よだかの星(4/4)宮沢賢治
・読みの難しい漢字には括弧で読み仮名を付けました
・設問の文字数制限によりキリが悪くなる箇所、平仮名続きで読みづらい箇所は、平仮名を漢字に直しました
・設問の文字数制限によりキリが悪くなる箇所、平仮名続きで読みづらい箇所は、平仮名を漢字に直しました
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問題文
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(そしてもういちど、ひがしからいまのぼったあまのがわのむこうぎしのわしのほしにさけびました。)
そしてもう一度、東から今のぼった天の川の向う岸の鷲の星に叫びました。
(「ひがしのしろいおほしさま、どうかわたしをあなたのところへつれてってください。)
「東の白いお星さま、どうか私をあなたの所へ連れてって下さい。
(やけてしんでもかまいません。」)
やけて死んでもかまいません。」
(わしはおおふうにいいました。)
鷲は大風(おおふう)に云いました。
(「いいや、とてもとても、はなしにもなんにもならん。ほしになるには、)
「いいや、とてもとても、話にも何にもならん。星になるには、
(それそうおうのみぶんでなくちゃいかん。またよほどかねもいるのだ。」)
それ相応の身分でなくちゃいかん。又よほど金もいるのだ。」
(よだかはもうすっかりちからをおとしてしまって、はねをとじて、)
よだかはもうすっかり力を落としてしまって、はねを閉じて、
(ちにおちていきました。そしてもういっしゃくでじめんにそのよわいあしがつくというとき、)
地に落ちて行きました。そしてもう一尺で地面にその弱い足がつくというとき、
(よだかはにわかにのろしのようにそらへとびあがりました。)
よだかは俄(にわ)かにのろしのようにそらへとびあがりました。
(そらのなかほどへきて、よだかはまるでわしがくまをおそうときにするように、)
そらのなかほどへ来て、よだかはまるで鷲が熊を襲うときにするように、
(ぶるっとからだをゆすってけをさかだてました。)
ぶるっとからだを揺すって毛をさかだてました。
(それからきしきしきしきしきしっとたかくたかくさけびました。)
それからキシキシキシキシキシッと高く高く叫びました。
(そのこえはまるでたかでした。のはらやはやしにねむっていたほかのとりは、)
その声はまるで鷹でした。野原や林にねむっていたほかのとりは、
(みんなめをさまして、ぶるぶるふるえながら、)
みんな目をさまして、ぶるぶるふるえながら、
(いぶかしそうにほしぞらをみあげました。)
いぶかしそうにほしぞらを見上げました。
(よだかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐにそらへのぼっていきました。)
夜だかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。
(もうやまやけのひはたばこのすいがらくらいにしかみえません。)
もう山焼けの火はたばこの吸殻くらいにしか見えません。
(よだかはのぼってのぼっていきました。)
よだかはのぼってのぼって行きました。
(さむさにいきはむねにしろくこおりました。くうきがうすくなったために、)
寒さに息は胸に白く凍りました。空気がうすくなった為に、
(はねをそれはそれはせわしくうごかさなければなりませんでした。)
羽をそれはそれはせわしく動かさなければなりませんでした。
など
(それだのに、ほしのおおきさは、さっきとすこしもかわりません。)
それだのに、星の大きさは、さっきと少しも変わりません。
(つくいきはふいごのようです。さむさやしもがまるでけんのようによだかをさしました。)
つく息はふいごのようです。寒さや霜がまるで剣のようによだかを刺しました。
(よだかははねがすっかりしびれてしまいました。そしてなみだぐんだめをあげて)
よだかは羽がすっかりしびれてしまいました。そして涙ぐんだ目をあげて
(もういっぺんそらをみました。そうです。これがよだかのさいごでした。)
もう一ぺん空を見ました。そうです。これがよだかの最後でした。
(もうよだかはおちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、)
もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、逆さになっているのか、
(うえをむいているのかも、わかりませんでした。)
上を向いているのかも、わかりませんでした。
(ただこころもちはやすらかに、そのちのついたおおきなくちばしは、)
ただ心持ちは安らかに、その血のついた大きなくちばしは、
(よこにまがってはいましたが、たしかにすこしわらっておりました。)
横にまがっては居ましたが、たしかに少し笑って居りました。
(それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。)
それからしばらく経ってよだかははっきりまなこを開きました。
(そしてじぶんのからだがいまりんのひのようなあおいうつくしいひかりになって、)
そして自分のからだがいま燐の火のような青い美しい光になって、
(しずかにもえているのをみました。すぐとなりは、かしおぴあざでした。)
しずかに燃えているのを見ました。すぐとなりは、カシオピア座でした。
(あまのがわのあおじろいひかりが、すぐうしろになっていました。)
天の川の青じろいひかりが、すぐ後ろになっていました。
(そしてよだかのほしはもえつづけました。)
そしてよだかの星は燃えつづけました。
(いつまでもいつまでももえつづけました。)
いつまでもいつまでも燃えつづけました。
(いまでもまだもえています。)
今でもまだ燃えています。