『少年探偵団』江戸川乱歩27

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少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
前回→https://typing.twi1.me/game/329834
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7697 7.8 97.9% 615.0 4833 99 99 2024/03/19
2 ssssss 6753 S++ 7.3 92.8% 676.2 4948 381 99 2024/04/02

関連タイピング

問題文

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(さて、ききゅうのさわぎから、とおかほどあとのことです。)

さて、気球の騒ぎから、十日ほどあとのことです。

(とうきょうのあるゆうかんしんぶんがとつぜん、とみんをあっといわせる)

東京のある夕刊新聞が突然、都民をアッといわせる

(ような、じつにおそろしいきじをけいさいしました。)

ような、じつにおそろしい記事を掲載しました。

(そのきじというのは、「わがしゃへんしゅうきょくはけさ、)

その記事というのは、 「わが社編集局は今朝、

(かいとうにじゅうめんそうからいっつうのしょじょうをうけとった。かいとうは、)

怪盗二十面相から一通の書状を受け取った。怪盗は、

(しょていのこうこくりょうきんをふうにゅうして、そのしょじょうのぜんぶんを)

所定の広告料金を封入して、その書状の全文を

(こうこくめんにけいさいしてくれともうしこんできたが、ほんしに)

広告面に掲載してくれと申し込んできたが、本紙に

(とうぞくのこうこくをのせることはできない。わがしゃは、)

盗賊の広告を載せることは出来ない。我が社は、

(このきかいなもうしこみをきょぜつした。しょじょうによると、)

この奇怪な申し込みを拒絶した。 書状によると、

(にじゅうめんそうはこんげつのにじゅうごにちのしんやに、おおとりとけいてんが)

二十面相は今月の二十五日の深夜に、大鳥時計店が

(しょぞうしている、ゆうめいな「おうごんのとう」をぬすみだすけついを)

所蔵している、有名な「黄金の塔」を盗み出す決意を

(した。じゅうらいのじけんからもあきらかなとおり、にじゅうめんそうは)

した。従来の事件からも明らかな通り、二十面相は

(けっしてやくそくをやぶらない。あけちこごろうくんをはじめ、)

決して約束を破らない。明智小五郎君を始め、

(じゅうぶんけいかいしたらいいだろう、というだいたんふてきのよこくが)

充分警戒したらいいだろう、という大胆不敵の予告が

(しるされていた。これはなにものかのいたずらかも)

記されていた。 これは何者かのイタズラかも

(しれない。しかし、じゅうらいのにじゅうめんそうのてぐちを)

しれない。しかし、従来の二十面相の手口を

(かんがえると、かならずしもいたずらとはいいきれないので、)

考えると、必ずしもイタズラとは言い切れないので、

(わがしゃは、このしょじょうをただちにけいしちょうとうきょくにていしゅつし、)

我が社は、この書状をただちに警視庁当局に提出し、

(おおとりとけいてんにも、このないようをほうこくした」としるし、)

大鳥時計店にも、この内容を報告した」と記し、

(つづいて「おうごんのとう」のゆらいや、にじゅうめんそうのじゅうらいの)

続いて「黄金の塔」の由来や、二十面相の従来の

など

(てぐち、あけちめいたんていのほうもんきじなどを、ながながとけいさい)

手口、明智名探偵の訪問記事などを、長々と掲載

(しました。しゃかいめんろくだんぬきのおおみだしで、あけちたんていの)

しました。社会面六段抜きの大見出しで、明智探偵の

(おおきなしゃしんまでのせているのです。しんぶんきじには、)

大きな写真まで載せているのです。 新聞記事には、

(ゆうめいな「おうごんのとう」とあります。いったい、どんなふうに)

有名な「黄金の塔」とあります。一体、どんなふうに

(ゆうめいなのでしょうか。それについて、すこしせつめいして)

有名なのでしょうか。それについて、少し説明して

(おかなければなりません。おおとりとけいてんというのは、)

おかなければなりません。 大鳥時計店というのは、

(ちゅうおうくのいっかくにたかいとけいとうをもつ、とうきょうでもいち、にを)

中央区の一角に高い時計塔を持つ、東京でも一、二を

(あらそうしにせです。そこのしゅじん、おおとりせいぞうろうじんは、)

争う老舗です。そこの主人、大鳥清蔵老人は、

(ひじょうにはでずきなかわりもので、だいのあさくさかんのんのしんじゃ)

非常に派手好きな変わり者で、大の浅草観音の信者

(なのですが、あるとき、あさくさかんのんのごじゅうのとうのもけいを)

なのですが、ある時、浅草観音の五重の塔の模型を

(しょうばいもののじゅんきんでつくらせ、かほうにすることをおもいたち)

商売物の純金で作らせ、家宝にすることを思いたち

(ました。そして、できあがったのは、やねのひろさが)

ました。そして、出来上がったのは、屋根の広さが

(やくじゅうにへいほうせんち、たかさがななじゅうごせんちという、)

約十二平方センチ、高さが七十五センチという、

(りっぱなおうごんのとうで、こまかいところまであさくさのとうに)

立派な黄金の塔で、細かいところまで浅草の塔に

(そっくりの、せいこうなさいくでした。しかも、とうのなかは)

そっくりの、精巧な細工でした。しかも、塔の中は

(からっぽではなく、すっかりじゅんきんでうまっているのです)

空っぽではなく、すっかり純金で埋まっているのです

(から、ぜんたいのじゅうりょうははちじゅっきろをこえ、ざいりょうのきんだけ)

から、全体の重量は八十キロを超え、材料の金だけ

(でもしじょうかかくごひゃくまんえんほどのこうかなものでした。)

でも市場価格五百万円ほどの高価なものでした。

(ちょうどこのおうごんとうができあがったころ、どうぎょうしゃの)

ちょうどこの黄金塔が出来上がった頃、同業者の

(ぎんざのぼうとけいてんに、しょーうぃんどーやぶりのぞくが)

銀座の某時計店に、ショーウィンドーやぶりの賊が

(いて、そこにちんれつしてあったにひゃくまんえんのきんかいが)

いて、そこに陳列してあった二百万円の金塊が

(ぬすまれたというさわぎがおこったものですから、)

盗まれたという騒ぎが起こったものですから、

(おおとりしは、せっかくくろうしてつくらせたおうごんとうが、おなじ)

大鳥氏は、せっかく苦労して作らせた黄金塔が、同じ

(ようにぬすまれてはたいへんだと、いままでみせにかざっておいた)

ように盗まれては大変だと、今まで店に飾っておいた

(のを、きゅうにおくまったへやにうつし、いろいろなぼうびを)

のを、急に奥まった部屋に移し、色々な防備を

(ほどこし、とうなんにそなえました。そのおくざしきは、じゅうじょうの)

ほどこし、盗難に備えました。 その奥座敷は、十畳の

(にほんしきなのですが、まず、まわりのふすまやしょうじを)

日本式なのですが、まず、周りのふすまや障子を

(ぜんぶ、がんじょうないたどにかえ、それに、いちいちじょうまえを)

全部、頑丈な板戸に変え、それに、いちいち錠前を

(つけ、かぎはしゅじんとしはいにんのかどのろうじんの、ふたりだけが)

付け、カギは主人と支配人の門野老人の、二人だけが

(はだみはなさずもっていることにしました。これがだいいちの)

肌身離さず持っていることにしました。これが第一の

(かんもんです。もしぞくが、このいたどをどうにかして)

関門です。 もし賊が、この板戸をどうにかして

(ひらくことができたとしても、そのなかには、さらに)

ひらくことが出来たとしても、その中には、さらに

(だいにのかんもんがあります。それは、へやのまわりの)

第二の関門があります。それは、部屋の周りの

(たたみのしたにはしかけがあって、ぞくがどこからはいった)

畳の下には仕掛けがあって、賊がどこから入った

(としても、そのへやのたたみをふみさえすれば、たちまち)

としても、その部屋の畳を踏みさえすれば、たちまち

(いえじゅうのべるが、けたたましくなりひびくというそうち)

家中のベルが、けたたましく鳴り響くという装置

(なのです。しかし、かんもんはこのふたつだけでは)

なのです。 しかし、関門はこの二つだけでは

(ありません。だいさんのいちばんおそろしいかんもんが、さいごに)

ありません。第三の一番おそろしい関門が、最後に

(ひかえています。おうごんとうは、ひろさがろくじゅっせんちしほう、)

ひかえています。 黄金塔は、広さが六十センチ四方、

(たかさがいちめーとるさんじゅっせんちほどの、ながいはこのかたちを)

高さが一メートル三十センチほどの、長い箱の形を

(した、りっぱなもくせいのわくのなかにいれて、そのへやの)

した、立派な木製の枠の中に入れて、その部屋の

(とこのまにあんちしてあるのですが、このきのわくが、)

床の間に安置してあるのですが、この木の枠が、

(くせものなのです。ほんらいならば、このわくにはしほうに)

くせものなのです。 本来ならば、この枠には四方に

(がらすをはるのですが、おおとりしはわざとがらすを)

ガラスを張るのですが、大鳥氏はわざとガラスを

(はらず、だれでもじゆうに、おうごんとうにさわれる)

張らず、だれでも自由に、黄金塔にさわれる

(ようにしておきました。そのかわりわくのよすみのふとい)

ようにしておきました。その代わり枠の四隅の太い

(はしらのかげに、せきがいせんぼうびそうちという、おそろしい)

柱の陰に、赤外線防備装置という、おそろしい

(しかけがかくされていたのです。よんほんのはしらにさんかしょ)

仕掛けが隠されていたのです。 四本の柱に三ヵ所

(ずつ、ごうけいじゅうにかしょに、せきがいせんをはっしゃするこうせんを)

ずつ、合計十二ヵ所に、赤外線を発射する光線を

(とりつけて、ひとくちにいえばおうごんとうのじょうげさゆうを、)

取り付けて、一口に言えば黄金塔の上下左右を、

(めにみえないせきがいこうせんのひもでつつんでしまった)

目に見えない赤外光線のヒモで包んでしまった

(のです。そして、もし、だれかがおうごんとうにさわろう)

のです。そして、もし、だれかが黄金塔にさわろう

(として、せきがいせんをさえぎりますと、べつのしかけに)

として、赤外線をさえぎりますと、別の仕掛けに

(はんのうして、たちまちべるがなりひびくとどうじに、)

反応して、たちまちベルが鳴り響くと同時に、

(そのさえぎったもののほうこうへ、ぴすとるがはっしゃされる)

そのさえぎったものの方向へ、ピストルが発射される

(という、おそろしいそうちです。きのわくのじょうげのすみ)

という、おそろしい装置です。木の枠の上下の隅

(には、がいぶからはみえないように、はっちょうの)

には、外部からは見えないように、八丁の

(こがたぴすとるがじつだんをこめて、まるでちいさなほうだいの)

小型ピストルが実弾を込めて、まるで小さな砲台の

(ようにすえつけてあるのです。ただ、とうなんをふせぐ)

ようにすえつけてあるのです。ただ、盗難をふせぐ

(だけならば、おうごんとうをおおきなきんこのなかへでも、いれて)

だけならば、黄金塔を大きな金庫の中へでも、入れて

(しまえばいいのですが、おおとりしはせっかくてにいれた)

しまえばいいのですが、大鳥氏はせっかく手に入れた

(じまんのたからものをひとにもみせないで、しまいこんでおく)

自慢の宝物を人にも見せないで、しまいこんでおく

(きにはなれませんでした。そこで、きごころのしれた)

気にはなれませんでした。そこで、気心の知れた

(おきゃくさまには、じゅうぶんみせびらかすことができる)

お客さまには、充分見せびらかすことが出来る

(ように、こんなおおげさなそうちをこうあんしたわけです。)

ように、こんな大袈裟な装置を考案した訳です。

(むろん、おきゃくさまにみせるときは、わくのはしらのかげにある)

無論、お客さまに見せる時は、枠の柱の陰にある

(ひみつのぼたんをおして、せきがいせんのほうしゃをとめておく)

秘密のボタンを押して、赤外線の放射を止めておく

(のです。こうかなじゅんきんのとうそのものも、たいへんせけんを)

のです。 高価な純金の塔そのものも、大変世間を

(おどろかせましたが、このねんいりなぼうびそうちのうわさが、)

驚かせましたが、この念入りな防備装置のウワサが、

(いっそうひょうばんをたかめたのです。むろん、おおとりとけいてんでは)

一層評判を高めたのです。無論、大鳥時計店では

(ぼうびそうちのことを、かたくひみつにしておいたのですが、)

防備装置のことを、固く秘密にしておいたのですが、

(いつとはなくわにわをかけたうわさとなり、せけんに)

いつとはなく輪に輪をかけたウワサとなり、世間に

(ひろがり、とうのおいてあるへやにはいると、あしが)

ひろがり、塔の置いてある部屋に入ると、足が

(すくみ、からだがしびれてしまうだとか、こうてつでできた)

すくみ、体がしびれてしまうだとか、鋼鉄で出来た

(じんぞうにんげんがばんをしていて、あやしいものがしのびよれば、)

人造人間が番をしていて、怪しい者が忍び寄れば、

(たちまちつかみころしてしまうだとか、いろいろきみょうな)

たちまちつかみ殺してしまうだとか、色々奇妙な

(ひょうばんがたって、それがしんぶんにものり、いまでは)

評判がたって、それが新聞にも載り、今では

(だれもしらないものはいないほどになっていました。)

だれも知らない者はいないほどになっていました。

(にじゅうめんそうは、そこへめをつけたのです。)

二十面相は、そこへ目をつけたのです。

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