本 -6-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(するとものがたりがかきょうにさしかかったあたりで、ふいにみょうなぶんしょうがでてきた。) すると物語が佳境に差し掛かったあたりで、ふいに妙な文章が出てきた。 (<そんなことより、あそぼうよ>) <そんなことより、遊ぼうよ> (ん?とそこでとまった。) ん?とそこで止まった。 (じのぶんからいきなりどくしゃへかたりかけてきたのだ。ふしぜんなめたれべるのぶんしょうだ。) 地の文からいきなり読者へ語りかけてきたのだ。不自然なメタレベルの文章だ。 (つぎのいちぶんをみたしゅんかん、せすじにつめたいものがはしった。) 次の一文を見た瞬間、背筋に冷たいものが走った。 (<うしろをむいてごらん>) <うしろをむいてごらん> (じのぶんはつづけていまこのほんをよんでいるおれによびかけている。) 地の文は続けて今この本を読んでいる俺に呼び掛けている。 (うしろをむいてごらん、とさそっているのだ。) うしろをむいてごらん、と誘っているのだ。 (これは・・・・・) これは・・・・・ (きがつくとなんともいえないいやなみみなりがしている。くうきがひりつく。) 気がつくとなんとも言えない嫌な耳鳴りがしている。空気がヒリつく。 (よびかけのないようのことだけじゃない。おれはまったくきづかなかったのだ。) 呼びかけの内容のことだけじゃない。俺は全く気づかなかったのだ。 (いまのいままで、おなじほんをおなじようによんでいるつもりだった。) 今の今まで、同じ本を同じように読んでいるつもりだった。 (しかし、いつのまにかへやのでんきはきえていた。) しかし、いつの間にか部屋の電気は消えていた。 (へやのなかはまっくらで、おれはひとりやみのなかにすわり、ほんのぺーじをひらいていた。) 部屋の中は真っ暗で、俺は一人闇の中に座り、本のページを開いていた。 (あたりは、しん、としている。) あたりは、しん、としている。 (あかりがないのに、ほんのないようがよめる。) 明かりがないのに、本の内容が読める。 (ぞくりとした。) ゾクリとした。 (これか。) これか。 (おれはむねのなかでそっとつぶやいた。) 俺は胸の中でそっと呟いた。 (このかんかくはたしかにせつめいしがたい。) この感覚は確かに説明し難い。
など
(かんぜんにしかくてきなものではない。) 完全に視覚的なものではない。 (ふだんこのめでみているようにみえているわけではなかった。) 普段この目で見ているように見えているわけではなかった。 (だが、まるでしかくじょうほうからぬきだされたようなげんごてきなじょうほうが) だが、まるで視覚情報から抜き出されたような言語的な情報が (ちょくせつあたまのなかにいりこんできている。) 直接頭の中に入り込んで来ている。 (そしてそれがほんらいそこにあるべきしかくてきじょうほうをおぎない、) そしてそれが本来そこにあるべき視覚的情報を補い、 (あたかもげんかくのようにもじをうかびあがらせている。) あたかも幻覚のように文字を浮かび上がらせている。 (あたまで、めのまえにもじがあるようにそうぞうしたじょうたいがそれにちかいだろうか。) 頭で、目の前に文字があるように想像した状態がそれに近いだろうか。 (やみのなかでもじをそうぞうしたとき、くろいっしょくのせかいに、おなじくろでもじがかける。) 闇の中で文字を想像した時、黒一色の世界に、同じ黒で文字が書ける。 (ふしぎなげんしょうだった。) 不思議な現象だった。 (これだ。このことだ。) これだ。このことだ。 (きんちょうしながら、いまのじょうきょうをさいかくにんする。) 緊張しながら、今の状況を再確認する。 (なぜへやのでんきがきえているのか。れいせいにきおくをたどる。) なぜ部屋の電気が消えているのか。冷静に記憶をたどる。 (すると、ちょくぜんにたちあがり、でんとうのひもをひっぱったじぶんをおもいだす。) すると、直前に立ち上がり、電燈の紐を引っ張った自分を思い出す。 (きおくがきえかけていたことにぞっとする。) 記憶が消えかけていたことにゾッとする。 (しこうでたどってもたぶんだめだった。) 思考でたどっても多分だめだった。 (ちょくぜんの、たちあがったからだのかんかくがうっすらと、) 直前の、立ち上がった身体の感覚がうっすらと、 (そしてそれでもまだおれののうにただしいじょうほうをおくってくれたのだ。) そしてそれでもまだ俺の脳に正しい情報を送ってくれたのだ。 (なるほど。へやのあかりはむいしきにじぶんでけしてしまうのか。) なるほど。部屋の明かりは無意識に自分で消してしまうのか。 (けしたというきおくとともに。) 消したという記憶とともに。 (おれはいじょうなじょうきょうにせなかをぞくぞくさせながら、<うしろをむいてごらん>) 俺は異常な状況に背中をゾクゾクさせながら、<うしろをむいてごらん> (というもじじょうほうをもういちどかくにんする。) という文字情報をもう一度確認する。 (なんどかくにんしてもそこにめをむけたとたん、) 何度確認してもそこに目を向けた途端、 (きょうせいてきにのうがもじのいめーじをうかびあがらせる。) 強制的に脳が文字のイメージを浮かび上がらせる。 (ちょくぜんの、たちあがったからだのかんかくがうっすらと、) 直前の、立ち上がった身体の感覚がうっすらと、 (そしてそれでもまだおれののうにただしいじょうほうをおくってくれたのだ。) そしてそれでもまだ俺の脳に正しい情報を送ってくれたのだ。 (なるほど。へやのあかりはむいしきにじぶんでけしてしまうのか。) なるほど。部屋の明かりは無意識に自分で消してしまうのか。 (けしたというきおくとともに。) 消したという記憶とともに。 (おれはいじょうなじょうきょうにせなかをぞくぞくさせながら、<うしろをむいてごらん>) 俺は異常な状況に背中をゾクゾクさせながら、<うしろをむいてごらん> (というもじじょうほうをもういちどかくにんする。) という文字情報をもう一度確認する。 (なんどかくにんしてもそこにめをむけたとたん、) 何度確認してもそこに目を向けた途端、 (きょうせいてきにのうがもじのいめーじをうかびあがらせる。) 強制的に脳が文字のイメージを浮かび上がらせる。 (ふりむくか。) 振り向くか。 (いや。) いや。 (だめだ。) だめだ。 (ふりむいてはいけない。) 振り向いてはいけない。 (そこにはへやのかべがあるだけのはずだ。) そこには部屋の壁があるだけのはずだ。 (だが、だめだ。) だが、だめだ。 (ふりむきたいというよっきゅうが、あたまのなかをあらしのようにぐるぐるとまわる。) 振り向きたいという欲求が、頭の中を嵐のようにぐるぐると回る。 (それでもそのよっきゅうがじぶんのなかからでてきたものではないということがわかる。) それでもその欲求が自分の中から出てきたものではないということが分かる。
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