと語った

(「つかれてくるとにんげんのかおがよんぱたーんしかみえなくなる」というはなしだった。)

「疲れてくると人間の顔が四パターンしか見えなくなる」という話だった。

(おれはかなりねむくなっていて、みかっちさんに「ねるな」と)

俺はかなり眠くなっていて、みかっちさんに「寝るな」と

(こづかれていたのだが、かしゅん、というかんびーるのぷるとっぷが)

小突かれていたのだが、カシュン、という缶ビールのプルトップが

(ひらくおとにはんのうしてあたまがたしょうくりあになった。)

開く音に反応して頭が多少クリアになった。

(「ぼ、ぼくはね。つかれるとよっつのぱたーんしかかおがみえなくなるんだ」)

「ぼ、僕はね。疲れると四つのパターンしか顔が見えなくなるんだ」

(やましたさんはかんびーるからくちをはなし、おずおずとそうきりだした。)

山下さんは缶ビールから口を離し、おずおずとそう切り出した。

(「なにそれ。よんぱたーん?それいがいのかおは?」)

「なにそれ。四パターン?それ以外の顔は?」

(じゅっさいいじょうとししたのはずだが、みかっちさんはすこしでもかおみしりになったひとには)

十歳以上年下のはずだが、みかっちさんは少しでも顔見知りになった人には

(たいていためぐちだ。)

たいていタメ口だ。

(「だから、にんげんぜんぶがよんぱたーんのどれかのかおになるんだ」)

「だから、人間全部が四パターンのどれかの顔になるんだ」

(「はあ?なわけないじゃん」)

「はあ?なわけないじゃん」

(「ま、まあぼくにそうみえるってだけで・・・・・」)

「ま、まあ僕にそう見えるってだけで・・・・・」

(せめられてるようなひょうじょうをしてくちをつぐみかけたので、)

せめられてるような表情をして口をつぐみかけたので、

(おれはみかっちさんをせいしてつづきをうながす。)

俺はみかっちさんを制して続きを促す。

(「と、いっても、よっぽどつかれたときだけなんだけど。なんかこう、)

「と、言っても、よっぽど疲れたときだけなんだけど。なんかこう、

(つかれてそとあるきいてると、みちいくひとのかおがだんだんおなじようにみえてきて、)

疲れて外歩いてると、道行く人の顔がだんだん同じように見えてきて、

(く、くべつがつかなくなるんだ」)

く、区別がつかなくなるんだ」

(「それ、つかれてるんだって」とみかっちさんがくちをだし、)

「それ、疲れてるんだって」とみかっちさんが口を出し、

(われながらおもしろいことをいったとでもおもったのかやたらひとりでうけてわらいはじめた。)

我ながら面白いことを言ったとでも思ったのかやたら一人でウケて笑い始めた。

(「うるさいな、もういいよ」)

「うるさいな、もういいよ」

(やましたさんはおこりだし、めつきがするどくなった。)

山下さんは怒り出し、目つきが鋭くなった。

(かれにはえきせんとりっくなところがあり、)

彼にはエキセントリックな所があり、

(おれはすこしあつかいづらいひとだというにんしきをしていた。)

俺は少し扱いづらい人だという認識をしていた。

(さわださんがみかっちさんのくちをふさぎ、なんとかはなしのつづきをしてもらうながれに)

沢田さんがみかっちさんの口を塞ぎ、なんとか話の続きをしてもらう流れに

(もっていく。そんなとちゅうでとめられるときになってしかたがない。)

持っていく。そんな途中で止められると気になってしかたがない。

(かれにはえきせんとりっくなところがあり、)

彼にはエキセントリックな所があり、

(おれはすこしあつかいづらいひとだというにんしきをしていた。)

俺は少し扱いづらい人だという認識をしていた。

(さわださんがみかっちさんのくちをふさぎ、なんとかはなしのつづきをしてもらうながれに)

沢田さんがみかっちさんの口を塞ぎ、なんとか話の続きをしてもらう流れに

(もっていく。そんなとちゅうでとめられるときになってしかたがない。)

持っていく。そんな途中で止められると気になってしかたがない。

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