剣道の話 -4-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(びしぃっ、というはげしいおとがしてししょうのしないががくんとゆれる。) ビシィッ、という激しい音がして師匠の竹刀がガクンと揺れる。 (しょうねんのはなったこてがししょうのひだりてにはいったらしい。) 少年の放った小手が師匠の左手に入ったらしい。 (かんはつをいれずにふたりはがつんとぶつかり、つばぜりあいがはじまる。) 間髪を入れずに二人はガツンとぶつかり、鍔迫り合いが始まる。 (そしてはなれぎわに、いっしゅんのすきをついてまたししょうがこてをきめられた。) そして離れ際に、一瞬の隙を衝いてまた師匠が小手を決められた。 (はやすぎてよくわからないけど、たぶん。) 速過ぎてよくわからないけど、たぶん。 (あれ?ししょう、もしかしておされてる?) あれ?師匠、もしかして押されてる? (ほんばんのまえにもうめっきがはがれてしまうのか。) 本番の前にもうメッキが剥がれてしまうのか。 (するときょうすけさんがよこでぽつりといった。) すると京介さんが横でぽつりと言った。 (「おもったよりやるな」) 「思ったよりやるな」 (そのあいだにもしないをもったふたりはめまぐるしくうごき、) その間にも竹刀を持った二人は目まぐるしく動き、 (おたがいめんをねらってあいうちしたあと、) お互い面を狙って相打ちした後、 (くるりとくびをふったしょうねんがからだをしずませながらししょうのどうをうちぬいた。) くるりと首を振った少年が身体を沈ませながら師匠の胴を撃ち抜いた。 (そばにたっているなかまちさんがうなずいたのをみると、きれいないっぽんだったようだ。) そばに立っている中町さんが頷いたのを見ると、綺麗な一本だったようだ。 (だめじゃないか、ししょうは。) だめじゃないか、師匠は。 (そうおもうと、なんだかひどいだつりょくかんにおそわれた。) そう思うと、なんだか酷い脱力感に襲われた。 (しかしきょうすけさんはいぜんきょうみぶかそうにそのようすをみつめている。) しかし京介さんは依然興味深そうにその様子を見つめている。 (「これ、あのこのほうがゆうせいなんですよね」) 「これ、あの子の方が優勢なんですよね」 (ねんのためにかくにんする。) 念のために確認する。 (「あたりまえだ。あのへんたいがかてるわけがないだろう。) 「あたりまえだ。あの変態が勝てるわけがないだろう。 (ゆーたはこのあいだちゅうがくのけんたいかいのこじんせんでゆうしょうしたばかりだ」) ユータはこのあいだ中学の県大会の個人戦で優勝したばかりだ」
など
(おいおい。さきにいってくださいよ。それめちゃめちゃつよいんじゃないですか。) おいおい。先に言ってくださいよ。それメチャメチャ強いんじゃないですか。 (そのこがらなからだをあらためてみつめる。) その小柄な身体をあらためて見つめる。 (おどろくとどうじにししょうがかわいそうになった。) 驚くと同時に師匠がかわいそうになった。 (きょうすけさんとたたかうまえのほんのうぉーむあっぷのつもりでしないをあわせたのに、) 京介さんと戦う前のほんのウォームアップのつもりで竹刀を合わせたのに、 (こんなこどもによいようにやられてしまいうなんて、) こんな子どもに良いようにやられてしま言うなんて、 (きっとわけがわからずこんらんしているにちがいない。) きっとわけが分からず混乱しているに違いない。 (「おぉぉぉぉっ」) 「オォォォォッ」 (というおたけびとともに、ししょうがなんとかめんをうちかえしたところで) という雄叫びとともに、師匠がなんとか面を打ち返した所で (おたがいうごきをとめた。そしてれいをしてわかれる。) お互い動きを止めた。そして礼をして別れる。 (しょうねんはめんをとりながら、「いやあ、つよいですね」などと) 少年は面を取りながら、「いやあ、強いですね」などと (いやみをかんじさせないくちょうでししょうにはなしかける。) 嫌味を感じさせない口調で師匠に話しかける。 (ししょうのほうはいきがあがっているのか、へんじができないようだった。) 師匠の方は息が上がっているのか、返事ができないようだった。 (これからほんばんだというのい、じつにまずいふんいきだ。) これから本番だというのい、実にまずい雰囲気だ。 (さいごのめんうちも、しろうとめに、はなをもたせてくれたようにもみえた。) 最後の面打ちも、素人目に、華を持たせてくれたようにも見えた。 (あんのじょう、きょうすけさんは「ふ」とくちもとをゆるめている。) 案の定、京介さんは「ふ」と口元を緩めている。 (「あのこ、つよすぎますよ」とおれはこうぎをした。あいてがけんのちゅうがくちゃんぷ) 「あの子、強すぎますよ」と俺は抗議をした。相手が県の中学チャンプ (だなんてしらないししょうは、いまごろしょっくをうけているにちがいない。) だなんて知らない師匠は、今ごろショックを受けているに違いない。 (ひつよういじょうにじしんそうしつしていなければいいが。) 必要以上に自信喪失していなければいいが。 (しんぱいしているそのよこで、きょうすけさんはすらりとたちあがった。) 心配しているその横で、京介さんはスラリと立ち上がった。 (そのむだのないうごきは、さびひとつないにほんとうがさやからぬきはなたれたようだった。) その無駄のない動きは、錆一つない日本刀が鞘から抜き放たれたようだった。 (「そうかな」) 「そうかな」 (くちびるそんなことばがこぼれでる。) 口唇からそんな言葉がこぼれ出る。 (そうかなって、あきらかにつよすぎですよ。しろうとがみていてもわかるくらいに。) そうかなって、明らかに強すぎですよ。素人が見ていても分かるくらいに。 (つづけてそうこうぎしようとしたときに、きょうすけさんはすっとあしをはこびはじめた。) 続けてそう講義しようとしたときに、京介さんはスッと足を運び始めた。 (「わたしのほうがつよいよ」) 「私の方が強いよ」 (そういいのこして。) そう言い残して。 (そのあとはむざんなものだった。) その後は無残なものだった。 (いきをととのえたししょうがきょうすけさんとせいたいし、しないのさきをあわせたあとは) 息を整えた師匠が京介さんと正対し、竹刀の先を合わせた後は (いっぽうてきなてんかいだった。ごふんさんぼんしょうぶともうしあわされていたのだが、) 一方的な展開だった。五分三本勝負と申し合わされていたのだが、 (ししょうなもののいっぷんでにほんをせんしゅされてしまい、) 師匠なものの一分で二本を先取されてしまい、 (そうそうにまけがきまってしまった。) 早々に負けが決まってしまった。 (おれのとなりにすわったしょうねんがかいせつしてくれたところによると、) 俺の隣に座った少年が解説してくれたところによると、 (いっぽんめは「でごて」、にほんめは「めんかえしどう」というわざできまったらしい。) 一本目は「出小手」、二本目は「面返し胴」という技で決まったらしい。 (ししょうはおうじょうぎわわるく「もうひとしょうぶ」「もうひとしょうぶ!」とくいさがり、) 師匠は往生際悪く「もう一勝負」「もう一勝負!」と食い下がり、 (しょうちしたきょうすけさんにかんぷなきまでにぼこぼこにされていた。) 承知した京介さんに完膚なきまでにボコボコにされていた。 (さっきのしょうねんとのしあいけいしきのけいこのときよりもうちあうことがすくなく、) さっきの少年との試合形式の稽古の時よりも打ち合うことが少なく、 (あっというまにきまってしまっているいんしょうだった。) あっという間に決まってしまっている印象だった。
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