『少年探偵団』江戸川乱歩26

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少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7848 8.0 98.1% 561.4 4492 86 99 2024/03/20
2 ssssss 7110 7.6 92.9% 597.3 4595 348 99 2024/04/02

関連タイピング

問題文

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(「こりゃなんだ。にんぎょうじゃないか」「にんぎょうがふうせんに)

「こりゃなんだ。人形じゃないか」「人形が風船に

(のってとんでいたのか」けいかんたちは、くちぐちにそんな)

乗って飛んでいたのか」 警官たちは、口々にそんな

(ことをつぶやきながら、あっけにとられてかおを)

ことをつぶやきながら、あっけにとられて顔を

(みあわせました。ああ、なんということでしょう。)

見合わせました。 ああ、なんということでしょう。

(せっかくとらえたぞくは、ちのかよったにんげんではなく、)

せっかくとらえた賊は、血の通った人間ではなく、

(ろうざいくのにんぎょうだったのです。よくようふくやの)

ロウ細工の人形だったのです。よく洋服屋の

(しょーうぃんどーにたっているようなまねきん)

ショーウィンドーに立っているようなマネキン

(にんぎょうに、それぞれくろいせびろとしろいうわぎがきせてあった)

人形に、それぞれ黒い背広と白い上着が着せてあった

(のです。にじゅうめんそうのわるぢえにはおくそこがありません)

のです。 二十面相の悪知恵には奥底がありません

(でした。けいさつはもとより、しんぶんしゃも、とうきょうとみんも、)

でした。警察はもとより、新聞社も、東京都民も、

(くまがやしからたかさきしにかけてのまちやむらのひとびとも、)

熊谷市から高崎市にかけての町や村の人々も、

(にじゅうめんそうに、まんまとだまされたわけです。)

二十面相に、まんまとだまされた訳です。

(なかでもよっつのしんぶんしゃのへりこぷたーは、まったくの)

中でも四つの新聞社のヘリコプターは、まったくの

(むだぼねをおらされてしまったのです。いや、)

無駄骨を折らされてしまったのです。 いや、

(そればかりではありません。にじゅうめんそうは、そのうえ、)

そればかりではありません。二十面相は、その上、

(もっとあくどいいたずらさえよういしておいた)

もっとあくどいイタズラさえ用意しておいた

(のです。「おや、なんだかてがみのようなものが)

のです。「おや、なんだか手紙のようなものが

(あるぜ」ひとりのけいかんが、ふとそれにきづいて、)

あるぜ」 一人の警官が、ふとそれに気づいて、

(にじゅうめんそうのみがわりになったにんぎょうのうえにかがみこみ、)

二十面相の身代わりになった人形の上にかがみこみ、

(そのむねのぽけっとからいっつうのふうしょをぬきとりました。)

その胸のポケットから一通の封書を抜き取りました。

など

(ふうとうのおもてには「けいさつかんどの」としるし、うらには)

封筒の表には「警察官殿」と記し、裏には

(「にじゅうめんそう」としょめいしてあるのです。ふうをひらいて)

「二十面相」と署名してあるのです。封をひらいて

(よんでみますと、そこにはつぎのようなにくにくしいぶんしょうが)

読んでみますと、そこには次のような憎々しい文章が

(かきつづってありました。「ははは、ゆかいゆかい、)

書きつづってありました。 「ハハハ、愉快愉快、

(しょくんは、まんまとだまされたね。にじゅうめんそうのちえの)

諸君は、まんまとだまされたね。二十面相の知恵の

(ふかさがわかったかね。しょくんが、くろいふうせんをやっきに)

深さがわかったかね。 諸君が、黒い風船を躍起に

(なっておっかけまわすありさまが、めにみえるようだ。)

なって追っかけまわす有り様が、目に見えるようだ。

(そして、やっととらえたとおもったら、にんぎょうだった)

そして、やっととらえたと思ったら、人形だった

(なんて、じつにゆかいじゃないか。それをおもうと、)

なんて、じつに愉快じゃないか。それを思うと、

(おれはふきだしそうになるよ。ところであけちくんには、)

おれは吹き出しそうになるよ。 ところで明智君には、

(すこしおきのどくみたいだったねえ。さすがめいたんていと)

少しお気の毒みたいだったねえ。さすが名探偵と

(いわれるほどあって、おれのしょうたいをみやぶったのはかんしん)

いわれるほどあって、おれの正体を見破ったのは感心

(だけれど、そいつがかえってわるいけっかになって)

だけれど、そいつがかえって悪い結果になって

(しまった。あけちくんが、おせっかいさえしなけりゃ、)

しまった。明智君が、おせっかいさえしなけりゃ、

(おれのほうでも、こんなさわぎはおこさなかっただろう)

おれのほうでも、こんな騒ぎは起こさなかっただろう

(からね。しかし、もういまとなってはとりかえしが)

からね。 しかし、もう今となっては取り返しが

(つかない。あけちくんのおかげで、にじゅうめんそうはまた、)

つかない。明智君のおかげで、二十面相はまた、

(おおっぴらにしごとができるというもんだよ。)

大っぴらに仕事が出来るというもんだよ。

(こうなれば、けっしてえんりょはしないぜ。これからは、)

こうなれば、決して遠慮はしないぜ。これからは、

(どうどうとにじゅうめんそうのかつどうをはじめるんだ。あけちくんに、)

堂々と二十面相の活動を始めるんだ。 明智君に、

(よろしくいってくれたまえ。このつぎにおれが、)

よろしく言ってくれたまえ。この次におれが、

(どんなすばらしいかつどうをはじめるか、よくみていて)

どんな素晴らしい活動を始めるか、よく見ていて

(くれってね。じゃあ、しょくん、あばよ」にじゅうめんそうは、)

くれってね。 じゃあ、諸君、あばよ」二十面相は、

(まえもってこうなることをみこして、このてがみをかき、)

前もってこうなることを見越して、この手紙を書き、

(にんぎょうにもたせておいたのです。てがみをよみおわると、)

人形に持たせておいたのです。手紙を読み終わると、

(けいかんはあまりのことに、あいたくちがふさがりません)

警官はあまりのことに、あいた口がふさがりません

(でした。ああ、なんというだいたんふてき、ぼうじゃくぶじんのかいぶつ)

でした。 ああ、なんという大胆不敵、傍若無人の怪物

(でしょう。こんかいこそは、さすがのめいたんていである)

でしょう。今回こそは、さすがの名探偵である

(あけちこごろうでも、ぞくのさきまわりをするちからがなかった)

明智小五郎でも、賊の先まわりをする力がなかった

(のです。くろいふうせんのてじなに、まんまとひっかかって)

のです。黒い風船の手品に、まんまとひっかかって

(しまったのです。ではあのとき、ようかんのやねのうえ)

しまったのです。 ではあのとき、洋館の屋根の上

(から、ぞくはどこへにげたのかといいますと、あとに)

から、賊はどこへ逃げたのかといいますと、あとに

(なってしらべたけっか、こういうことがわかりました。)

なって調べた結果、こういうことがわかりました。

(あのようかんのやねのおくじょうには、じゅうまいほどのかわらが、はこの)

あの洋館の屋根の屋上には、十枚ほどの瓦が、箱の

(ふたのようにひらくしかけになっていて、そのしたに)

ふたのようにひらく仕掛けになっていて、その下に

(やねうらのひみつべやがあったのです。ぞくは、なかむらかかりちょうに)

屋根裏の秘密部屋があったのです。 賊は、中村係長に

(とらえられそうになったとき、まずにんぎょうをのせたふうせんの)

とらえられそうになった時、まず人形を乗せた風船の

(つなをきっておいて、すばやくこのやねうらべやへすがたを)

綱を切っておいて、素早くこの屋根裏部屋へ姿を

(かくしたのですが、なにしろ、あんなやみよのことです)

隠したのですが、なにしろ、あんな闇夜のことです

(から、じゅくれんのなかむらかかりちょうにも、そこまでみやぶることは)

から、熟練の中村係長にも、そこまで見破ることは

(できなかったのです。ひとびとは、ただもう、くろいふうせんに)

出来なかったのです。人々は、ただもう、黒い風船に

(きをとられてしまいました。くうちゅうへにげだすなんて、)

気をとられてしまいました。空中へ逃げ出すなんて、

(いかにもにじゅうめんそうらしい、はなやかなおもいつきです)

いかにも二十面相らしい、華やかな思いつきです

(から、まさかそれがうそだろうとは、かんがえも)

から、まさかそれがウソだろうとは、考えも

(およばなかったのです。やねうらのひみつべやだけ)

及ばなかったのです。 屋根裏の秘密部屋だけ

(でしたら、すぐにはっけんされていたにちがいありません。)

でしたら、すぐに発見されていたに違いありません。

(やねのうえでにんげんがきえたとしたら、だれでもまず、)

屋根の上で人間が消えたとしたら、だれでもまず、

(かわらにしかけがあるのではないかとうたがうでしょう)

瓦に仕掛けがあるのではないかと疑うでしょう

(からね。ところが、このなんでもないかくればしょが、)

からね。 ところが、この何でもない隠れ場所が、

(いっぽうのくろいききゅうという、ずばぬけたおもいつきに)

一方の黒い気球という、ずばぬけた思いつきに

(よって、まったくひとのちゅういをひかなくなってしまった)

よって、まったく人の注意を引かなくなってしまった

(のです。しかも、ふうせんのかごのなかには、にじゅうめんそうや)

のです。しかも、風船のカゴの中には、二十面相や

(そのぶかとそっくりのにんぎょうがのっていたのです)

その部下とそっくりの人形が乗っていたのです

(からね。さて、ききゅうがとびさりますと、ようかんを)

からね。 さて、気球が飛び去りますと、洋館を

(とりかこんでいたけいかんたいは、ひとりのこらずひきあげて)

取り囲んでいた警官隊は、一人残らず引き上げて

(しまいました。あけちたんていも、ついゆだんをして、そこを)

しまいました。明智探偵も、つい油断をして、そこを

(たちさったのです。そのあとで、にじゅうめんそうと)

立ち去ったのです。 そのあとで、二十面相と

(そのぶかは、やねうらべやですがたをかえたうえ、れいのあさなわを)

その部下は、屋根裏部屋で姿を変えた上、例の麻縄を

(つたってちじょうにおり、どうどうともんをでていったという)

つたって地上に降り、堂々と門を出て行ったという

(わけです。なんとまあ、あざやかなてじなでは)

訳です。なんとまあ、あざやかな手品では

(ありませんか。どくしゃしょくん、かいとうにじゅうめんそうは、こうして)

ありませんか。 読者諸君、怪盗二十面相は、こうして

(ふたたび、わたしたちのまえにあらわれました。そして、めいたんてい)

ふたたび、私たちの前に現れました。そして、名探偵

(あけちこごろうに、にくにくしいちょうせんじょうをつきつけたのです。)

明智小五郎に、憎々しい挑戦状を突きつけたのです。

(むろん、ゆびをくわえてひっこむようないくじのない)

無論、指をくわえてひっこむような意気地のない

(あけちたんていではありません。いまや、たんていとかいじんは、)

明智探偵ではありません。今や、探偵と怪人は、

(まったくあらたなてきいをもって、たいりつすることになった)

まったく新たな敵意を持って、対立することになった

(のです。こんどこそ、しにものぐるいのちえくらべです。)

のです。今度こそ、死に物狂いの知恵比べです。

(くわえて、いっきうちなのです。)

加えて、一騎打ちなのです。

(「おうごんのとう」)

「黄金の塔」

(にじゅうめんそうは、いよいよしょうたいをあらわしました。そして、)

二十面相は、いよいよ正体を現しました。そして、

(これからはおおっぴらに、かいとうにじゅうめんそうとして、)

これからは大っぴらに、怪盗二十面相として、

(れいのほうせきやびじゅつひんばかりをねらう、ふしぎなまじゅつの)

例の宝石や美術品ばかりをねらう、不思議な魔術の

(どろぼうをはじめようというわけです。しんぶんによって、これを)

泥棒を始めようという訳です。 新聞によって、これを

(しったとうきょうとみんは、くろいまもののうわさをきいたときにも)

知った東京都民は、黒い魔物のウワサを聞いた時にも

(まして、ふるえあがってしまいました。なかでも、)

増して、震え上がってしまいました。中でも、

(びじゅつひんをたくさんたくわえているふごうなどはしんぱいで、よるも)

美術品をたくさん蓄えている富豪などは心配で、夜も

(ねられないというありさまです。なにしろ、せいふの)

寝られないという有り様です。なにしろ、政府の

(はくぶつかんまでおそって、びじゅつひんをすっかりぬすもうとした)

博物館までおそって、美術品をすっかり盗もうとした

(ほどの、おそろしいだいとうぞくですからね。)

ほどの、おそろしい大盗賊ですからね。

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