王子とこじき 42
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(うまにのったとむは、じつにりっぱにみえた。たいどもまったくもうしぶんなかった。)
馬に乗ったトムは、実に立派に見えた。態度も全く申し分なかった。
(ぎょうれつのとちゅうで、ひとのなみのなかから「こくおうへいか、ばんざーい!」とこえがあがると)
行列の途中で、人の波の中から「国王陛下、ばんざーい!」と声が上がると
(そちらをいちいちみては、やさしいめつきであいさつした。)
そちらをいちいち見ては、優しい目つきであいさつした。
(そのうえ、たとえば「こくおうへいかにかみのおめぐみがありますように!」とさけぶものがいると)
その上、例えば「国王陛下に神のお恵みがありますように!」と叫ぶ者がいると
(「わたしのこくみんにも、かみのごかごがあるように!」と、こたえることができた。)
「私の国民にも、神の御加護があるように!」と、答えることができた。
(まったくとむは、じぶんでもうっとりしていた。)
全くトムは、自分でもうっとりしていた。
(そして、たしかにこのよでおうさまになることぐらいすばらしいことはない)
そして、確かにこの世で王様になることぐらい素晴らしいことはない
(とおもってうまをすすめていた。)
と思って馬を進めていた。
(みわたすかぎりのとおりというとおりには、こくおうをいわうはたや、のぼりがたっていた)
見渡す限りの通りという通りには、国王を祝う旗や、のぼりが立っていた
(りょうがわのひとたちは、ますますあつみをまして)
両側の人たちは、ますます厚みを増して
(どのくちからも「ばんざーい」のこえがあがった。)
どの口からも「ばんざーい」の声が上がった。
(こうしてとむが、まさにいちばんとくいになったときである。)
こうしてトムが、まさに一番特意になった時である。
(ひとなみのなかに、あおいかおいろをしてくるしそうなようすのひとがいるのを、)
人波の中に、青い顔色をして苦しそうな様子の人がいるのを、
(とむはみつけてみぶるいした。)
トムは見つけて身震いした。
(それは、あのときいらいながくあわなかったははおやのすがただった。)
それは、あの時以来長く会わなかった母親の姿だった。
(おどろいたとむは、うまのうえでおもわずしらず、あのわるいゆめにうなされたときのてつき)
驚いたトムは、馬の上で思わず知らず、あの悪い夢にうなされた時の手つき
(めのまえにてをあげて、てのひらをそとへむけてよけるようなしぐさ)
目の前に手を上げて、手のひらを外へ向けてよけるような仕草
(あれをくりかえした。)
あれを繰り返した。
(それをみたとむのははおやは、ちからをふるってとびだしてきた。)
それを見たトムの母親は、力を振るって飛び出してきた。
(まわりのへいたいがとめようとしてもとまらないはやさで、とむのあしにしがみついて)
周りの兵隊が止めようとしても止まらない早さで、トムの足にしがみついて
など
(「ああ、わたしのかわいいこ、わたしのむすこ」となきながらさけんだのだった。)
「ああ、私の可愛い子、私の息子」と泣きながら叫んだのだった。
(そして、やさしさとうれしさにみちためで、しっかりととむをみあげたのだった。)
そして、優しさと嬉しさに満ちた目で、しっかりとトムを見上げたのだった。
(ばんぺいたちは、ちからずくでこのみすぼらしいこじきおんなをひきはなし、みちのうえへつきたおした)
番兵たちは、力ずくでこのみすぼらしい乞食女を引き離し、道の上へ突き倒した
(とむはそれをみていても、しらんかおをするほかなかったのだ。)
トムはそれを見ていても、知らん顔をするほかなかったのだ。
(そして、もういちどふりかえると、じぶんのははおやのめからは)
そして、もう一度振り返ると、自分の母親の目からは
(とめどなくなみだがながれているのがみえた。)
とめどなく涙が流れているのが見えた。
(それをみたとたん、とむのからだからはちからがきえていった。)
それを見たとたん、トムの体からは力が消えていった。
(それまでのたかぶったとくいなきぶんなどは、どこかへけしとんでしまった。)
それまでの高ぶった得意な気分などは、どこかへ消し飛んでしまった。
((かわいそうなおかあちゃん。おいら、どうしてあのおかあちゃんを)
(可哀想なおかあちゃん。おいら、どうしてあのお母ちゃんを
(たすけなかったんだろう)むねがぎりぎりといたんだ。)
助けなかったんだろう)胸がぎりぎりと痛んだ。
(たちまちとむは、うまのうえでぐったりとしてかおもまっすぐに)
たちまちトムは、馬の上でぐったりとして顔もまっすぐに
(あげられなくなったのである。)
上げられなくなったのである。
(みちをうめつくしたたくさんのひとたちは、あたらしいこくおうへいかのたいどが)
道を埋め尽くしたたくさんの人たちは、新しい国王陛下の態度が
(きゅうにおかしくなったのをみて、しーんとなりだした。)
急におかしくなったのを見て、しーんとなりだした。
(あたりに、ふあんなふんいきがただよった。)
あたりに、不安な雰囲気が漂った。
(あわててはーふぉーどきょうは、とむのそばへかけよってきてこごえでこういった。)
慌ててハーフォード卿は、トムのそばへ駆け寄ってきて小声でこう言った。
(「へいか。いま、ぼんやりあそばしてはなりませぬ。なんぜんにんのめがへいかをみて)
「陛下。今、ぼんやりあそばしてはなりませぬ。何千人の目が陛下を見て
(ついさっきまで、おげんきなようすをよろこんでいたのですぞ。)
ついさっきまで、お元気な様子を喜んでいたのですぞ。
(さあ、すぐにえがおをなさいませ。にっこりとおわらいになるのです」)
さあ、すぐに笑顔をなさいませ。にっこりとお笑いになるのです」
(そういって、とむにもぎんかのいっぱいつまったふくろをわたした。)
そう言って、トムにも銀貨のいっぱい詰まった袋を渡した。
(そして、じぶんがさきにたってむらがるひとのなかへぎんかをまきはじめた。)
そして、自分が先に立って群がる人の中へ銀貨をまき始めた。
(しかたなくとむも、おなじようにぎんかをなげるだけだった。)
しかたなくトムも、同じように銀貨を投げるだけだった。
(しかし、はーふぉーどきょうは、よほどさっきのできごとがくやしかったらしい。)
しかし、ハーフォード卿は、よほどさっきの出来事が悔しかったらしい。
(とむのそばで「みんなあの、きたならしいおんなこじきのせいだ。)
トムのそばで「みんなあの、きたならしい女乞食のせいだ。
(あのなきっつらで、へいかのおかおをくもらせたりしおって」といった。)
あの泣きっ面で、陛下のお顔を曇らせたりしおって」と言った。
(とむのめには、みるみるなみだがうかんだ。)
トムの目には、みるみる涙が浮かんだ。
(そしてとうとうこらえきれなくなってさけんだ。)
そしてとうとうこらえきれなくなって叫んだ。
(「あのひとは、わたしのははなのだ。ははうえなのだ」)
「あの人は、私の母なのだ。母上なのだ」
(これをきいたはーふぉーどきょうは、ぎんかのふくろをとりおとさんばかりにびっくりした)
これを聞いたハーフォード卿は、銀貨の袋を取り落とさんばかりにびっくりした
((しまった。とんだことをくちにされてしまった。)
(しまった。とんだことを口にされてしまった。
(ここでこれいじょう、へいかのおつむをくるわせてはならん。)
ここでこれ以上、陛下のおつむを狂わせてはならん。
(きょうはたいかんしきというだいじなひなのだ))
今日は戴冠式という大事な日なのだ)
(そこで「おっしゃるとおりでございます。いずれてあてをいたします」)
そこで「おっしゃる通りでございます。いずれ手当てをいたします」
(でたらめにそうひきうけて、ともかく、とむをうぇすとみんすたーじいんへ)
でたらめにそう引き受けて、ともかく、トムをウェストミンスター寺院へ
(ぶじにおくりこもうとしたのである。)
無事に送り込もうとしたのである。
(ところで、うぇすとみんすたーじいんのまえは、あさのよじからひとでいっぱいだった。)
ところで、ウェストミンスター寺院の前は、朝の四時から人でいっぱいだった。
(ひとめでもこくおうをみようというしみんもいたが、きぞくであってもみぶんのひくいものは)
人目でも国王を見ようという市民もいたが、貴族であっても身分の低い者は
(はやくきて、さだめのせきへつかなければならなかったのだ。)
早く来て、定めの席へ着かなければならなかったのだ。