テレビ -3-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(「あめのえいきょうでいしがきがくずれるとき、よちょうとしてそのかおがあらわれるのか、) 「雨の影響で石垣が崩れる時、予兆としてその顔が現れるのか、 (それとも、いしがきのいちぶがにんげんのかおにかわってしまうからくずれるのか。) それとも、石垣の一部が人間の顔に変わってしまうから崩れるのか。 (どちらだろうか」) どちらだろうか」 (たいふうがとおりすぎて、わたしがそのしまをでるとき、) 台風が通り過ぎて、わたしがその島を出る時、 (そんちょうさんにきいてみたんだ・・・・・) 村長さんに訊いてみたんだ・・・・・ (「あれは、ごねんまえにしんだ、わたしのおとうとのかおだった」) 「あれは、五年前に死んだ、わたしの弟の顔だった」 (そうこたえたという。) そう答えたという。 (「がんでくるしんでくるしんでしんだのに、) 「癌で苦しんで苦しんで死んだのに、 (どうしてまたあんなふうにくるしまないといけないのか」) どうしてまたあんな風に苦しまないといけないのか」 (「こたえにはなっていなかった。けっきょく、このしまのひとたちにもわからないんだ。) 「答えにはなっていなかった。結局、この島の人たちにも分からないんだ。 (ただ、いしがきにあらわれるかおは、きまってししゃのかおなんだと」) ただ、石垣に現れる顔は、決まって死者の顔なんだと」 (ずるずるずる。) ずるずるずる。 (ぐろてすくなはなしをしながら、ししょうはまたそうめんをすすりはじめた。) グロテスクな話をしながら、師匠はまたそうめんを啜り始めた。 (よくたべられるものだ。) よく食べられるものだ。 (「しが、いろこいしまだった。せいかつのなかに、ひとのしがあまりにはいりこみすぎている。) 「死が、色濃い島だった。生活の中に、人の死があまりに入り込み過ぎている。 (そうおもったから、わたしはさいごにもうひとつだけきいたんだ」) そう思ったから、わたしは最後にもう一つだけ訊いたんだ」 (くちのなかのものをそしゃくして、むぎちゃでながしこんでからゆっくりとつづける。) 口の中のものを咀嚼して、麦茶で流し込んでからゆっくりと続ける。 (「あなたがたがしているのは、ほんとうにもがりなんですか?」) 「あなたがたがしているのは、本当に殯(もがり)なんですか?」 (ししょうはぼくをみてにやりとえみをうかべた。) 師匠は僕を見てニヤリと笑みを浮かべた。 (「そんちょうはこたえなかったよ」) 「村長は答えなかったよ」
など
(たいふうがくるたびに、このことをおもいだす。) 台風が来るたびに、このことを思い出す。 (ししょうはそういいながらまたそうめんにはしをのばす。) 師匠はそう言いながらまたそうめんに箸を伸ばす。 (きもちのわるいはなしだった。すこししょくよくがげんたいしたきがした。) 気持ちの悪い話だった。少し食欲が減退した気がした。 (いぶくろのようりょうのかんけいですでにじゅうぶんにげんたいしていたが、さらにだ。) 胃袋の容量の関係ですでに十分に減退していたが、さらにだ。 (てれびのにゅーすではたいふうじょうほうがおわり、) テレビのニュースでは台風情報が終わり、 (ぜんこくばんからろーかるほうそうにきりかわった。) 全国版からローカル放送に切り替わった。 (こうむいんのいんしゅじこのわだいと、しないでひらかれたちゃりてぃこんさーとにかんする) 公務員の飲酒事故の話題と、市内で開かれたチャリティコンサートに関する (わだいがつづいた。) 話題が続いた。 (そしてそのあとで、せんじつおこったjrせんのしぼうじこについてのぞくほうもあった。) そしてその後で、先日起こったJR線の死亡事故についての続報もあった。 (「これ、わたしのゆうじんがみてしまったそうです」) 「これ、私の友人が見てしまったそうです」 (くちもとをふきながら、ししょうのりんじんがぼそりという。) 口元を拭きながら、師匠の隣人がぼそりと言う。 (ししょうがそれにへんとうする。) 師匠がそれに返答する。 (「ふれんど・おぶ・ふれんどか?なかじま」) 「フレンド・オブ・フレンドか?中島」 (「おおしまです。ほんとうにみたそうですよ。) 「大島です。本当に見たそうですよ。 (ちがどばーっとでて、ほねもでていたそうです」) 血がドバーッと出て、骨も出ていたそうです」 (こじまだかなかじまだかおおしまだかというなまえのそのいいかげんなりんじんは、) 小島だか中島だか大島高という名前のそのいい加減な隣人は、 (かおをあげてじぶんのほそいめをりょうてのゆびでみひらいてみせた。) 顔を上げて自分の細い目を両手の指で見開いてみせた。 (「ま、いいけど」とししょうはにこりともせず、) 「ま、いいけど」と師匠はニコリともせず、 (ねころがったよがのようなぽーずをわずかにかえてはしをうごかす。) 寝転がったヨガのようなポーズをわずかに変えて箸を動かす。 (「そういえば、なんねんかまえに、すごいじこがあったな。) 「そういえば、何年か前に、凄い事故があったな。 (あれもjrか。おぼえてるか?」) あれもJRか。覚えてるか?」 (ぼくはここがじもとではないのでしらない。りんじんだけがうなずいている。) 僕はここが地元ではないので知らない。隣人だけが頷いている。 (「くびがとんだってはなしですよね」) 「首が飛んだって話ですよね」 (「そうそう」) 「そうそう」 (そのじこは、きたくらっしゅがおわったあとのしないのえきでおこったのだそうだ。) その事故は、帰宅ラッシュが終わったあとの市内の駅で起こったのだそうだ。 (こうないをつうかするかもつれっしゃにだんせいがいきなりとびこみ、) 構内を通過する貨物列車に男性がいきなり飛び込み、 (はねられてしぼうしたというじこだ。) 跳ねられて死亡したという事故だ。 (じさつだったそうだが、そのときこうないにはつぎのびんをまつきゃくがすうにんおり、) 自殺だったそうだが、その時構内には次の便を待つ客が数人おり、 (そのひとたちにけっていてきしゅんかんがもくげきされたのだという。) その人たちに決定的瞬間が目撃されたのだという。 (そしてその、にんげんがはねられてしぼうするしゅんかんをみたひとのはなしが、) そしてその、人間が跳ねられて死亡する瞬間を見た人の話が、 (きみのわるいうわさばなしとなってこのまちをかけめぐったらしい。) 気味の悪い噂話となってこの街を駆け巡ったらしい。 (「おとこのくびがな。げきとつのしょうげきでねもとからぶっちぎれて、) 「男の首がな。激突の衝撃で根本からぶっ千切れて、 (ぽーんとちゅうをとんだんだって。) ぽーんと宙を飛んだんだって。 (それがほーむのきおすくのあたりにおちて、) それがホームのキオスクのあたりに落ちて、 (ちかくにいたひとがぱにっくになってこしをぬかした。) 近くにいた人がパニックになって腰を抜かした。 (ここまではしんぶんほうどうもされたほんとうのはなし」) ここまでは新聞報道もされた本当の話」 (な?とししょうはりんじんにといかける。) な?と師匠は隣人に問い掛ける。
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