SL9

(かぜもうごかないねったいや)

風も動かない熱帯夜

(９４ねんのなつ)

94年の夏

(そのよるもねぐるしくって)

その夜も寝苦しくって

(ゆめのさそいもこなくて)

夢の誘いも来なくて

(ふとつけたてれびから)

ふとつけたテレビから

(ながれたしんじられないにゅーす)

流れた信じられないニュース

(せみがいちどだけないた)

セミが一度だけ鳴いた

(２１このひかりがなんどもうつしだされて)

21個の光が何度も映し出されて

(きいたことのないなまえの)

聞いたことのない名前の

(すいせいがきゅうこうかして)

彗星が急降下して

(がめんにはいりきらない)

画面に入り切らない

(もくせいにしょうとつしたんだ)

木星に衝突したんだ

(おもわずにしのそらみあげた)

思わず西の空見上げた

(とおくはるかうちゅうからよびかける)

遠く遥か宇宙から呼びかける

(ちらかったろくじょうまへの)

散らかった六畳間への

(ことばのないめっせーじ)

言葉のないメッセージ

(ゆめもきぼうもどこか)

夢も希望もどこか

(りあるじゃなかったぼくは)

リアルじゃなかった僕は

(きのぬけたなまぬるいこーらをのんで)

気の抜けた生ぬるいコーラを飲んで

(あかりをけしたんだ)

明かりを消したんだ

(よぞらはなにもかわんない)

夜空は何も変わんない

(いつものようにみおろして)

いつものように見下ろして

(あるきだそうとしないぼくを)

歩き出そうとしない僕を

(おくびょうものだとわらう)

臆病者だと笑う

(みえもしないものでも)

見えもしないものでも

(そうぞうしてこうどうすりゃ)

想像して行動すりゃ

(のぞむひとのてのなかにある)

望む人の、手の中にある

(とおくはるかうちゅうからよびかける)

遠く遥か宇宙から呼びかける

(ちらかったろくじょうまへの)

散らかった六畳間への

(ことばのないめっせーじ)

言葉のないメッセージ

(かんじょうがはしりだす)

感情が走り出す

(わすれてたみらいへのいめーじ)

忘れてた未来へのイメージ

(ざわめいたむねのこどうをかかえて)

ざわめいた胸の鼓動を抱えて

(よるがあけていく)

夜が明けていく

(とおくはるか)

遠く遥か

(うちゅうから)

宇宙から

(よびかける)

呼びかける