トランプ -3-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(「これ、まだつかまってないんですね」とぼくがいうと、)

「これ、まだ捕まってないんですね」と僕が言うと、

(ますたーはくちひげをなでながら「みたいだねえ」としんぱいそうなくちょうでかえした。)

マスターは口髭を撫でながら「みたいだねえ」と心配そうな口調で返した。

(「でもへんなじけんだよね」)

「でも変な事件だよね」

(このところしないではゆみやをつかったとおりまじけんがれんぞくしてはっせいしており、)

このところ市内では弓矢を使った通り魔事件が連続して発生しており、

(そのきょうきのとくしゅせいからすぐにはんにんはわりだされるものとおもっていたが、)

その凶器の特殊性からすぐに犯人は割り出されるものと思っていたが、

(おもいのほかいまだにそのはんにんはつかまっていなかった。)

思いのほか未だにその犯人は捕まっていなかった。

(「どうです、たんてい」)

「どうです、探偵」

(いたずらっぽくますたーにそうふられて、おがわさんはてをひらひらさせる。)

いたずらっぽくマスターにそう振られて、小川さんは手をひらひらさせる。

(「けいさつをだしぬいてじけんをかいけつするたんていなんて、)

「警察を出し抜いて事件を解決する探偵なんて、

(あれはどらまのなかだけのはなしですよ」)

あれはドラマの中だけの話ですよ」

(「でも、そういうのにあこがれていまのしごとについたんじゃないんですか」)

「でも、そういうのにあこがれて今の仕事についたんじゃないんですか」

(ぼくからのそくほうしゃげきにもどうじず、)

僕からの側方射撃にも動じず、

(「まったくないね。うまれついてのりありすとだから」といった。)

「まったくないね。生まれついてのリアリストだから」と言った。

(かなこさんのようなしんれいげんしょうせんもんのちょうさいんをやとっておいて、)

加奈子さんのような心霊現象専門の調査員を雇っておいて、

(りありすとがきいてあきれる。)

リアリストが聞いて呆れる。

(「だいたいめりっとがないでしょう。やちんのしはらいにもきゅうきゅうしている)

「だいたいメリットがないでしょう。家賃の支払いにもキュウキュウしている

(じえいぎょうのひあいでしたね。いらいにんもいないのにしゃかいてきどうぎもうごくような)

自営業の悲哀でしたね。依頼人もいないのに社会的動議も動くような

(せいぎちょうじんにはなりたくてもなれません」)

正義超人にはなりたくてもなれません」

(「では、いらいがあったら?」)

「では、依頼があったら?」

(ますたーにそうきかれ、おがわさんはくちごもった。)

マスターにそう訊かれ、小川さんは口ごもった。

など

(そしてしばらくして、ふ、とはなでわらうだけだった。)

そしてしばらくして、ふ、と鼻で笑うだけだった。

(ひるのにゅーすがおわって、なにかのどらまがはじまったので)

昼のニュースが終わって、なにかのドラマが始まったので

(ますたーはてれびをけした。)

マスターはテレビを消した。

(あいかわらずほかのきゃくはいない。うぇいとれすのひかりさんも)

相変わらずほかの客はいない。ウェイトレスのひかりさんも

(かうんたーせきにこしかけてひまそうにしている。)

カウンター席に腰掛けて暇そうにしている。

(しょくじをおえていっぷくをしていたおがわさんが「よし」と)

食事を終えて一服をしていた小川さんが「よし」と

(みじかくなったたばこをはいざらにおしつけようとしたときだった。)

短くなったタバコを灰皿に押し付けようとした時だった。

(ふいにかうんたーのすみにあるでんわがなった。くらしっくなくろでんわだ。)

ふいにカウンターの隅にある電話が鳴った。クラシックな黒電話だ。

(ますたーがじゅわきをとり、「きっさぼすとんです」とでる。ふたことみことかわしたあと、)

マスターが受話器を取り、「喫茶ボストンです」と出る。二言三言交わした後、

(くろでんわをかうんたーのうえにもってきて、「きみに」とじゅわきをうけた。)

黒電話をカウンターの上に持ってきて、「君に」と受話器を受けた。

(おどろいたがぼくはそれをうけとり、「もしもし」といった。)

驚いたが僕はそれを受け取り、「もしもし」と言った。

(「きっさてんでひるめしか、いいみぶんだな。まためーぷるとーすとだろう。)

「喫茶店で昼飯か、いい身分だな。またメープルトーストだろう。

(すきだなおまえ。それよりいまからちょっとしごとてつだえ」)

好きだなお前。それより今からちょっと仕事手伝え」

(かなこさんだ。)

加奈子さんだ。

(もれたこえがきこえたのか、よこにいたおがわさんがくすりとわらう。)

漏れた声が聞こえたのか、横にいた小川さんがクスリと笑う。

(「いいか。まずますたーにかみとぺんをかりろ」)

「いいか。まずマスターに紙とペンを借りろ」

(かおをあげると、すでにますたーがはんしとまじっくぺんをこちらに)

顔を上げると、すでにマスターが半紙とマジックペンをこちらに

(さしだしていた。さきにつたえていたのか。うむをいわさず、というやつだな。)

差し出していた。先に伝えていたのか。有無を言わさず、と言うやつだな。

(「で、どうするんです」ひかりさんにめーぷるとーすとのさらと)

「で、どうするんです」ひかりさんにメープルトーストの皿と

(こーひーかっぷをかたづけてもらって、かうんたーのうえにはんしをおいた。)

コーヒーカップを片付けてもらって、カウンターの上に半紙を置いた。

(なぜかわくわくしてくるのでふしぎだ。)

なぜかわくわくして来るので不思議だ。

(「かみにとらんぷのまーくのすぺーどとはーと、くらぶ、だいやをならべてかけ」)

「紙にトランプのマークのスペードとハート、クラブ、ダイヤを並べて書け」

(「は?」)

「は?」

(みょうなしじだ。)

妙な指示だ。

(「ならべるのはたてですか、よこですか」)

「並べるのはタテですか、ヨコですか」

(「どっちでもいいけど、じゃあたてにかけ。で、すぺーどのよこにひがし、)

「どっちでもいいけど、じゃあタテに書け。で、スペードのヨコに東、

(はーとのよこににし、くらぶのよこにみなみ、だいやのよこにきたと、かんじでかく。)

ハートのヨコに西、クラブのヨコに南、ダイヤのヨコに北と、漢字で書く。

(いいか、とうざいなんぼくだ」)

いいか、東西南北だ」

(いわれたとおりにする。)

言われた通りにする。

(「かきましたけど」)

「書きましたけど」

(「ok、じゃあつぎはあいてるところにおなじようにまず1から13までのすうじを)

「OK、じゃあ次は空いてるところに同じようにまず1から13までの数字を

(かけ」)

書け」

(「たてでいいですか。・・・・・はい。かきました」)

「タテでいいですか。・・・・・はい。書きました」

(「つぎはそのすうじのよこに、それぞれこうかくんだ。)

「次はその数字のヨコに、それぞれこう書くんだ。

(1にはやま。2にはかわ。3にはのはらのの・・・・・」)

1には山。2には川。3には野原の野・・・・・」

(ししょうはつぎつぎにいちもんじのかんじをくちにしていった。)

師匠は次々に一文字の漢字を口にしていった。

(ぼくはいわれたとおりにぺんをはしらせる。)

僕は言われたとおりにペンを走らせる。

(かんせいしたものをかくにんすると、こうなっていた。)

完成したものを確認すると、こうなっていた。

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