『妖怪博士』江戸川乱歩20

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少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 sai 8723 8.9 97.5% 520.0 4654 118 98 2024/05/29
2 berry 8001 8.1 97.7% 560.8 4592 105 98 2024/05/17
3 HAKU 7880 8.0 97.4% 577.1 4668 120 98 2024/05/15
4 subaru 7748 8.0 96.3% 573.0 4615 175 98 2024/05/22
5 miko 6466 S 6.6 97.8% 702.8 4649 104 98 2024/05/19

関連タイピング

問題文

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(「はんにんじゃと。ははは、はんにんも、やがてわしがつかまえ)

「犯人じゃと。ハハハ、犯人も、やがてわしが捕まえ

(ますよ。なかむらさん、そんなにこわいかおをしないで、)

ますよ。中村さん、そんなに怖い顔をしないで、

(まあ、ここはわしにまかせてください。よにんのこどもを)

まあ、ここはわしに任せてください。四人の子どもを

(ぶじにとりもどしたこうせきにめんじておおめにみてください」)

無事に取り戻した功績に免じて大目にみてください」

(そういわれると、たしかにとのむらはひじょうなてがらをたてた)

そう言われると、確かに殿村は非常な手がらをたてた

(ばかりなのですから、かかりちょうもとめるわけにも)

ばかりなのですから、係長も止める訳にも

(いきませんでした。それに、これほどのめいたんていのこと)

いきませんでした。それに、これほどの名探偵のこと

(ですから、しんぶんきしゃをよびいれたのにも、なにかふかい)

ですから、新聞記者を呼び入れたのにも、何か深い

(かんがえがあるかもしれません。なかむらかかりちょうは、しぶしぶ)

考えがあるかもしれません。中村係長は、しぶしぶ

(いっぽうしろにさがって、しんぶんきしゃたちがしつないへはいるのを)

一歩後ろにさがって、新聞記者たちが室内へ入るのを

(きょかしました。「さあ、しょくん。こちらへきたまえ。)

許可しました。「さあ、諸君。こちらへ来たまえ。

(そしてこわれたせっこうぞうと、よにんのしょうねんをみてくれ。)

そして壊れた石膏像と、四人の少年を見てくれ。

(これが、ゆうかいされていたあいかわ、おおの、さいとう、うえむらの、)

これが、誘拐されていた相川、大野、斎藤、上村の、

(よにんのしょうねんじゃ。なに、しゃしんじゃと。このこども)

四人の少年じゃ。なに、写真じゃと。 この子ども

(たちのしゃしんをとりたいというのか。よろしい、)

たちの写真を撮りたいと言うのか。よろしい、

(とりたまえ。じゃが、そのまえにもうひとつ、しょくんに)

撮りたまえ。じゃが、その前にもう一つ、諸君に

(みせるものがある。それはほかでもない。れいの)

見せるものがある。 それは他でもない。例の

(せいさくがいしゃのきみつぶんしょじゃ。わしは、それがどこに)

製作会社の機密文書じゃ。わしは、それがどこに

(かくしてあるかも、ちゃんとしっている。ちょうど)

隠してあるかも、ちゃんと知っている。ちょうど

(しょくんがきてから、しょくんのめのまえでじゅうようしょるいをさがし)

諸君が来てから、諸君の目の前で重要書類を探し

など

(だして、おめにかけることにしよう。さがすといっても)

出して、お目にかけることにしよう。探すといっても

(ぞうさはないのじゃ。ほら、それはここにある。)

造作はないのじゃ。ほら、それはここにある。

(ここじゃ、このごみばこのなかじゃ」とのむらはじょうだんのように)

ここじゃ、このゴミ箱の中じゃ」 殿村は冗談のように

(いいながら、へやのまんなかのおおきいつくえにちかより、)

言いながら、部屋の真ん中の大きい机に近寄り、

(そのしたにおいてあったおおきなごみばこのなかから、)

その下に置いてあった大きなゴミ箱の中から、

(くしゃくしゃにまるまっているしょるいのたばをとりだして)

クシャクシャに丸まっている書類の束を取り出して

(みせました。「あいかわさん、これがあなたのきんこから)

みせました。「相川さん、これがあなたの金庫から

(ぬすみだされたしょるいかどうか、しらべてみてください」)

盗み出された書類かどうか、調べてみてください」

(あいかわぎしちょうはそれをきくと、はっとかおいろをかえて、)

相川技師長はそれを聞くと、ハッと顔色を変えて、

(とのむらのそばにかけより、いきなりしょるいをひったくり)

殿村のそばに駆け寄り、いきなり書類をひったくり

(ました。たいせつなきみつぶんしょを、しんぶんきしゃなどのまえで)

ました。大切な機密文書を、新聞記者などの前で

(ひろげられてはたいへんだとおもったからです。それから、)

ひろげられては大変だと思ったからです。それから、

(へやのすみにいって、ぱらぱらとぺーじをめくって)

部屋の隅に行って、パラパラとページをめくって

(しらべていましたが、ていねいにかみのしわをのばしてふたつに)

調べていましたが、丁寧に紙のシワを伸ばして二つに

(おると、たいせつそうにようふくのうちぽけっとにしまいこみ)

折ると、大切そうに洋服の内ポケットにしまいこみ

(ました。「あいかわさん、そうしてぽけっとにしまった)

ました。「相川さん、そうしてポケットにしまった

(ところをみると、どうやらほんものらしいですね。)

ところを見ると、どうやら本物らしいですね。

(きみつぶんしょでまちがいありませんか」「たしかにぬすまれた)

機密文書で間違いありませんか」「確かに盗まれた

(しょるいです。さいわい、かみのまいすうもちゃんとそろって)

書類です。幸い、紙の枚数もちゃんとそろって

(いました。しかし、あんなにくろうしてぬすみだした)

いました。しかし、あんなに苦労して盗み出した

(しょるいを、ごみばこのなかへほうりこんでおくなんて、いったい)

書類を、ゴミ箱の中へ放り込んでおくなんて、一体

(これはどうしたことでしょう」あいかわぎしちょうは、ふしぎ)

これはどうしたことでしょう」相川技師長は、不思議

(そうにとのむらたんていのかおをみつめました。「ははは、)

そうに殿村探偵の顔を見つめました。「ハハハ、

(あいかわさん、これは、あんたがたのあたりまえのあたまでは)

相川さん、これは、あんた方の当たり前の頭では

(わかりません。あいてはてじなつかいなのじゃ。てじなつかい)

分かりません。相手は手品使いなのじゃ。手品使い

(というものはね、けんぶつにんのめをぬすむために、じつに)

というものはね、見物人の目を盗むために、実に

(おもいもよらないとっぴなてをかんがえるものじゃ」よろしい)

思いもよらない突飛な手を考えるものじゃ」よろしい

(かな。やつは、まずよにんのこどもを、よっつのせっこうぞうの)

かな。奴は、まず四人の子どもを、四つの石膏像の

(なかにかくした。これもてじなつかいのげいとうじゃ。それとおなじ)

中に隠した。これも手品使いの芸当じゃ。それと同じ

(ことでしょるいのほうも、だれがかんがえても「まさか」と)

ことで書類のほうも、だれが考えても「まさか」と

(おもうようなきばつなばしょへかくしたのじゃ。いくら)

思うような奇抜な場所へ隠したのじゃ。いくら

(なんでも、あれほどたいせつなしょるいが、かみくずどうぜんに)

なんでも、あれほど大切な書類が、紙くず同然に

(ごみばこのなかへほうりこんであろうなどと、だれがかんがえる)

ゴミ箱の中へ放り込んであろうなどと、だれが考える

(じゃろう。しかも、くしゃくしゃにまるめてほうりこんで)

じゃろう。しかも、クシャクシャに丸めて放り込んで

(あるのじゃ。さがすほうは、かぎのかかったひきだし)

あるのじゃ。探すほうは、カギの掛かった引き出し

(やひみつのとだなとか、そういうむずかしいばしょばかりをそうさく)

や秘密の戸棚とか、そういう難しい場所ばかりを捜索

(する。ごみばこなんか、まるっきりふりむきもせん。)

する。ゴミ箱なんか、まるっきり振り向きもせん。

(ところがかしこいどろぼうは、そのだれもふりむかんような)

ところが賢い泥棒は、そのだれも振り向かんような

(ところへ、もっともたいせつなものをかくしておく。「これは、)

所へ、もっとも大切な物を隠しておく。「これは、

(かみくずですよ。つまらないものですよ」といわない)

紙くずですよ。つまらない物ですよ」といわない

(ばかりに、いつでもひとめにつくばしょへほうりだして)

ばかりに、いつでも人目につく場所へ放り出して

(おく。これが、てじなしのたねじゃ。おわかりかな」)

おく。これが、手品師のタネじゃ。お分かりかな」

(とのむらたんていは、ここでまたいちだんとめいよをたかめました。)

殿村探偵は、ここでまた一段と名誉を高めました。

(せんもんかのなかむらそうさかかりちょうでさえも、このむぞうさなしょるいの)

専門家の中村捜査係長でさえも、この無造作な書類の

(はっけんには、ためいきをついてかんしんしたほどですから、)

発見には、溜め息をついて感心したほどですから、

(しんぶんきしゃたちがめをまるくしたのもむりはありません。)

新聞記者たちが目を丸くしたのも無理はありません。

(とのむらたんていはとくいまんめんでした。まがったせなかをむりに)

殿村探偵は得意満面でした。曲がった背中を無理に

(のばし、えらそうにいばりくさったたいどで、みぎてには)

伸ばし、偉そうにいばりくさった態度で、右手には

(まがりくねったすてっきをつき、ひだりてのおやゆびを)

曲がりくねったステッキをつき、左手の親指を

(べすとのわきのしたにかけて、のこったよんほんのゆびでじぶんの)

ベストの脇の下にかけて、残った四本の指で自分の

(むねをはたはたと、ひょうしをとるようにたたきながら、えんぜつ)

胸をハタハタと、拍子をとるように叩きながら、演説

(でもするようにしゃべりはじめました。「さて、)

でもするようにしゃべり始めました。「さて、

(しんぶんきしゃしょくん、よにんのしょうねんときみつぶんしょが、どんなに)

新聞記者諸君、四人の少年と機密文書が、どんなに

(おもいもよらないばしょにかくしてあったか。また、それを)

思いもよらない場所に隠してあったか。また、それを

(わしがどんなにてぎわよくはっけんしたか。それは、しょくんが)

わしがどんなに手際良く発見したか。それは、諸君が

(いまごらんになったとおりじゃ。それだけでも、あしたの)

今ご覧になった通りじゃ。それだけでも、明日の

(ちょうかんでさんだんや、ごだんのきじにはなるじゃろう。だが、)

朝刊で三段や、五段の記事にはなるじゃろう。だが、

(それにつけくわえて、わしはもうひとつじゅうだいなことをほうこく)

それに付け加えて、わしはもう一つ重大なことを報告

(したいのじゃ。というのはほかでもない。)

したいのじゃ。というのは他でもない。

(このじけんには、めいたんていといわれているあけちこごろうが、)

この事件には、名探偵と言われている明智小五郎が、

(わしよりもはやくからてをつけていたことじゃよ。)

わしよりも早くから手をつけていたことじゃよ。

(よいかな。しょくんがいつも、にほんいちのめいたんていとかき)

よいかな。諸君がいつも、日本一の名探偵と書き

(たてている、あのあけちだよ。つまり、こんかいのじけん)

たてている、あの明智だよ。 つまり、今回の事件

(は、わしとあけちのいっきうちのしょうぶだったのだが、)

は、わしと明智の一騎打ちの勝負だったのだが、

(そのけっかはごらんのとおりじゃ。なもないしりつたんていの)

その結果はご覧の通りじゃ。名もない私立探偵の

(とのむらこうぞうが、みごとにあけちをだしぬいたのじゃ。しょくん、)

殿村弘三が、見事に明智を出し抜いたのじゃ。諸君、

(このことを、はっきりとせけんにつたえてもらいたい。)

このことを、ハッキリと世間に伝えてもらいたい。

(たったいまから、あけちはもうにほんいちのめいたんていではない。)

たった今から、明智はもう日本一の名探偵ではない。

(とのむらというあたらしいたんていがあらわれたのじゃ。そして、)

殿村という新しい探偵が現れたのじゃ。そして、

(あけちせんせいのじまんのはなをへしおったのじゃ。ふふん、)

明智先生の自慢の鼻をへし折ったのじゃ。フフン、

(めいたんていがきいてあきれるわ。あのせんせい、いまごろどこを)

名探偵が聞いて呆れるわ。あの先生、今頃どこを

(うろつきまわっていることか。あした、このじけんが)

うろつきまわっていることか。明日、この事件が

(しんぶんにでるのをみて、あいつはさぞかしおどろくで)

新聞に出るのを見て、あいつはさぞかし驚くで

(あろう。ははは、わしはとうとう、あいつを)

あろう。ハハハ、わしはとうとう、あいつを

(やっつけたぞ。しょくん、このことをでかでかとかき)

やっつけたぞ。諸君、このことをデカデカと書き

(たててくれたまえ。よいかな。「めいたんていあけちこごろう、)

たててくれたまえ。よいかな。「名探偵明智小五郎、

(みごとなせおいなげをくらう」とな。わはは。ああ、)

見事な背負い投げを食らう」とな。ワハハ。ああ、

(あけちせんせいのかおがみたいものじゃ」)

明智先生の顔が見たいものじゃ」

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