未 本編 -36-

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プレイ回数17順位2666位  難易度(4.2) 2830打 長文 長文モードのみ
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 8071 8.1 98.6% 340.1 2782 37 60 2025/11/18
2 Jyo 5746 A 5.8 97.8% 474.0 2784 60 60 2025/11/18

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問題文

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(「おまたせしました。どうぞ」)

「お待たせしました。どうぞ」

(ししょうがしんみょうなかおをしてひだりてをひろげ、みんなをおくへとさそう。)

師匠が神妙な顔をして左手を広げ、みんなを奥へと誘う。

(ぜんいんがひろまにはいったところでししょうがふすまをしめた。)

全員が広間に入ったところで師匠が襖を閉めた。

(ざわめきがおこる。)

ざわめきが起こる。

(たたみじきのおおひろまのまんなかにはしめなわがはられていた。)

畳敷の大広間の真ん中には注連縄が貼られていた。

(およそごめーとるよんほうをかこむなわが、てんじょうからいとでつられてなかにういている。)

およそ五メートル四方を囲む縄が、天井から糸で吊られて中に浮いている。

(ちょうどむなもとくらいのたかさで、さっきふたりでてわけしてはんしからつくったしでも)

ちょうど胸元くらいの高さで、さっき二人で手分けして半紙から作った紙垂も

(とうかんかくにつけられている。)

等間隔につけられている。

(いうまでもなく、しめなわはけっかいのやくわりをはたすものだ。)

言うまでもなく、注連縄派結界の役割を果たすものだ。

(しんいきをあらわし、あしきもののしんにゅうをこばむきょうかい。)

神域を表し、悪しきものの侵入を拒む境界。

(それを、いまここでよういするいみとは、いったいなんだ。)

それを、今ここで用意する意味とは、いったいなんだ。

(わざわざわかみやじんじゃからかりてきてまで。)

わざわざ若宮神社から借りてきてまで。

(「なにをしようというのです」おかみがししょうにあゆみよる。)

「なにをしようというのです」女将が師匠に歩み寄る。

(「しんしきのおはらいならば、)

「神式のお祓いならば、

(これまでもまったくききめがございませんでしたのに」)

これまでもまったく効き目がございませんでしたのに」

(「だまってみていれば、いいきになりおって」)

「黙って見ていれば、いい気になりおって」

(かんすけさんがかおをあかくしながらうでぐみをとく。とうとうふんかがはじまりそうだった。)

勘介さんが顔を赤くしながら腕組みを解く。とうとう噴火が始まりそうだった。

(いらいをしたおかみのてまえ、おさえてきたかんしゃくがついに。)

依頼をした女将の手前、抑えてきた癇癪がついに。

(おもわずぼくはしりごみをした。)

思わず僕はしり込みをした。

(「ちょっと、おとうさん」ひろこさんがそのまえにたちふさがる。)

「ちょっと、お父さん」広子さんがその前に立ちふさがる。

など

(そうとうにきけんなふんいきだった。)

相当に危険な雰囲気だった。

(「おしずかに」)

「お静かに」

(そんなことはおかまいなく、ししょうはみじかくそういいはなつと、)

そんなことはお構いなく、師匠は短くそう言い放つと、

(あたまをさげてしめなわをくぐった。)

頭を下げて注連縄をくぐった。

(「くれむっつがはじまるまで、じかんがありません。)

「暮れ六つが始まるまで、時間がありません。

(みなさん、すみやかにこのなかにはいってください」)

みなさん、速やかにこの中に入ってください」

(ふりかえりながらそうつげる。)

振り返りながらそう告げる。

(「まあまあ。とりあえずいうとおりにしてみようよ」)

「まあまあ。とりあえず言うとおりにしてみようよ」

(かえでがししょうとおなじようにあたまをさげながらしめなわのうちがわにいりこむ。)

楓が師匠と同じように頭を下げながら注連縄の内側に入り込む。

(それにつられるようにほかのひとたちもつぎつぎとこしをかがめてなかにはいっていった。)

それにつられるように他の人たちも次々と腰を屈めて中に入っていった。

(もちろんこのぼくも。)

もちろんこの僕も。

(さいごにのこったかんすけさんが、はないきもあらくもとのばしょににおうだちしている。)

最後に残った勘介さんが、鼻息も荒く元の場所に仁王立ちしている。

(「くそがきが、なにをふざけたこといってやがる」)

「くそがきが、なにをふざけたこと言ってやがる」

(それをみたかずおがじょうだんめかしてこえをかけた。)

それを見た和雄が冗談めかして声をかけた。

(「かんすけさん。しめなわのなかにはいらないと、きけんですよ。たぶん」)

「勘介さん。注連縄の中に入らないと、危険ですよ。たぶん」

(ひろこさんもそれにどうちょうしておなじことをいいながら)

広子さんもそれに同調して同じことを言いながら

(「おとうさんってば」とてまねきをしている。)

「お父さんってば」と手招きをしている。

(「きけん?」)

「危険?」

(ししょうがうすらわらいをうかべながらくちをひらく。)

師匠が薄ら笑いを浮かべながら口を開く。

(「きけんなのは、このうちがわのほうですよ」)

「危険なのは、この内側の方ですよ」

(そうしてたたみのうえをゆびさした。ぜんいんがいきをのんだけはいがする。)

そうして畳の上を指さした。全員が息を飲んだ気配がする。

(はりだ。)

針だ。

(たたみのうえにはりがつきたてられている。それもぼうだいなりょうだ。)

畳の上に針がつき立てられている。それも膨大な量だ。

(おかみによういしてもらったはりを、こんなかたちでつかうとは。ぼくもいましっておどろいた。)

女将に用意してもらった針を、こんな形で使うとは。僕も今知って驚いた。

(「このはりでかこわれたくうかんにはいってください。またいでもかまいません」)

「この針で囲われた空間に入ってください。跨いでもかまいません」

(よくみると、はりはえんをえがくようにならべられている。ひとひとりがじゅうぶんに)

よく見ると、針は円を描くように並べられている。人一人が十分に

(すわれるおおきさだ。かぞえると、そのえんがしめなわのうちがわにぜんぶでななつあった。)

座れる大きさだ。数えると、その縁が注連縄の内側に全部で七つあった。

(にんずうぶんというわけか。)

人数分というわけか。

(「いぐちさんはこのままそとにいてもいいですよ。ただし、これからさき)

「井口さんはこのまま外にいてもいいですよ。ただし、これから先

(なにがおこっても、このしめなわのなかにははいってこないでください」)

なにが起こっても、この注連縄の中には入ってこないでください」

(ししょうははりのうえをまたいで、えんのうちがわにいりこんだ。そのきんちょうしたようなこわいろに)

師匠は針の上を跨いで、円の内側に入り込んだ。その緊張したような声色に

(ひっぱられるように、ほかのみんなもそれぞれたたみにささったはりのえんにはいる。)

引っ張られるように、他のみんなもそれぞれ畳に刺さった針の円に入る。

(かんすけさんだけは「ふん」とはなでわらい、そのばでそっぽをむいてしまった。)

勘介さんだけは「ふん」と鼻で笑い、その場でそっぽを向いてしまった。

(ろくにんがしめなわのなか、ひとりがそと。)

六人が注連縄の中、一人が外。

(おおひろまのなかは、これからなにがおこるのかかたずをのんで)

大広間の中は、これからなにが起こるのか固唾を飲んで

(みまもるふんいきになっている。)

見守る雰囲気になっている。

(「さあ、そろそろですね」)

「さあ、そろそろですね」

(ししょうがとけいをみながらそういう。)

師匠が時計を見ながらそう言う。

(それからほどなくして、とおくからかねのねがきこえはじめた。)

それからほどなくして、遠くから鐘の音が聞こえ始めた。

(すんだふゆのくうきをふるわせて、とおいわかみやじんじゃからきこえてくるときのかねが。)

澄んだ冬の空気を震わせて、遠い若宮神社から聞こえてくる時の鐘が。

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