空を歩く男 -7-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文
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(きがつくと、またさいしょのさいわいちょうのとうざいのとおりにもどっていた。)
気がつくと、また最初の幸町の東西の通りに戻っていた。
(ずいぶんととおまわりしたものだ。)
随分と遠回りしたものだ。
(「どうやってしったんですか、このそらへのみち」)
「どうやって知ったんですか、この空への道」
(「ああん?」)
「ああん?」
(さきをあるくおっさんにといかける。)
先を歩くおっさんに問い掛ける。
(「おれも、おしえてもらったのよ」)
「おれも、教えてもらったのよ」
(「だれから」)
「誰から」
(「しらねえよ。よっぱらった、べつのだれかさぁ」)
「知らねえよ。酔っ払った、別の誰かさぁ」
(おっさんもべつのよっぱらいからきいたわけだ。)
おっさんも別の酔っ払いから聞いたわけだ。
(そのよっぱらいもべつのよっぱらいからきいたにちがいない。そらをあるくみちを!)
その酔っ払いも別の酔っ払いから聞いたに違いない。空を歩く道を!
(そのれんさのなかにぼくもとりこまれたってわけだ。こうえいだなあ。)
その連鎖の中に僕も取り込まれたってわけだ。光栄だなあ。
(ぼくもそらをあるくことができたら、こんどはししょうにもそのみちをおしえてやろう。)
僕も空を歩くことができたら、今度は師匠にもその道を教えてやろう。
(そんなことをかんがえてほくそえんでいると、)
そんなことを考えてほくそ笑んでいると、
(おっさんはうすよごれたざっきょびるのかいだんをよっちらよっちらとあがりはじめた。)
おっさんは薄汚れた雑居ビルの階段をよっちらよっちらと上り始めた。
(ほとんどてなんとがはいってない、ふるいたてものだった。)
ほとんどテナントが入ってない、古い建物だった。
(さいじょうかいであるよんかいのふろあまであがると、おくへのびるつうろを)
最上階である四階のフロアまで上がると、奥へ伸びる通路を
(きたならしいそふぁーやらなにかのはいざいなどがふさいでいた。)
汚らしいソファーやらなにかの廃材などが塞いでいた。
(「おい、とおれねえぞ」)
「おい、通れねえぞ」
(おっさんがわめいてぼくにあごをしゃくってみせるので、)
おっさんがわめいて僕に顎をしゃくって見せるので、
(しかたなくちからしごとをかってでて、しょうがいぶつをとりのぞいた。)
仕方なく力仕事を買って出て、障害物を取り除いた。
など
(またきぶんよくおっさんははなうたをうたいながらつうろをすすむ。)
また気分よくおっさんは鼻歌をうたいながら通路を進む。
(やけにながいつうろだった。さっきのとうざいのとおりから、)
やけに長い通路だった。さっきの東西の通りから、
(いっぽんおくのとおりまでぶちぬいているびるなのかもしれない。)
一本奥の通りまでぶち抜いているビルなのかも知れない。
(そのはなうたはなにか、さけにかんするうただった。)
その鼻歌は何か、酒に関する歌だった。
(どこかできいたことはあるが、せだいのふるいうただったので、)
どこかで聞いたことはあるが、世代の古い歌だったので、
(たいとるまではおもいだせなかった。)
タイトルまでは思い出せなかった。
(なんだっけ?)
なんだっけ?
(さけの、さけが、さけと。)
酒の、酒が、酒と。
(そんなことをかんがえていると、ふいに、あたまにでんりゅうがはしったようなしょうげきがあった。)
そんなことを考えていると、ふいに、頭に電流が走ったような衝撃があった。
(あ。)
あ。
(そうか。)
そうか。
(いわかんのしょうたいがわかった。)
違和感の正体が分かった。
(きゅうにたちどまったぼくに、おっさんはふりかえると)
急に立ち止まった僕に、おっさんは振り返ると
(「どうした、にいちゃん」とこえをかけてくる。)
「どうした、にいちゃん」と声をかけてくる。
(そうか。あのときかんじたいわかん。おっさんがぼくにかおをちかづけて、)
そうか。あの時感じた違和感。おっさんが僕に顔を近づけて、
(「あそこにはめにみえないみちがある」といったときの。)
「あそこには目に見えない道がある」と言ったときの。
(あれは・・・・・)
あれは・・・・・
(あしがふるえだした。そしてあるこーるがあたまからきゅうにぬけはじめる。)
足が震え出した。そしてアルコールが頭から急に抜け始める。
(「どうしたぁ。さきにいっちまうぞ」)
「どうしたぁ。先に行っちまうぞ」
(そのくらいつうろはさゆうをやすっぽいもるたるかべにかこまれ、)
その暗い通路は左右を安っぽいモルタル壁に囲まれ、
(とおくのひじょうとうのみどりいろのあかりだけがうっすらとやみをてらしていた。)
遠くの非常灯の緑色の明かりだけがうっすらと闇を照らしていた。
(おっさんはじりじりとして、いっぽすすんでふりかえり、)
おっさんはじりじりとして、一歩進んで振り返り、
(にほすすんでふりかえり、といううごきをしている。)
二歩進んで振り返り、という動きをしている。
(ぼくはあるこーるがぬけていくごとにたいおんもうばわれていくのか、)
僕はアルコールが抜けていくごとに体温も奪われていくのか、
(もうれつなさむけにおそわれていた。)
猛烈な寒気に襲われていた。
(そうだ。)
そうだ。
(おっさんは、いきがかかるほどかおをつきだしたのに、さけのにおいがしなかった。)
おっさんは、息がかかるほど顔を突き出したのに、酒の匂いがしなかった。
(あのあからがおで、ちどりあしで、ばーからでてきたばかりなのに。)
あの赤ら顔で、千鳥足で、バーから出てきたばかりなのに。
(そのばーに、そもそもあのおっさんはいなかった。)
そのバーに、そもそもあのおっさんはいなかった。
(きょうはしごしたほかのみせにも。)
今日ハシゴした他の店にも。
(きゃくからあのはなしをきくことももくてきだったので、)
客からあの話を訊くことも目的だったので、
(すべてのみせでどんなきゃくがいるかかんさつしていたはずなのだ。)
すべての店でどんな客がいるか観察していたはずなのだ。
(なのに、おっさんはぼくがそらをあるくおとこのはなしをきいてまわっていたことをしっていた。)
なのに、おっさんは僕が空を歩く男の話を訊いて回っていたことを知っていた。
(まるでめにみえないきゃくとして、あのいずれかのばーにいたかのように。)
まるで目に見えない客として、あのいずれかのバーにいたかのように。